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人的資本の情報開示におけるWorkplace cultureとCognitive Diversityについて調べてみた

しのジャッキーです。本記事は、ESG/SDGs/CSVに関しての個人的な学びのアウトプットです。以下の記事の続きです。

上記、前回の記事の再掲

パブリックアフェアーズ協会から「従業員エンゲージメント活用による企業経営の新たな潮流 ~ISO 30414を中心とした国際動向と国内事例からの考察~」というレポートが2021年11月11日に発出されていました。

私自身、チームマネジメントをするようになったこととコーポレートの立場になったことから、また、個人的に応援している所属企業(NEC)の因果分析ソリューションが「従業員エンゲージメント」に関連していることから、本トピック注目しています。

前回のおさらい:ISO 30414の基本的考え方

2018 年 12 月に出版された「ISO 30414」(Guidelines for internal and external human capital reporting(「人的資本の情報開示のためのガイド ライン」))は、非財務の情報を開示し、人的資本(資産)へどう投資した結果、どうリターンに転換されたかというROI(Return on Investment)の考え方を人材マネジメントに取り入れよ、というのがISO 304141の基本的な考え方と理解しました。

主要国における人的資本開示へ向けた取組み

米国「Workforce Investment Disclosure Act 0f 2021」

米国では2021/6/16に上場企業に対して人的資本開示を求める法案が米国連邦議会の下院を通過し、法制化に向けた動きが活発化している。すでに米証券取引委員会(SEC)は上場企業には人的資本開示を義務化したが、内容は自主性に任せている状態。
ISO 30414の動きだけでなく、運用資産総額2.8兆米ドル(2017/7/10)のHuman Capital Management Coalition(HCMC)からの働きかけもある。

EU「Corporate Sustainability Reporting Directive(CSRD)」

EUでは2021/4/21にサステナ情報開示の指令としてCSRDを公表。この中で、人的資本を含む無形資産の情報開示の義務付けの強化と範囲の拡大が求められている。CSRD提案は今後欧州議会と欧州理事会で検討が行われる。2022年中に採択されると、2024年中に開示が始まると想定される。

日本「成⾧戦略フォローアップ」

日本の動きとしては2021/6/18に閣議決定された「成長フォローアップ」で触れられた以下の内容をあげる。

4.「人」への投資の強化
(1)フリーランス保護制度の在り方
②人的資本情報の「見える化」の推進
・企業へ経営環境の変化に応じた人材戦略の構築を促し、持続的な企業 価値を向上させる観点から、経営陣、取締役会、機関投資家等が果た すべき役割を明確化した「人材版伊藤レポート」や、非財務情報や人 的資本の開示に関する国際的な議論なども踏まえ、関係省庁が連携し、 企業の人的資本に関する「情報の見える化」の促進や機関投資家等へ の情報発信を一層推進する。あわせて、多様な人材の活躍、従業員の 働きやすい環境整備等に関する企業の取組を見える化する仕組みを 省庁横断的に構築し、企業の取組をより一層促す。さらに、2021 年6 月のコーポレートガバナンス・コードの改訂も受け、人的資本への投 資も含め、経営資源の配分に対する取締役会の実効的な監督や、分かりやすく具体的な開示を促進する。

内閣府,  2021/6/18, 成長戦略フォローアップ
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/pdf/fu2021.pdf

VRF/Work Culture/Cognitive Diversity

2021/6, 国際統合報告評議会(IIRC)とサステナビリティ会計基準審議会(SASB)が合併してValue Reporting Foundation(VRF)が設立されたということで、これは驚きでした。

IIRCって、統合レポートのフレームワークを提示してきた団体ですよね。そんなVRFが、人的資本情報を5つの領域に分類し、その中で検討の優先度を一番高くおいているのがWorkplace Culture(職場の文化)だとしています。

図の出典: Value Reporting Foundation 「Standards Board Meeting Calendar & Archive

Workplace Cultureの構成要素で、投資家の関心が高く、フィナンシャルインパクトのあるものとしてCognitive Diversity(認知の多様性)を挙げているといいます。

図の出典: Value Reporting Foundation 「Standards Board Meeting Calendar & Archive

Cognitive Diversity(認知の多様性)については、「グループの中の個々人が異なる考え方、視点、経験やスキルセットをもっていること」と書かれています。

これは「世界標準の経営理論」の第20章「認知バイアスの理論」の中で書かれている2種類のダイバーシティでいくとタスク型のダイバーシティと一致するな、と思いました。

図の出典:「世界標準の経営理論/入山章栄」をもとに篠崎作成


別のページに、関連するフィナンシャルインパクトとして以下のように書かれています。

Industries where financial performance is highly linked to innovation, riskrecognition, or decision-making under conditions of high uncertainty
(篠崎意訳)認知の多様性は、不確実性の高い状況におけるイノベーション、リスク認知や意思決定がフィナンシャルパフォーマンスに高い関係性がある業界において重要な要素

Value Reporting Foundation 「Standards Board Meeting Calendar & Archive

デジタル技術の進展によって、あらゆる産業の垣根が破壊され続けている現代において、上記の説明が当てはまらない業界は少ないように感じますね。以下は、また「世界標準の経営理論」の第4章「SCP対RBVおよび競争の型」の内容をまとめたものですが、まさにシュンペーター型の競争の型をいかに実践できるように組織を変革する必要があり、その時人材のタスク型の多様性が求められるということですね。

図の出典:「世界標準の経営理論/入山章栄」をもとに篠崎作成

今回読んでいるレポートはあと以下、また、時間をみて読んでみて学びを書いてみたいと思います。4章では、所属企業のNECも紹介されているんですよねー。

第4章 従業員エンゲージメント経営の国内最新事例
第5章 従業員エンゲージメントに関する日本での最新の政策的議論

続きかきました

おわりに

このほか、当方のESG/SDGs/CSV関連の記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。またフォローや記事への「スキ」をしてもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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