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#DXのリアル・ノウハウ を活かすノウハウ #冨山和彦

IGPI流 DXのリアル・ノウハウ」読まれましたでしょうか?ウィットに富んだDX悪魔の辞典DXあるある病、を交えながら、「こういうことに、こういう風に取り組んでいくことがDXなんじゃないか」と提示する、なんともじわっとくる1冊です。以下で、DX悪魔の辞典をご紹介しました。

今回は、本書を読みながら「あぁ、なるほどなぁ」と思った記述をいくつかピックアップしつつ、その更なる実践の参考になりそうなDXの思考法」「アフターデジタル」「ジョブ理論」「リーンスタートアップなどの考え方やノウハウを紹介してみました。

DXは将来のための借り物競争

要はDXとは、デジタルの力を借りて更なるリソースをねん出するという、私たちの将来のための「借り物競争」である。そして、残念ながら借り物たるDXが私たちの代わりにゴールに向かって走っていってくれるわけではない「ゴールテープを目がけて走るのは自分」という当たり前の事実をいち早く受け入れた人が、その競争のゴールへと前進するだろう。
出典:p.47, 「IGPI流 DXのリアル・ノウハウ

AIでは、AIによって人間の仕事が奪われるっていう話があります。上記の「借り物競争」という例えは、とても分かりやすいな、と思いました。使えるものはいち早くつかって、走るのは自分。走る方向を決める、つまり意志が重要ですね。

そのデジタル人材は「本物」か?

そのデジタル人材は「本物」か?
~中略~
とにかく避けるべきは、「メタ認知力のない人間」、つまり自分を客観視できない人間である。自分の得意/不得意すら理解できないメンバーとは、補い合うという関係を作ることができないからだ。
出典:p.135-136, 「IGPI流 DXのリアル・ノウハウ

このメタ認知力というのがとても気になっています。以前に、新規事業開発リーダーに求められるスキルというのをセミナーで受けたことがあり、そこでも重要スキルはメタ認知だと言っていました。そしてそれは育成可能だ、と。ということで、「メタ思考トレーニング」って本も買ったのに、積読になっていることを思い出しました。。。。

時間軸に応じた「will」「can」「must」を考える

時間軸に応じた「will」「can」「must」を考える
~中略~
DXによってどのようなことを成し遂げたいのか(will)、どんなDXが可能なのか(can)、DXで何をしなくてはならないのか(must)の3つの視点から考えるのである。
出典:p.140, 「IGPI流 DXのリアル・ノウハウ

よく就活とか転職とかのときに使われる自己分析のフレームワークである「あなたは何をしたいのか=will」「あなたは何ができるのか=can」「あなたはなにをすべきか=must」の三つの弁図の重なる部分を意識しよう、というやつをDXの実行プラン検討に応用しています。以下のような初期のディスカッションペーパーのテンプレも用意されています。

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ちなみに冨山さんが共著的解説をしている「DXの思考法」では、そもそも自社の顧客および提供している価値の領域において、デジタルテクノロジーでどんなことが、すでにできるようになっているのかを本屋の本棚をかいてみる、と表現しています。以下、以前に「DXの思考法」をまとめた記事(こちら)からの抜粋です。興味のある方は、記事をご参照いただけますと幸いです。

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No moreカスタマイズ

No moreカスタマイズ」---標準化を徹底する
~中略~
何らかの業務改善ツールを導入するにしても、できる限り標準のまま使用する方が効果的・効率的
出典:p.160, 「IGPI流 DXのリアル・ノウハウ

これまた「DXの思考法」にも書いてあった内容なのですが(まとめ記事こちら)、本棚に並んでいる既製品は、いろんな人に使われてガンガン便利になっていくし、他の機能群とどんどんつながっていくので、カスタマイズすると孤立するぞ、ということですね。

それよりも、既製品の本棚をよく観察して、そこにない本を作って、書棚を変えてやる!というアプローチが事業モデル転換的DXにつながると示唆しています。

行動変容まで意識する

アプリをつくればいい、というものではない
~中略~
どう使わせるかについての想像力が欠けている(~中略~)「行動変容まで意識する」ということである。(~中略~)良いUIやUXは作り手ではなく「使う人が決める」ということだ。
出典:p.207-209, 「IGPI流 DXのリアル・ノウハウ

メーカーの人は、デジタルの時代になったからアプリ作ればいいんでしょ?、つくりましたよ。と言っているけどそれじゃ全然だめ、という全く同じ話を「アフターデジタル」の藤井氏が講演で言っていた。その際に、アフターデジタルを140字に凝縮した自身のTweetを紹介していた。それが以下。

ここで一番重要な真実は「5.」にあって、よいUXに始まり、よいUXに終わる。つまりUXがよくないと、行動データがたまらない。行動データがたまらないとUXをよりよくできない、というジレンマがあります。

ということで、「行動変容してもらわないとはじまらない」ということになります。デザイン思考がその一つの解かもしれません。自分の中では、常に意識したい、と思っていることはジョブ理論です。

ジョブ理論の究極の質問は以下の一文に集約されます。

顧客はどんな状況で、どんな進歩もしくは問題の解決雇用したいのか?」

また、顧客が欲しいのはProduct(製品)ではなく、Progress(進歩)なのだ、というのも印象的でした。ここで特に重要なのは、「状況」だと思います。その状況を描くのにJOBSフレームワークが有効でしょう。

JOBSフレームワーク
J
ob:顧客が本当に成し遂げたいことはなんなのか?
Objective:その目的、理由はなんなのか?
Barrier:何がその障害になっているのか?
Substiture:現状の(代替の)解決手段として何をどうしているのか?

PDCAサイクルの別名

最近、PDCAサイクルの別名は「Plan(計画するが)」「Delay(遅延して)」「Cancel(諦めて)」「Apologize(謝る)」サイクルとなっているそうだ。
出典:p.252, 「IGPI流 DXのリアル・ノウハウ

ひ・皮肉が過ぎるwwww。じゃあ、もう一つの、はやりつつある(?)OODAは「Observe(観察して)」「Orient(状況を判断して)」「Decide(意思決定して)」「Act(動く)」ですが、「Observe(傍観して)」「Optimistic(状況を楽観視して)」「Deny(否定して)」「Absent(もう不在)」といった感じでしょうか。

こいういった学習サイクル、改善サイクルとして私は、新規事業開発に従事していたので、リーンスタートアップで紹介されるBMLサイクルをいつも頭の中では考えるように努めています。Build(構築)-Measure(測定)-Learn(学習の略です。アイデアを元に仮説を立て(Build)、実験してデータを得て(Measure)、学びから次のアイデアを得る(Learn)そして、仮説を立て直す(Build)というものです。

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BMLのポイントは、最初に何を学びたいかを考えて、そのための実験を計画して、その実験をするために必要最低限な機能のみを備えたMVP(Minimum Viable Product)と呼ばれる「製品」を作って実験をします。このBMLのサイクルを小さく高速で回し続けることによって不確実性を下げて行きながら意思決定をして行きます。

深く学ぶには、定番の青本(これ)もいいですが、ちょっと分厚く読みづらい点もあり、個人的には以下の「Running Lean 実践リーンスタートアップ」本をよく参照しました。電子書籍がないのが残念。

おわりに

冨山さんが共著的解説をしている「DXの思考法」もおすすめです。以下、気合いれてまとめた記事があります。併せてご参照いただければ幸いです。

DXについての記事は以下の「マガジン」にストックしてますので、併せて覗いてみてください。フォローや「スキ」を押してもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie




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