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お金の教育 -結婚についてのこと-

新卒採用で同期になって、今でもつきあいのある女性がいます。
新人研修で一緒に二か月同じ部屋で寝泊まりした彼女は、珍しくいろんな話ができる貴重な親友になりました。
彼女の家はうちの家と全然違うところだらけでした。

彼女は美人なのですが、服装については日によって不思議な恰好をしていることがありました。制服のない会社で毎日華麗にコーディネートできるほどの服も持っている訳ではなかったからです。
しかし、会社の飲み会などがある時、彼女はかなりいいスーツを着てくるので目立って注目されることがありました。
片や私は母親がその時百貨店で服の売り子をしていたので、毎日着るためのスーツやそのインナーなどはそれなりのものを必要な分揃えてもらっていました。(買ってもらったり自分で出したりはいろいろでした)
普段着るものはそれなりにあるのですが、イベント時にこれというものはなく、見た目はまぁ普通といった感じになっていたと思います。
いざという時に目立つ彼女と常にそれなりの私。

彼女のそのコーディネートの仕方が面白かったので、なんでそうなるのかを訊いたことがありました。
すると彼女の答えはこうでした。
・もともと両親ともにおしゃれで服が好き
・一年に一度、誕生日に、値段を考えずに好きな服を選んで買ってもらえる
なるほど、いい服を誕生日に買ってもらい、いざという時にはそれを着てくる訳なんですね。
その時はよくわからなかったのですが、面白いやり方だなと思いました。
今思い返せば、これは立派なお金の使い方の教育になっていたんだろうなと思います。
普段は質素倹約にしてお金を貯め、今だ!という時にしっかりとそれを使う。あるいは、使う目的や目標をはっきりさせて、それに向かって日々節約するとも言えます。
彼女のその後を見ていて、まさにそのようにお金のやりくりをされていたと思います。

彼女はまた、自分で働きながら結婚資金を貯めていました。
母親から、家にお金を入れなくていいから、結婚のための貯金をするようにと言われていたそうです。また、結婚するなら、給料を全部渡してくれる男性を選ぶようにとも言われていたそうです。
その話を聞いた当時の私は、結婚を考えなかった訳ではありませんが、結婚資金を貯めるどころではありませんでした。
父親の商売が傾いて家にお金が入らない状態だったからです。
私は給料の3分の1で家族が住む家の家賃を肩代わりをし、別の3分の1で大学時代に借りた奨学金の返済をし、残りを自分の小遣いにしていました。貯金は殆んどありませんでした。
彼女から聞いた話を母にしてみると、母は「あんたが貯金できないのはしょうがないよねぇ」と言いました。派遣で働いていた母は、日々の食費と光熱費をなんとかしても、家賃の支払いには私の力を借りなければなりませんでした。
私は、母がお金の管理に精通していると勘違いしていて、その母がそう言うのだからそうなんだろうぐらいにしか思いませんでした。

結婚に関して話を続けると、彼女は貯めたお金を使って大阪梅田の有名ホテルで結婚式を挙げました。お相手は自分の給料を彼女の口座に振り込むことを承知してくれた男性でした。彼女が好きになった相手がそれを承知してくれたそうなので、理想的な結婚でした。
私は結婚に際して何もお金を出すことができず、そう伝えて「大丈夫」と請け合った相手と結婚しましたが、相手がお金に関して全然大丈夫じゃなかったので、結婚したのにその披露宴と新婚旅行をするのに1年待つことになってしまいました。また、相手は自分の給料を私の口座に振り込むことは拒否し、代わりに毎月いくら家に入れるかをあらかじめ相談することになりました。(ただ、この相談はそれほど柔軟性も計画性も信ぴょう性もないもので、この運用については上手くいきませんでした)

私は結婚とお金のことを振り返って考える時、
・親の教えって大きい
・人を根拠なく信用して頼ったら痛い目に合う
というふたつのことを思います。

結婚したらお金に苦労しなくなる夢を見て、現実を見ないで結婚してしまった私が、現実を直視してその認識を改め、なんとかしようと行動するまでには、結婚後何年もかかりました。(そして離婚しました)
現実を認めるのは、なかなか難しいもんだなと思います。






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