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39. 【日常編】繊維メーカーで勤務して得た日常の知恵 〜素材編〜

Buongiorno a tutti!

さて今回はこれまでの記事とは少し変わって、僕の前職についてお話をしたいと思います。

・繊維メーカーで学んだこと

自己紹介でもイタリアへの愛については散々書きましたが、新卒からの仕事はイタリアとはあまり直接関係のない繊維メーカーに勤務しておりました。

正直なところ繊維に興味はなかったのですが、新入社員研修で海外研修があるということと海外駐在の可能性があるという2つの要素で入社を決めました。

一言で繊維メーカーといっても、
糸の原料原糸糸加工織・編生地加工製品
という長い商流があります。
僕が務めていたS社ではこのすべての範囲をカバーしており、また生地以外の分野も販売していました。(化粧品や家電のパーツなど)

そんな中で私は商品開発や営業職を4年半経験し、なんやかんやで生地について詳しくなりました。
商売道具なので知らないとさすがにまずいですからね。笑

今回は前職の中で得た、「服を買うときにちょっと役立つ豆知識」をお伝えします。

・ポリエステル

言わずと知れたファストファッションの定番素材ですね。
なんと言っても耐久性があり、どんなアイテムにも使われているので目にする機会も多いかと思います。
洗濯しても縮みにくく、シワにもなりにくいのでTシャツ・ニットなどの編み物がとくにおすすめです。
(アイロン不要なシャツが最近多いですが、ほとんどの場合はポリエステルの混率をあげてシワになりにくいようにしています。)

・ナイロン

ポリエステルと並んで化学繊維のトップをはるナイロン。
ポリエステルと同じように丈夫で、シワになりにくいです。
ナイロンは特に摩擦に強いので、カバンなどの耐久性が必要なアイテムによく使われますね。
触ったときに少しひんやりとした触感(接触冷感)があります。
ただし熱に弱いので、アイロンをかけるときには注意が必要です。

・綿(コットン)

続いて天然素材のコットン。
中国の新疆ウイグル地区がコットンの一大産地で、数年前に
「中国政府が新疆ウイグル地区の人々を弾圧・強制労働させているのではないか?」というニュースが話題になりましたが、その際にファーストリテーリングなどの大手企業は新疆ウィグル地区からの綿の輸入を制限したことがあります。
アメリカでも昔は綿栽培に黒人奴隷を働かせていたということもあり、人間とつながりが深い素材なので色々と歴史があります。

そんな綿の特徴は、吸水性・通気性の高さ柔らかい触り心地です。
なのでインナー素材やTシャツによく使われていますよね。
ただし、ポリエステルやナイロンに比べると縮んだりシワになりやすいので洗濯には注意が必要です。

・ポリウレタン

今回、一番お伝えしたかったのがこちらのポリウレタン。
混率としては10%未満の場合がほとんどで、使われている量は少ないなと思うかもしれませんが、驚異的な伸びを発揮してくれます。
伸縮性があるスキニーパンツや下着、スポーツインナーにはほぼ間違いなく使われています。

しかしこのポリウレタンが結構曲者で、使用し始めて数年するとどんどん劣化していきます。
ポリウレタンの特徴なのですが、加水分解といって空気中の水分に反応して分解作用が起こります。
服の場合は数年経つと白い糸が切れたように飛び出してきます。
(ポリウレタンは染色されないので、黒いTシャツでも白い糸が出てきます。)

ちなみにスポーツシューズのソールや合皮にもポリウレタンが使われていることが多いので、数年経つと劣化が始まります。
これは、どうしても避けられないのでなるべく遅らせるように丁寧にケアするしかないのですが、おすすめはポリウレタンが入っている製品をなるべく買わないことです。(これは私見です笑)

僕が衣類の混率を見るときにはポリウレタンの有無を一番気にしています。
それだけで衣類が数年の命と決まってしまうのは、環境にもお財布にも嬉しくないですからね。

・まとめ

SDGsという言葉が一人歩きしている今日この頃ですが、一人一人が個人レベルの買い物から環境のことを考えているのかどうかはとても重要です。
服はシーズンで使い捨てしてしまうのではなく、長く使う。
アパレル業界は石油業界の次に環境破壊をしている産業だと言われますが、毎シーズン新しい服を出して、それをコスト削減のために過剰生産しているような業界です。
環境のことを考えているとは思えません。

だからこそ僕は、過度にシーズン性の高くない普遍的なアイテムを買うし、セカンドユーズのお店も使います。

そういったときに混率に目を向けると少し物持ちが良くなり、その少しをみんなが意識することが環境保護につながるのではないかと考えるわけです。

それではまた
Grazie mille e alla prossima volta!

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