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漫画『ぼっち・ざ・ろっく!』の喜多郁代を中心とした話の展開に対する不満及び不信感

 先日、『ぼっち・ざ・ろっく!』の最新話を読んだ。単行本ではなく、雑誌に掲載された最新話なのでネタバレが嫌な人はここでブラウザバック。その最新話を含めて主に6月号から始まった喜多郁代の進路に関する話を改めて振り返った際に、不満及び不信感が生じたため、その経緯について書き連ねていく。

喜多郁代の母、喜多久留代


 
こいつが原因。noteを書くきっかけとなったキャラ(以下喜多郁代は喜多、喜多久留代は喜多母と記す)。

引用:まんがタイムきらら編集部公式Twitter(5/17)



 まず違和感を覚えた点として、喜多母は現在あまりにも持っている情報が少なすぎることだ。結束バンドが4人での活動を始めた時点から1年半以上経っているのにも関わらず、バンドの活動に関して一切知らないどころか、バンドメンバーの名前すら後藤以外は知らない状態。また、同じ学校ということで話題にあがる後藤のことですら、つい数時間前までどんな人物であるかも捉えられていなかった。
 ……こんなことありえるか?いや、これほどまでに何も知らないのは放任主義の親ですらありえないだろう。なお実際は放任主義ですらなく、一見厳しそうに見えるだけで娘に対して強い愛情を持っており、きちんと気にかけているような母親として描かれている。

 ここで大きな問題が浮上する。それは、喜多母のキャラクターに一貫性がない(キャラクター造形がちぐはぐ)ことだ。喜多母は喜多が悪い人に誑かされていると疑い、バンド活動によって生じる悪影響を心配し、将来のこと考えた発言をする娘思いの母親として描かれている。これが問題である。前述したように、喜多母は持っている情報があまりにも少ない。ジミヘンの方が色々知ってるだろと言いたくなるくらい何も知らない。……つまり、今月号で非常に娘思いであるのに1年半以上娘の現状をほとんど把握していなかった母親という意味不明なキャラクターが爆誕してしまったのだ。

 正確にいうと、喜多母は現状を把握していなかったというよりも未だに把握していない。問題の1つであった喜多の貢がせ疑惑に関しては解決していないどころか、後藤の服装やセリフから彼女が暴力で娘を洗脳して貢がせたのではないかというぶっ飛んだ疑いをかけている。……にも関わらず、そのままあっさり後藤を家に帰した。

は??????????????????????????

何故かただ脳内で妄想を広げるだけで、問い詰めることはしない。現状を確認するために(これも遅すぎるが)わざわざ家に呼び出したのに??? もはや意味不明という言葉すら生ぬるいと感じてきた……。

 加えていうと、結束バンドはレーベルと契約をしているはずだが、その際に親を関与させないのは無理があるのでは?と思ってしまう。音楽業界の知識が全くないため断言はできないが、喜多が未成年である以上無理な気がする(詳しい人がいたら教えてほしい)。

喜多の進路問題の展開に対する不満、不信感


 ここが本題。意味不明なキャラクターが誕生したのは分かったが、なぜそれが不満や不信感に繋がった?という話。
 これは喜多母を見て、作者は描きたい(ウケると思った)ネタや展開を思いついたら、それを描くことを最優先としてキャラクターの整合性は二の次で良いと考えているのではないかと思ってしまったのが理由。

 今回でいうと、不良のヒモバンドマンに娘が誑かされているという勘違いネタが「描きたい展開」となっていると思う。喜多の進路問題に関しては、無理に喜多母を勘違いさせなくても進行させることができる。現在のように無知のまま全否定する母親ではなく、バンド活動にはある程度理解を示していたが、将来を心配して冷静に話し合いを提案する穏やかな母親でも何の問題もないからだ。それでも描いた理由は勘違いネタ思いついた!ウケる!描きたい!で説明できる。『ぼっち・ざ・ろっく!』は基本的にギャグでオチをつける4コマ漫画の形をしている。そして、常にネタを用意する必要のあるギャグ漫画は描くのが非常に難しいと聞く。であれば、思い浮かんだ面白い(と作者が思った)ネタを描かないわけにはいかないのだろう。しかし、ここでネタを描くことを優先し、キャラクターの整合性をおざなりにしてしまったため、喜多母が違和感モンスターと化した。私はキャラクターの言動に違和感を覚えてしまうと素直に笑えるギャグとして受け取れないため、キャラクターの整合性を投げ捨てている今の喜多を中心とした話の展開に対する不満、そして今後の話に関しても笑いより違和感が勝ってしまうギャグが出力され続けるのでは?という不信感が生じてしまったわけだ。

引用:漫画タイムきらら編集部公式Twitter(6/18)
 
↑作者ノリノリで草

 当然、全てのキャラクターが整合性をとれていないわけではないし、この先も崩壊したキャラだけが登場するわけでもないだろう。しかし、バンド漫画において進路問題というのは非常に美味しいネタだ。特に結束バンドでは志望校A判定の虹夏、ニートでノープロブレムの山田、両親が率先してバンド一本ルートを勧める後藤と他の3人はもう進路問題は解決していまっているため、唯一喜多だけがこの美味しいネタを活かすことができる。そしてバンドを否定し普通の進路を勧める喜多母は、夢を追うにあたって避けては通れない障害(敵)という重役をを担っているといえる。つまり今の『ぼっち・ざ・ろっく!』は一度きりしか描くことができないメインキャラクターの将来の分岐点という絶対に丁寧に扱うべき話が展開されている状況にある。そんな中で重役を担っているキャラクター(喜多母)の整合性を保てていないとなると、読者としてはどうしても不信感が募ってしまうわけだ。

終わりに

 
 実は今後の展開の予想も合わせて書こうと思っていたが、長くなってしまったので後ろに回して一度ここで区切らせてもらう。散々あーだーこーだ書き殴ったが、あくまでこれは私が抱いた個人的な感想であるため、間違っている、見落としていると感じた点やこれはこうじゃない?といった疑問、また肯定意見も含めて好き放題コメントしてくれると非常にありがたい。というかしてほしい。して。



蛇足(今後の展開予想)


 書きたいことは上に書いたのでここからはダラダラと今後の展開予想を。
恐らくだが山田と喜多母、喜多の絡みがある。理由をいくつか挙げる。
 まず、最新話で解決しなかった貢がせ疑惑の犯人が山田である。喜多母がバンド活動を反対する理由にもなっているので、なあなあで流すのは無理がある。悪いヒモに引っかかってることを危惧していたことも含めて、中性顔でいかにもな雰囲気を纏っている山田に喜多母が突っ込んでいくのは想像に難くない。

引用:漫画タイムきらら編集部公式Twitter(5/17)
 
↑ここで出た奢らせ疑惑の問題はまだ解決していない

 そしてここからが重要なわけだが、この問題を山田が奢らせててすみませんと謝罪しただけで解決するのだろうか?前述したように、喜多のバンド活動が反対される理由の1つであるため、山田お約束のクズムーブとして他に何のフォローもなしにただの謝罪で処理できるとは思えない。山田は他に金を貸してもらっている描写もあるが、貸すと奢るでは大きな差があるので猶更。
 山田と喜多母だけでなく喜多も絡むと予想したのは、ここで喜多からのフォローがないと、進学云々が解決しても後輩に小遣いを前借りしなければいけないほど奢らせているクズが同じバンドにいるという問題が残留するからだ。ここでいうフォローとはただ感情的に庇うというより、登場人物も読者もまだ見えていない、現状ただ山田がクズというだけで落ち着いている奢らせ問題の真相を「それならまあ…」と最低限でも納得できる理由を提示するという意味。
 ではそんな説明ができるのか?と問われると、できるとは思う。喜多が奢っていた記憶は、喜多が後藤さんと呼んでいた記憶と並列して喜多母の脳内に浮かんでいたため、時系列としては加入直後~文化祭までの間。これを加入直後、山田が喜多の間違って購入した多弦ベースを買い取って、ギターを貸して金欠になっていた時期と仮定すると、説明がつく。要は喜多の大きな失敗を山田が完璧な形でフォローをしたわけで、奢らせはその恩返しという形でギリギリ納得できる。……できるはず。
 ついでにいうと、喜多が抱いていた山田の幻想が壊れていない時期でもあるので、前述した恩返しの意味も含めて自ら進んで奢っていたというオチだったならもう少し救いはあるか。

 他の理由としては、山田は自分が喜多がバンドを始めたきっかけであることを知っていなさそうだったり、今後バンドを本気でやっていくのにずっと借り物のギターを使ってるのも気になる。喜多の掘り下げを複数に分けるよりは今の話にまとめる方が綺麗だろうし、その辺の伏線?を消化するのにちょうどいいタイミングだろう。

 最期はメタ的な理由になるが、喜多と山田のエピソードが存在しないということも挙げられる。正確にいうと、エピソードどころかこの2人が軸となって行動しているシーンがない。これは以前匿名掲示板で見かけた感想で、その後自分で読み返してみたところ本当だったため、そういった視点で見た際にもこの2人が中心となる話が用意されそうだな、と。……まあ、本題で展開に対する不信感を抱いたと長々書いたということもあって、この予想は微塵も掠らないかもしれないなあとも思っている
 例えばだが、喜多母が喜多と都合よく本領を発揮した後藤の演奏を見て「郁代のこんな顔初めて見た……!」「後藤凄い!こんなに上手なの!?」と感激し、その後喜多に後藤がなんやかんや言ってちゃんと進学もする!と宣言する形でまとまって、他全員が蚊帳の外のままサラっと円満解決する薄っぺらい展開になる可能性もゼロではない。散々いった作者の「描きたい展開」が勘違いネタだけでなく夢を否定する親を演奏(行動)で説得するというシーンも含まれるのであれば、それを最優先にして他のキャラを本筋に絡めないままただのリアクション要因にしてもおかしくないと思っている。

 ……蛇足もバカみたいに長くなってしまった。本題に関するコメントが一番ほしいとはいえ、他の人の展開予想も興味があるため、こうなりそう!という予想があれば深く考えず気軽にコメントしてほしい。推敲も要らない。私もろくにしてないから。……ぶっちゃけると後半は熱が冷めてきていて、面倒が勝ってしまった。読み辛くて申し訳ない。やる気が出たら不自然だと感じた部分や誤字脱字を修正する程度の編集はするのでご容赦を。それでは。


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