【2022年版】いつもミキシングに使っているプラグイン33選

どうも、しのです。

以前「いつもミックスに使ってるプラグイン16選」というエントリーを書かせていただいたのですが、あれからちょいちょい使用プラグインが変わってきたので、2022年版として書いてみます。
そこそこラインナップが変わっているので、比較してみると面白いかも。

チャンネルストリップ

1:Brainworx / bx_Console N

Neve VXSコンソールをシミュレートしたプラグイン。いわゆる1073等のOld Neveではなく、Neve 88RSのちょっと前くらいのラインナップらしいです。わりと最近買ったプラグインですが、あまりの良さに一気にメイン入りしました。
EQの効き方がとても音楽的で、特にローをブーストした時の持ち上がり方はしっかり量感があり、深いローの演出をしてくれます。今までに使ったチャンネルストリップ系プラグインの中でも、いちばん自分の感覚にリンクしてくれるので重宝しています。
主にドラムのサウンドメイクに使用。あとエレキギターにもよく使います。負荷が軽いからバンバン挿せちゃう。

2:Lindell Audio / 50 Series

APIコンソールをシミュレートしたプラグイン。APIって実は案外プラグインとしては少ない部類じゃなかろうか。
前述のbx_Console Nを含め、Neve系を「もっちり」と表現するなら、こちらは「シャッキリ」って感じ。立ち上がりの早い明るいサウンドなので、Neve系と対極の音が欲しい時に使います。EQのQ幅は広めなのに、ざっくりいじってても「なんかもうこれでいいじゃん」って感じになるのはさすがAPI系。あと、コンプもパッツンって感じでしっかりまとまるので使いやすいです。
アコギとかピアノにはこっちを使うことが多いかも。

3:Lindell Audio / 80 Series

こちらはいわゆるOld Neve系で、1073 / 1084をシミュレートしたプラグイン。僕がチャンネルストリッププラグインにハマるきっかけになった罪深いヤツです。
これのプリアンプ部がとにかく素晴らしいサウンドで、UNITYスイッチを入れてゲインブーストしてやると、音量はそのままに超気持ちいいサチュレーションが得られます。あと、何気にこれのExpander / Gateのカーブが好きかもしれない。
bx_Console Nの導入で少し出番は減りましたが、結構シンセとかに挿して馴染ませるのに使ったりしてます。

EQ

1:Crave DSP / Crave EQ

ここ数年不動のファーストチョイス。おおよそデジタルEQに必要とされる機能は網羅しており、微調整用EQとして重宝しています。主にTransparentモード(高音域のみFIRで処理してくれるモード)とDigitalモードでカット方向に調整するのと、ティルトEQとして使います。
見た目的にFabfilterのPro-Qシリーズに似ているのですが、音が緩くなると評されることの多いPro-Qに対し、こちらは非常に切れ味がよく、輪郭のくっきりとしたサウンドです。

2:A.O.M. / tranQuilizr G2

みんな大好き国産EQ。とにかく音が破綻しないのが魅力です。また、デジタルEQとしては珍しくブースト方向に使っても音が痩せる印象がありません。
主にマスタリングに使うことの多いEQですが、各バンドの位相変化を最大限にするBモードがあり、特にキックであえてゲインを変化させずに位相だけ変化させて位相を合わせる、という荒業を使うこともあります。

3:Overloud / Gem EQ84

Neve 1084をシミュレートしたプラグイン。1084シミュは数多くあれど、僕が知る限りでは最も濃厚で芳醇なサウンドが得られるプラグインです。
オリジナルの1084とは違い、Mid Bandが1つ追加されており、さらに全てのバンドは周波数が無段階可変となっています。超使いやすい。
スネアなどの重要なパートに使用することが多いです。

4:Kuassa / EVE-AT1

みんな大好きNeve 1081をシミュレートしたプラグイン。こちらはプリアンプ部のシミュレートはないので、純粋にEQカーブのシミュレートのみです。
そのおかげか、サウンドは比較的さらっとしており、トラックEQとして積極的なサウンドメイクに使用するのに最適です。
あと、負荷が軽いのでバシバシ挿せるのもいいところ。

5:Volko Audio / Q3D

Maag EQ4の前身となる、NTI Nightpro EQ3Dをシミュレートしたプラグイン。
当然のことながらQ幅が超広いので、使うのはAir Bandのみ。シンセベルやウィンドチャイム等、キラキラ成分を持ち上げたい時に使います。

コンプレッサー

1:Universal Audio / UAD-2 Empirical Labs Distressor

同名の実機をシミュレートしたプラグイン。1176の独特の歪み感が苦手な僕が、1176ライクにコンプをかけたい時に使います。なので、用途は主にスネア。ベースアンプに入れる前に挿すコンプとしても使います。
1176ライクに使う他にも、様々なコンプの挙動を真似ることができるので、実機も含め万能コンプとして人気の高いモデルです。
余談ですが、UADのDSPパワー節約のために、あまり目立たない楽器にはT-RackSのComprexxorを使うこともあります。ちょっと毛色違うけどこちらも便利。

2:Black Rooster Audio / VLA-2A MarkII

大定番のオプトコンプTeletronix LA-2Aをシミュレートしたプラグイン。ボーカル用のコンプにはほぼこれ。
2022年にMarkIIに無償アップデートされ、多数のパラメーターが追加されました。特にCell Selというフォトセルの切り替えスイッチと、Dry/Wet Mixがついてくれたおかげで、もはや無敵のLA-2Aシミュとなりました。
UAD-2のShadow Hills Mastering Compressorを作った人が立ち上げたブランドなので、ここはコンプの評価が特に高く、同社のVLA-3A(LA-3Aシミュ)やVLA-FET(1176シミュ)等も非常に完成度が高いです。

3:Universal Audio / UAD-2 Neve 33609

同名のダイオードブリッジコンプ実機をシミュレートしたプラグイン。これが嫌いなエンジニアはいないだろうというくらいの、大定番かつ超人気のコンプレッサーです。
しっかりパツっとまとまりつつも、変な圧迫感がなく、音像がちょっと大きくなる感じすらあります。僕はドラムのクロースマイクをまとめたバスにこれを挿すことが多く、Ratioを4:1、メーターが4~6くらいを指す程度までリダクションしてパラレルミックスコントロールでWet50~60%くらいまで戻してやるのがお気に入り。

4:United Plugins / Royal Compressor

伝説の真空管コンプEMI RS124をシミュレートしたプラグイン。ビートルズがどうのとかはどうでもいい。
挿してやることでとにかくぶっとくてボキボキの音になります。主にベースやドラムバスに使います。あと、ちょっと線が細いボーカルやボカロにこれを挿して、パラレルミックスコントロールで戻してやることで、太く存在感のあるボーカルにすることができます。あとはシンセに挿してほぼリダクションさせずにサチュレーションだけ付加してやるとか。

5:Brainworx / Shadow Hills Mastering Compressor Class A

おそらく現在最も評価の高いマスタリング用コンプのひとつを再現したプラグイン。主にマスタリングに使用するコンプですが、その繊細なかかり具合を利用して、ストリングスのバス等に使用することが多くあります。
余談ですが、Soundwide設立記念のPlugin Alliance製品無償配布のおかげで、これと無印とUAD-2版が揃いました。もっとも、最近はこれしか使ってないですが。

6:A.O.M. / Invisible Limiter G2

「えっ、マスタリングリミッターじゃないの?」って思った方も多いと思いますが、ここではミキシング用のトランスペアレントなデジタルコンプとしてご紹介。
いまいち数値通りの動きをしてくれない、音の掴み方が弱い等、デジタルコンプに対する不満点があったのをほぼ全て解決してくれたのがこれ。コンプレッションカーブを変化させることができるので、アタックの残し方を細かく調整できるのがいいところ。
キック用のコンプとして使っています。

7:Sixth Sample / Cramit

大定番であるOTTにインスパイアされたと思われるマルチバンドコンププラグイン。OTTと同じくパッツンパッツンの音になるのですが、その後段に歪みセクションを追加することで、リダクションでできたスパイクを和らげることができます。
シンセの音作りやEDM系のスネア等に使っています。

ディエッサー

1:Metric Halo / Precision DeEsser

ちゃんとディエッサーとして仕事してくれるプラグイン。なんてことない、普通のディエッサーですが、しっかりピークを叩いてくれるので、ボーカルのディエッサーのメインとして使用しています。
古めのプラグインなので、GUIが小さいのが玉に瑕。

2:HOFA-Plugins / IQ-DeEsser

音の破綻が少ない、素直なディエッサープラグイン。僕はマスタリング時のHFリミッターとして使うことの方が多いプラグインですが、もちろんボーカル用としても使用しています。不自然なリダクションをしてしまうディエッサーも多い中、こちらはしっかり抑えつつもナチュラルに仕上げてくれる印象です。

リバーブ

1:Universal Audio / UAD-2 Lexicon 480L

同名の実機をシミュレートしたプラグイン。もはや大定番のデジタルリバーブですね。
濃厚なんだけど原音を邪魔せずに奥行き感を与えてくれます。まさにCDで死ぬほど聴いた音です(頭の悪い感想)。
ただ、DSP使用率が高くなってしまうので、Native InstrumentsのRC48を併用することもあります。

2:Valhalla DSP / Valhalla VintageVerb

これ1つあれば、リバーブのことはほとんどカバーができる万能プラグイン。音は柔らかめで一昔以上前の実機デジタルリバーブの雰囲気なので、飛び道具的な使い方よりも、ミキシングにおける空間配置用途です。多彩なアルゴリズムと1970s/1980s/NOWと年代の切り替えが可能。
負荷が軽いのと、価格が安いのも魅力。

3:Native Instruments / Raum

こちらは飛び道具的に使用するリバーブ。D16 GroupのToraverbとかも使ってたんですが、こっちの方が操作が楽。
実機のシミュレートではない、モダンで透明度の高いサウンドです。

4:Universal Audio / UAD-2 EMT 140

同名の実機をシミュレートしたプラグイン。超定番のプレートリバーブです。
ボーカル用リバーブのファーストチョイスです。あと、スネアにかけるモノラルリバーブとして使うこともあります。

5:Eventide / Tverb

ベルリンHansa StudioのMeistersaalのルームアンビエンスをシミュレートしたプラグイン。元々は室内楽コンサートホールであるMeistersaalをスタジオのレコーディングブースとして使用しているとのことです。
上品なアンビエンスが得られ、また普通のリバーブプラグインと同様の自由度の高い操作性を持っており、いろんな場面で使えるリバーブです。ギターやストリングス、ピアノ等に使うことが多いです。
ちなみにSuperior Drummer 3用の拡張音源「The Room of Hansa SDX」の収録にもこのHansa Studioが利用されています。もちろんMeistersaalも使われており、なかなかビッグなサウンドが得られます。

ディレイ

1:Valhalla DSP / Valhalla Delay

何でもござれなディレイプラグイン。テープディレイやBBDから、最新のデジタルディレイまで幅広くカバーしているので、もう全部お前でいいよっていう超万能選手です。
一見パラメーターが多いように見えますが、パラメーターには無駄がなく、使用する上で迷うことは全くありません。ミキシングにおけるディレイに必要なことは全部揃っているので、ディレイプラグインの入門としてもおすすめです。

2:Native Instruments / Replika XT

こちらもまた万能選手なディレイプラグイン。こちらの方が、アナログ系・ヴィンテージ系を選択した時により分かりやすくサチュレーションがかかるので、汚し系で使いたいときはこちらを選択することもあります。

サチュレーション・ディストーション

1:Wavesfactory / Spectre

EQ感覚でいじれるエキサイタープラグイン。5バンドそれぞれに異なる歪みアルゴリズムを選択可能。歪みの種類が豊富でとても楽しいです。
また、パラレルミックスを100%に振り切ってやれば、エンハンスした部分だけを再生することができるので、それぞれの歪みがどういう音になるのかを勉強するのにも便利です。

2:Softube / Tape

なんという安直すぎるネーミング。読んで字のごとく、テープシミュレーションプラグインです。
ドラムバスに挿してやって、スパイクを柔らかく取ってやるのに使います。最近はテープタイプCがお気に入り。

3:Tokyo Dawn Labs / TDR SlickEQ Mastering

名前の通り、基本的にはマスタリング用EQなのですが、僕はこれのLF/HF Exciterをミキシング時に使用しています。嫌味のない持ち上がり方をしてくれるので、ローエンドのちょい足しがしたい時に重宝しています。

4:tritik / Krush

なんてことない、普通のビットクラッシャープラグイン。とにかく簡単に使えるので、Lo-Fiエフェクトをかけたい時は大抵これを使います。フリープラグインなのでみんなもらっとこう。

5:Creative Intent / Temper

なかなかエグい歪みを演出できるディストーションプラグイン。こちらもフリープラグインなのでみんなもらっとこう。

6:Softube / Saturation Knob

基本操作は1ノブのみの超シンプルなサチュレーションプラグイン。スネア等のスパイクを取るのに使います。低音または高音に干渉しないKeep Low / Highスイッチも便利です。これもフリープラグインだからみんなもらっとこう。

その他

1:iZotope / Ozone Imager 2

シンプル操作のステレオイメージャー。広げるのも狭めるのもこれ。
破綻が少なくナチュラルです。フリープラグインだからみんなもらっとこう。Ozone Standard以上持ってる人はそっちを使えばOK。

2:MAGIX / coreFX Volume Former

サイドチェインコンプをかけたようなリダクションをマニュアルで演出できる便利プラグイン。EDM系では欠かせない存在です。

3:Flux:: / Studio Session Analyzer

超定番のアナライザー。普段からアナライザーを見ることはあまりないんですが、良し悪しがわからなくなってきた時に視覚的に確認するのに使ってます。あと、一応ラウドネス計測やインターサンプルピークの監視にも。

あとがき

前回の2倍以上も紹介してしまいました。書きすぎじゃね?
ここ2年くらいで、チャンネルストリップの使用率が高くなったのがあって、かなりラインナップが変わっています。あと、いまいち違いが分からないながらも、サチュレーション系が増えたのも大きいかも。
改めて書き出してみて、たった2年でもこれだけプラグインのラインナップが変化しているので、自分の中のノウハウもものすごいスピードでアップデートされてきているのを感じます。

皆さんも是非、普段使っているプラグインを紹介するエントリーを書いてみてください。僕が楽しみにしてます。






ブラックフライデーセール、楽しみ。

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