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スマホデビューで“バズる”わずか1秒で学年中が私を知っている

みなさんはメールの時代を生きていましたか?
・返信が来ずメールセンターに問い合わせ
・増えていくRe:
・人によって着信音を変えてみる
・友達かと思ったらメールマガジン
・「メールアドレス変えました」

当時私は中学2年、念願のスマートフォンデビューを果たした。

そこで友人から一通のメール
「メールアドレス変えました」

私はいつも通り
「了解です!
連絡ありがとう、登録しました!」
と返した。

“その子が一斉送信した100人全員に”

送った瞬間に気がついた。
その子以外にも宛先が設定されていたことに、そしてその量の多さに

「メール送信中」
表示中の絶望さ、しかしスマホを買って右へ左へスワイプを楽しむことしかしていない私は取り消し方が分からない。

「すみません、誰ですか?」

鳴り止まない携帯電話
これが人生初、バズりの瞬間である。

「バズ(buzz)る」の語源
「バズ(buzz)る」の語源は、英語の「Buzz」というマーケティング用語だといわれています。「Buzz」には「ハチがぶんぶんと飛び回る音」「ひとつの場所に集まって噂話でざわざわする」といった意味があるそうです。
 エムタメ!(最終閲覧日:2020年5月30日)
https://www.google.co.jp/amp/s/mtame.jp/social/buzz%3fmode=amp

「みんな携帯直ぐ見すぎ」
「そもそもこの友達の人脈の広さ」
「そんなに誰から来たか知りたいか?」
「知らない人から“登録しました”なんてきたら怖いか」

脳の容量が足りない。スマホのように私もアップデートしたい。
きっと携帯購入当時からメールアドレスを変えておらず、暗号のようなアドレスを使用していたことも原因の一つである。

初めの方は一人一人に返信していた
「メールを送った経緯、決してあなたの何かを登録してはいない事」

しかしこれでは埒が明かない。せっかく100人に一斉送信出来るのだから活用しよう。きっと一斉送信の機能はこのためにある。

製作途中にメール受信。わかったから、私に文を打たせてくれ。

「どんまい!ちなみに僕は青木です」

ありがとう、顔も知らない青木くん。
でも私は続きを打ちたい。私はせっかく手に入れたスワイプ機能も使わずに一生懸命連打で文字を打っている。

「ちなみに何組ですか?」

(メール作成中に受信したメールを見ずに進む方法ってありますか!?)誰かに聞きたい。

そんなこんなをしているうちに、母から夕食が出来たと声がかかる。
「メールを一通だけ打たせて欲しい」
されどその一通が打ち終わらない。

メール一通にそんなに時間がかかる訳が無い。
ゲームをするためにスマホを買ったんじゃない。
食事の時くらいスマホを辞めなさい。

私だってそう思う。
(食べている間に少しは落ち着くかもしれない)
この時少し冷静になりご飯を食べた。

その後無事にメールを打ち終え、個人的に送ってくれた人への返信をして一日を終えた。

次の日学校に行くと何故かみんな私を知っていた。いや、詳しくは「あの子が例の…」と囁かれていた。
私はそこまで目立つ方ではなく、学力以外は優等生。なのに何故みんなが私を知っているのか?

なんと私が夕食を食べている間に
「こんなメールが届いたんだけど何か知ってる?」
「知ってる、私のところにも届いた」
「私は知らないけど友達に聞いてみる!」

こうしてチェーンメールのように暗号メールアドレスから届いた謎の登録確認メールは広がった。

“バズる”という言葉を知らなかった私
人より少し早く1秒の失敗で知らない人が自分を知っているという現象に出会う。

当時は恥ずかしく、ひたすら風化するのを待っていたが今だったら面白おかしく人気者になる第1歩にできたかもしれない。少なくとも次の年の自己紹介の時に話していたと思う。

私は絶対に次に“バズる”ことが出来たらそのチャンスを逃さない。
ちなみに青木くんとは卒業まで一言も話すことは無かった。




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