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ハワイの思い出、そしてその中から「ダイナー」をA4プリントセールに追加

定職に就かず、というより社会に全く相手にされず、就けず、タウンページ配布、バーのウェイター、夜中のコンビニ、からの朝一波乗り、スロット新装/新規周り、バイトのない日は蛭子徹マン…なんかでお金を作っては、当時付き合っていた彼女が留学そしてその後生活していたハワイやロスまで会いに行ってたピチピチの20才頃。

ハワイ 1997

幼少期の家族旅行以降、海外どころか国内旅行すらやったこともない世間知らずのヒゲ面ガングロ茶金髪男。なんとかパスポートを取得して観光ガイドもノウハウも読まずに飛行機に飛び乗って機内で飲まず食わず爆睡。到着後テーブルの上に置かれてた謎の書類の書き方も分からず、ほぼ空欄にあとは適当にオールチェックして、迷ってたまるかと他の乗客に金魚のフン状態。入国審査の受け方も知らず、あきれ顔でいろいろと言われてるが英語も当然ワカラナイ。そうとう宜しくない態度だったんだろうなぁ、情けない。今思うと本当に申し訳ないです。審査官に「ちょっと待ってろ」的なことを言われた直後に現れた大男3人に「ヘイ」と両腕を丁重に掴まれてどこかへと連れて行かれることに。その後どうやって入国を許され荷物を受け取って外に出たのか記憶にないほどビビりまくった経験だった。
1時間近く遅れてやっと姿を現した笑顔のない青ざめた自分に「どうしたの??」と笑っていた当時の彼女の顔だけは今でも鮮明に覚えてる。

「いやいや、それ盛ってるでしょ」と彼女にも成田空港まで迎えに来てくれた仲間達にも言われた。そりゃそんなヤツまずいないだろうし仕方がない。
でもそれから数ヶ月後、彼女が一時帰国した際に会った日本人初のボンドガールの母を持つ友人から「そういえば私もこの前ハワイ行ったんだけどさ、入国審査で並んでたときに私の少し前でどっかに連れて行かれた男がいたんけど、あれシンでしょ?」とまさかの共通友人がまさかの証人に。
「ほらマジだったろ?」と喜んだのは「普通じゃないことをやった、経験した数」で競っていた若い時分ということで。。入国審査で自分の後ろに並んでいた皆様、そして審査官さん、本当にごめんなさい。

ハワイでもロスでも当時はただのおのぼりさん。ひたすら主要観光地を「ポストカード」撮影するか、あとは今の子がそれをSNSで見せるとエモいかナウいか言ってもらえそうなプライベート写真を撮っては現地のラボで現像とプリント。そして選び抜いたプリント以外はさっさと処分、持ち帰ったはずのネガのほとんども数年後にはどこかへ。。の繰り返しだった。


それから約20年。

その「当時付き合っていた彼女」が今は妻となり、そして6才と1才半の娘を連れて久しぶりのハワイに戻ったのが2016年。あの頃の懐かしさが思い出せないほど変わっていたメインストリートにはかなり驚いた。

1ドル数セントの値札に漁りまくったレコード屋。初めての左ハンドル右通行に大逆走、クラクションがオンパレードする中それを誤魔化すように突っ込み気味に停車したローカルスーパー。「人生の三つの袋」のうちの一つが限界ヨロシク。。というところでなんとか駆け込むとその大便ドアが全開、その中にドンと座った超どデカイ人から超どデカイモノを出しながら"wassup"と挨拶され、もう出るモノも出なくなったあのボロボロの公衆トイレ。1人で待ってると必ずやばいニイちゃんやおっちゃんに遠くから目を付けられて「タバコ頂戴」とやられたあのバス停。それら思い出の場所のほとんどがもうなくなっていた。
でもその「失った思い出の場所、モノ」のおかげで、「土地柄」が主題となったその時その場だけを記録した「撮影紀行」よりさらに踏み込んで「ここで出会った街と人たちの「今」を記録し今後もそれを続けていきたい」とプロジェクトとしてスタートできたのかもしれない。

初めて行った1997年、約20年ぶりに行った2016年、そして定期的に行こうと決めて向かった2019年。残念だけど直後にコロナ禍に入り次の予定はまだ立たないけど必ずまた行きたい、撮り続けて行きたい。そしてできれば大きなところで写真展を開催して写真集「ハワイ」を出版したい。
ただ、ゴールはそこじゃないし、終わりもない。

「どんなに壊れようとも俺はこれを乗り続けるぜ」、と愛車のゴールドのキャディの中でラジオ聞いていた男性。
ウィスコンシンで長年ブティックを経営していたミズ・ローズマリーは、そこを閉めて終の地としてここを選んだ。昔から同じ犬種を飼い続けていて、今はこの子とここを散歩するのが日課だという。「ローズマリー・クルーニー、いやそれ以上にお美しいですよ」というと、「ありがとう、嬉しいわ」と別れ際に貴重な自身のショップのロゴ入り袋をプレゼントしてくれた。
テンガロンハットにタバコの姿がビーチを目の前に場違いをビヨンドして格好良すぎた男に「なぜこの地なのか」と問うと、「そりゃ理由はひとつ、お金だよ。向こうじゃもう暮らせない。タバコとシャツ一枚だけで年中過ごせるここ以外に行く場所はなかったよ」と即答。テキサスからここを選ばざるを得なかったんだと言ったあとのその笑みはとても重かった。
スーパーのフードコートで一日の大半を過ごす退役軍人。厳しい顔でここで休む観光客を眺めていたが、声を掛けると表情が一変、昔話が止まらない。最後はとても優しい笑顔でアロハとやってくれた。
なじみの店で子供たちにデザートを買っていた生粋のロコサーファー。「日本から来たサーファーと知り合って俺に合う彫りを教えてもらったんだ」そのタトゥーは見事に「光」っていた。
浜辺で愛犬に囲まれながら黙々と編み物をしていた婦人。「夜は確かに冷えるけどこんなに厚いセーターが必要なの?」と聞くと「娘はハワイ島で海や山を調査する仕事をしてるの、だからとても冷える時にはこれくらいのが必要なのよ」とたまに会いに来てくれる娘さんのことを思い浮かべながら手先から視線をそらさずにニコニコと話してくれた。ワンちゃん達の「これが日常っす」って投げてきた表情がまぁ愛らしかった。

ここに辿り着いた例えば彼らのような「風たち」に会うために、これからもハワイを撮り続けたい。


出会った光景、人々のことを話し始めると止まらない性分なのでここでグッと我慢。全体の1/3程度にまとめたものをウェブサイトに「In the Place Where the Winds」(風たちの佇む場所に)として公開してるので、写真の中の彼らと直接会話を楽しんでくれたら嬉しいです。

「風たちの佇む場所に」
またここに辿り着いた。この島を歩いていると、時々、誰にも縛られることなく、また時間を気にすることなく、自由に佇む風の姿に出会うことがある。そして、イギリス、テキサス、ニュージャージー、フロリダ等、生まれ育った土地から、この島を終の地として選んだ「風たち」とも出会えた。
「集いの島」と呼ばれるハワイ オアフ島。陽気、美しさ、安息、それらとともに、またそれらと決して切り離すことのできない、政治的問題、貧困、迫害、差別、格差なども同様に、この島に流れついていた。
私は、またここに戻ってくるだろう。風たちの佇む場所に。そして、また彼らと寄り添いたい。なぜと自問する以前に、この地に辿り着いていた者として。


ということで、この思い入れのあるハワイの中からワイマナロのダイナーで出会った一枚をA4プリントセールに追加しました。

ハワイ ワイマナロ 2019/4
注文名「ダイナー」


彼女と一緒にここで過ごした20代、そしてその女性と家族となってここに来て、そしていづれ娘達3人が巣立ったあと、こうやって2人だけでこの夫婦のようにゆっくりと「時」を過ごせたら。そんなことを考えながらこの光景に一枚だけシャッターを切った。

contact #20190327_4044 no.07-no.09


A4オープンエディションプリント

こちらはプリントページに掲載した写真のみ注文可能です。プロラボによるハイクオリティアーカイバルピグメントプリント。ハーネミューレ・フォトラグバライタ紙に厚手のバックシートを裏打ち。サインと落款を入れて丸めずに梱包して発送いたします。ご注文から発送まで1週間程度かかる場合がございます。
なお、各30枚限定のA2プリントは、オンライン上で公開している全ての写真から注文可能です。

価格:ウェブサイトを参照
フレームなし、税・送料込み
エディション:限定数なし
サイズ:A4、297 x 210 mm
用紙:ハーネミューレ・フォトラグバライタ
支払方法:みずほ銀行、PayPay/楽天ペイ送金。ペイパル送金/クレジット希望の場合は手数料5%プラス。
注文方法:Instagram、またはメールにてお問い合わせください。

また、A4プリントをご注文頂いた方には、既製品からオーダー品までオススメのフレーム(1000円〜4000円)をいくつか紹介しています(すべての写真から注文頂ける各30枚限定A2プリントには高級檜フレームをフルオーダーして額装しています)。

  


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