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夜の森

小さな森のほとりに住んでいる
夜、部屋の灯りを消して
窓から森をのぞくひとときが好きだ
青く黒く揺らめいている
夜の森を

おそろしい?
そう、私の中のおびえすらも
ありのままに浮き上がらせる
夜の森の公平さ
鏡のような深さが好きだ
私をありのままに受けとめて
青く黒く揺らめかせ
命の波動の中で癒やしてくれる

見上げれば漆黒の木々の葉
その上には濃藍の空
銀色にきらめく星々
地上の闇の奥からは
無数の命がうごめく気配
眠ってなんかいない
虫も、けものも、他のものも
草や木は昼と異なる顔をして
むしろいっそう濃い命のままに
私をのぞきこんでくる

どうぞ、ご覧ください
これが私
隠せるものなどありません
夜の森はお見通し
なぜならそこは
真実だけが存在できる
世界だから

森のほとりの小さな部屋で
私は安らぎ、眠りに落ちる
眠りの底と
夜の森は
同じものでできていると
知っているから


◇見出しの写真は、みんなのフォトギャラリーから
ai_kotobaさんの作品を使わせていただきました。
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