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あくまでも個人の感想です。ネタバレ含みます。近親相姦、家庭内恋愛などをテーマに、映画、書籍、漫画、AVの中から気になったものを紹介します。
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#近親相姦

母はなぜ入水したか 『水で書かれた物語』(1965年、吉田喜重監督)レビュー

母はなぜ入水したか 『水で書かれた物語』(1965年、吉田喜重監督)レビュー

 『水で書かれた物語』(1965年)は石坂洋次郎の同名小説を吉田喜重監督がメガホンを取って映画化したヒューマン作品です。母子相姦が題材となっています。吉田監督の妻で女優の岡田茉莉子さんが母役を演じています。

↓以下ストーリーです。ネタバレを含みます。

 平凡な銀行員である松谷静雄(入川保則)は、優しかった父(岸田森)を肺の病気で亡くし、美しい母・静香(岡田茉莉子)と二人暮らしを続けてきました。

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子孫を残すために息子と…… 手塚治虫『火の鳥 望郷編』レビュー

子孫を残すために息子と…… 手塚治虫『火の鳥 望郷編』レビュー

 小学校低学年の頃、近所の歯医者さんの待合室で、手塚治虫さんの『火の鳥 未来編』を何気に手に取って読みはじめ、そのストーリーに衝撃を受けた記憶があります。

 火の鳥から不老不死の力をもらった主人公が、終末の世界で、孤独感に苛まれ、自分の胸を撃ち抜くシーンが出てくるのです。まだ7歳か8歳くらいの子供だったので、漫画の中で、主人公が自殺を試みるという想像もつかない描写に、本を一度閉じてしまうほど、強

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人里離れた山村で、未亡人の母は息子の性を受け止める。中山あい子『奥山相姦』レビュー

人里離れた山村で、未亡人の母は息子の性を受け止める。中山あい子『奥山相姦』レビュー

 作家・中山あい子さんの『奥山相姦』(講談社、1971年)は、赤根川上流の小部落を舞台に、夫を戦争で亡くし、寡婦となった母のすえと、25歳にして痴呆症を患う息子の近親相姦を描く短編小説です。
 
 以下、小説の物語です(途中までですが、ネタバレを含みます)

 太平洋戦争のさなか、ニューギニアで夫が戦死し、寡婦となったすえは以後、夫の母である姑のハツ(78歳)と、夫との間に生まれた若年性の痴呆症を

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母子の秘め事はなぜ起こるのか川名紀美『密室の母と子』(1980年、潮出版社)

母子の秘め事はなぜ起こるのか川名紀美『密室の母と子』(1980年、潮出版社)

 川名紀美さんの著書『密室の母と子』(1980年、潮出版社)は、昭和53年(1978年)当時、年間約1万5000件もの相談が寄せられていた荒川和敬氏の「ダイヤル避妊相談室」(新宿区に拠点があったそうです)で、近親相姦に関する相談が青少年から多く寄せられていたことに関心を持った川名さんが、母子相姦に内容を絞って発生の原因、実態などを分析し「朝日新聞」に発表した内容をまとめた母子相姦の研究書籍です。

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