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出発進行っ-皆野アルプスを行く破風山ハイキング④

吉方位に行くならばその土地の食べ物を口にしたい。吉を体内に取り込むのだ。それが別の場所から届けられるコンビニの品であっても向かう人にとっては吉方位で出会う吉方位の食べ物となる。地元の食材を口にするに越したことはないけど、山間となれば難しいことも多い。

調べれば皆野駅にもコンビニはあるが駅から800mほど離れている。行って戻って1.6km、行けないこともないかな。駅から華厳の滝まではバスで向かうのだけれど乗り継ぎの関係で40分ほど時間を持て余すし。

でも・・・

「乗り継ぎが悪いな。もしかしたらタクシー使える?」

東京生まれ、東京育ち、便利の中育ったのんは40分待ちをあっさりと受け入れられない。タクシーで向かうならコンビニに寄っている暇はないかもとケースバイケースに対応できるよう、今回は秩父地元フードを見逃し、家近くのコンビニで購入する。準備も予定も万全だ。破風山に向けて出発進行。

ハイキングコース最寄り駅は秩父鉄道皆野駅である。秩父鉄道へ向かう時、二人は西武秩父駅を利用することが多いが、到着時間の関係上、今日は池袋から東武東上線を利用。池袋駅にて乗り換え。スタスタ歩くのんの後ろをたぁは黙ってついてくる。山男なだけに山では隊長となるが、山まではのんが進行役。スケジュールを組んでいるのは彼女だからだ。人任せのお気楽野郎と心で叫ぶことがあっても余計な口を挟まれるよりはいいのかなとも思う。

7時15分発東武東上線急行・小川町行にて小川町駅へと向かう。到着は8時27分。1時間以上乗車するので、この間に寝ておかないと。相変わらずのんの顔は浮腫み、体は眠りを欲求している。たぁはオーディオブックを聴いており寝るそぶりはないので、終点で乗り換えることだけ伝えていこう。回復とばかりに静かに目をつぶる。お尻に感じるささやかな振動で、体をゆっくり揺らされながらの仮眠タイム。電車で寝るのは日本人だけなんて言われるけど、これほどの安心感と心地よさを与えてくれる鉄道会社に“ありがとうございます”。おかげで快眠とまではいかずとも、眠たさとだるさの軽減になりました。

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小川町駅で東武東上線・寄居行に乗り換え再び終点まで。寄居駅から秩父鉄道へと乗り換えになるのだが、ここから先ICカードは利用できない。到着ホームから階段を上ると右手に改札、左手に秩父鉄道ホームへと下る階段がある。そのままホームに向かいたくなる気持ちは抑えて、まずは寄居駅までの清算と秩父鉄道の切符購入のため改札外へ。

皆野駅までの料金を二度見する。

550円

おっ、高いねぇ。

何かの間違いとばかりに何度か料金表示を見ても金額が変化することはない。必要な出費と心に決めて二人分購入。

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切符を手に改めて改札を通り、秩父鉄道3・4番線ホームへと下る。8時59分発の秩父鉄道・影森行で目的地、皆野駅へゴー。

眠気がなければ電車は良き読書タイム。のんは本を取り出し文章へと目をやるが、車窓から見える田舎風景が気になって仕方ない。森と田んぼ、たまに家々の情景にほっとし、本は閉じられた。たぁはオーディオブックに耳を傾けながら同じ光景を目にする。

なんて美しんだろう。

都会には都会の人工的に造られた良さと便利さがある。しかし、その中でずっと生活を続けていると息苦しさを感じる。自らを解放できる場が少なすぎるのだ。久々の緑多き風景にのんは安堵し、静かに微笑む。

25分ほど電車に揺られ、9時26分皆野駅到着。下車したのは二人だけ。

ナイスソーシャルディスタンスっ!

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のんは秩父鉄道が好きだ。車窓から見られる田舎風景はもちろんのこと駅舎1つ1つが山風景を邪魔しない木造建てで古き昔の日本を醸し出している。時間の流れも都会とは異なり、ゆっくり過ごす自分を許してあげられる。

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