伊豆天城山でハイキング-03
これまでのお話
旅の最終日、ららは翌日の予定のためにさっさと家に帰り、ささとれんはぽうが不在の家に風を通しに行くという。
アメリカで操縦士の免許を取得したら日本の大学に戻ってくるぽう。
物静かな彼は大学に合格した後、一人黙々と大学傍の宿を探し、なんと1K2万9千円という破格物件を見つけ出した。それはささが借りるトランクルームよりも安い。そんなこともあって、(予定では)一年半後に戻ってくる彼のために借りたままになっている。
私たちはというと・・・・・・近くでもう一泊して帰る予定。
伊豆方面、初日はたぁと私にとって幸い吉方で行けるけど、最終日である11月5日は暗剣殺がかかっている。
暗闇にて剣で襲われ殺される。
ひぇ~、お止め下さい。
殺されることはなくとも自分の気づかぬ場所でトラブルに巻き込まれたり、不要な問題を引き起こしてしまうという人によっては最も不吉な凶方とされている暗剣殺方位に帰ってくるなんていただけない。
九星気学を学んだあと、一度は方位を無視したものの、その統計学を信じるべく様々な経験をしてから再び、方角を気にするようになった。
どうしても動かせない予定なら仕方がないけど、幸い、翌日11月6日に自宅へと戻れば吉方を得られる。
これも何かの教えだろう。
翌日に予定があるわけでもないし、全国支援もあるからと延泊を決めたのだ。
当初は小田原まで車で送ってもらうことになっていたけど、伊豆での延泊を決めたのならそうはいかない。最終日は河津七滝を観光する予定なのでその傍の宿を借りたらささにも面倒をかけずに送ってもらえると思い、最寄の伊豆熱川駅近くの良さげな宿を予約した。
全ての宿を予約完了。10月20日に全国支援がスタートした。
東京は遅れてスタートするということだったけど、それは東京の宿の話で東京住人も東京以外の宿であれば問題なく申し込みが出来るという。
ホっ!
既に申し込んでおいた予約を全国支援へと変更し、じゃらん割引もあってそれはそれは嬉しい価格で宿泊が出来ることになった。心はルンルン、全国支援ずっと続いてほしいな💛
課題が一つクリアできれば、不思議と別の不安が頭に浮かぶもの。
お天気は大丈夫かな。
十月も中旬を過ぎると晴れの日が続いていたのに週間予報では11月1・2日と雨が降るらしい。出発日である3日からは晴れ予報になっているけど天気はいとも簡単にずれ込むし、伊豆、天城山で微妙に予報が異なっている。
だって台風の影響だもの。
どうして11月に?
どうして旅行を計画するとこうなるのよ。
自分ではコントロールできないことにストレスを抱えても仕方がないんだけど、姉家族との旅行を組むのは簡単なことじゃないし、またキャンセルになったら今年はもう一緒に旅するのは無理だよ。
とりあえずは3日の天気は微妙でもハイキングをする4日は太陽マークが輝いているんだから、不要な心配は止めておこう。
旅程が近づいてくるとささから連絡が来た。
「ねぇ、初日に家族で釣りやってから向かいたいから現地集合でいい?」
はっ、なんですと?
私たち、あなたたちの車に便乗させてもらえるってことで駅から離れた宿を申し込んだんだよね?
実はささ家族は10月上旬に釣り目的で伊豆へと向かったものの雨のせいで目的を達成できずにいたのだ。
その穴埋めをしたいのはわかるけど、一緒に旅する私たちのことまでちゃんと考えてる?
「釣りしたら宿に着くの遅くなるんじゃない?」
「大丈夫、16時には着くように向かうから」
でもいつも約束時間に遅れるよね。
彼らと私たちの旅行の組み方は違う。
私たちは予定を最小限にしてゆっくりと過ごしたい。だけど彼らは予定を詰めまくる。
夜遅くに宿について、夕食食べて、とりあえず温泉入って、朝出発のためにお金を払うなんて、そんな忙しなくて宿が楽しめないようなことはしたくないんだよ。
それに彼らは交通の便が悪い宿までどうやって私たちに行けと言うのか。
タクシー使えってこと?
とりあえず姉といえども別家族。どんなに不満を抱えても彼らの意見だって尊重してあげたい。そのためにはこちらの意見も汲み取ってください。
「宿集合なら電車の駅から近い場所に変えて。そうしたら自分たちで周辺の観光を楽しんでから向かうから」
駅から近いなら送迎も期待できるしね。
「うーん。ちょっと考える」
同日の夜、再び彼女から電話が来た。
「宿の変更をするの嫌だから、最初の予定通りでいいです」
そう言われるとなんだかなぁ。
「それなら河津七滝を初日に行くことにすれば。ルネッサ赤沢(二日目に泊まる宿)は熱川の海から近くて、周辺で釣りが出来るみたいだよ。それにそうしてくれれば私たちも一緒に釣り楽しめるし」
「あっ、それはいいかも」
河津七滝観光は最終日へと変更になった。
「ただそうなると送ってもらう宿は河津七滝近くで選んだから、ルネッサ赤沢から離れているんだよね」
「それはいいよ。ってことはその宿、伊豆熱川駅の近くなんだよね」
「うん」
「そこに錦っていう有名な海鮮丼屋さんがあるよ。一緒に食べてから解散しようか」
「おっ、いいね」
その店は毎年ささたちが伊豆に訪れる度に立ち寄る場所らしくすぐに予約をしてくれた。
ふぅ、これでもう本当に旅程決定だね。
お話の登場人物:
私-のん、夫-たぁ、
姉-ささ、姉の夫-れん
姪っ子-らら、甥っ子-ぼう
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