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記事一覧
充分ではない(短編怪談)
祖母と私はともに霊感らしきものがあった。
あくまでそれは「らしき」ものだった。
例えば道を歩く血まみれの女性の幽霊が見えたりとか、首のない青年が駅のホームで頭を探していたりとか、そういう光景が見えるわけではない。
どことなく、あそこに行ってはいけない気がするとか、今日は大事な電話(だいたいの場合は悪い知らせ)がくるから外出しない方がいいとか、そういうことが分かるだけだ。
じゃあどうすればい
短編怪談「彼が悲しそうな理由」
久しぶりに会った友人は学生の頃とは打って変わって寡黙で雰囲気も暗かった。
一体、クラスのムードメーカーになにがあったのか。私は彼の話を聞くことにした。
彼は悲しそうな顔で話し始めた。
「大学の時に事故に遭ってさ。頭を強く打ったらしくて、一命は取り留めたんだけど。」
そこで一度言葉は途切れた。
「後遺症があるのか?」
心配そうに聞く私に彼は答える。
「そう……なるかな。その事故以来、幽霊がね見えるよ
雪の降る土地には住まない
これは友人のBさんから聞いた話だ。
彼女が通った高校にある噂があった。
『雪の降る日に屋上に行ってはいけない。
明日に飛ばされてしまうから。
明日に飛ばされて、昨日に帰ることはもうできない。』
多くの生徒、少なくともクラスメイトはこの噂を知っていたはずだとBさんはいう。
ただ、そもそも屋上に行くための扉の鍵は締まっているし、大雪の日であれば休んでも大目に見てもらえるくらいには緩い学校だった。
黒い男(リレー怪談:空亡茶幻様)
三年前、大崎さんは一種の睡眠障害に悩まされていました。
入眠するところまではいいのですが、途中で覚醒してしまいぼんやりとまどろんでいると足からだんだん身体が動かなくなり金縛りになるのがお決まりのパターンでした。
そして金縛りにあっている最中、彼の寝ているベッドの傍らには男が立っていたのだといいます。
ぼんやりとした真っ黒なシルエットで姿だけでは男性とは判断できないのですが、毎回そのシルエットは大崎
墓地の警備(局長の話)
私が遠縁のあるおじさんがから聞いた話。
おじさんは数年前まで、とある霊園の事務局で局長として働いていた。
当時も今も夏になると肝試しをしに墓地に来る若者たちがいて、また、そういう人達に限ってゴミを散らかし放題で帰っていくのだそうだ。
肝試しそのものももちろん困った話ではあるのだけれど、ゴミが一番の悩みの種だった。
場所が場所だけに放っておくわけにもいかなかった。朝早くからお墓参りに来る人たちも少な
リクライニングベッド
これは友人がとある職員として病院で働いていた時の話。
その病院には普段使われていない部屋がありました。
入院用の個室なんですけど、その部屋のリクライニングベッドにいわくがあり、どうしても部屋が足りないとき以外は使わないようにしていたそうです。
「スイッチを押してもいないのに頭の部分が勝手に持ち上がる」そんな誤作動がときどきあったそうです。
そして、この誤作動が起きた時、そのベッドを使っていた人は必
ビルの地下にあったもの
とある建築現場の監督から聞いた話。
大手の建設会社に勤めていた男性は、もともとはオカルトには半信半疑の人だったらしい。
ただ、とある工事をきっかけにすっかり信じるようになってしまった。
その工事は5階程度のあまり大きくはない会社ビルの建設だった。
工期通りに工事は進んでいて、ビルの基礎、つまり土台ができれば、あとの工事も順調に進むだろうと思われていた。
そんなときだった。
ある一区画が、雨が降っ