見出し画像

美容師、理容師さん最強説

LinkedInのアンケート機能を使い、美容室、理容室に関するアンケートを取らせて頂きました。(176名の方にご回答いただきました)

そんなわけで、皆さんが今の美容室、理容室をどのくらい継続利用しているかを集計してグラフにしたのがこちらになります。(下図参照)

お客さまの利用年数をグラフ化

n数=176)なので、まあまあ確かな情報と考えられます。(もちろん性別、職業、年齢などのセグメントにより違いはあると思います)

※若年層は行きつけの美容室、理容室は無く、Webや情報誌で毎回、良さそうなところを見つける傾向があると某広告屋さんに聞いたことがあります。


素人考察

理容・美容業界に知見が無いので確かなことは言えませんが、こちらのグラフを見るに8割の人が同じ美容室、理容室に通う傾向があり、5割の人が長期的な付き合いをしている

そして、皆さまのコメントを読み取りわかったことは、「美容室」「理容室」のこだわりよりも、「美容師さん」「理容師さん」に顧客が紐づいている。(付き合い方もさまざまです)

また、2割の人は特に行きつけの美容室、理容室は無いとの回答ですが、転勤が多いお立場の方だったり、安くて質の良いところを選ばれていたり、こちらの理由もさまざまです。

年齢、性別などで違いもありますが、8割の方が「通う」傾向のある業界。


コンビニや歯医者よりも多い

もう一つ調べてみました。

日本にはどれほどの店舗数があるのか気になり、政府統計データから「店舗が多そうなヤツ一覧」をグラフにしました。(下図参照)

各業界の実店舗数

マジか!?

歯医者はコンビニよりも多いと聞いてびっくりした記憶がありますが、美容室ってコンビニの4.5倍!各エリアに満遍なく配置されているおなじみの郵便局と比べるとおよそ10倍です!

やはり美容室や理容室は群雄割拠の世。顧客のリピートこそが重要であると再確認することができました。(考察になってませんがw)


有識者に聞いてみた

このアンケート結果を元に2人の有識者さんに「お客さまをリピーターにさせる秘訣」をインタビューしてみました。

1人は私の地元の先輩で、20年ほどの付き合いのある美容師さん。もう1人は数百店舗のヘアサロンを経営している役員さん。

2人の立場や規模は違いますが、リピータにさせる秘訣はほぼ一緒でした。


技術8割:情報収集2割

初めてのお客さまに担当として付く場合、意識として持つべき教え

初めてのお客さまはさまざまな経緯で店舗に来店されます。ホットペッパー見たり、Webで調べたり、知人、友人の紹介だったり。

しかし、初めてのお客さまに共通して言えることは、その店舗や美容師、理容師を「品定め」していることです。

初めてのお客さまには「ペラペラ」と喋りません。お客さまにヘアカタログと、年代、性別に合わせた雑誌を渡し、美容師はお客さまの髪質やコンディションに合わせ「髪切り」に集中するわけです。

お客さまとの会話は、技術を提供するために必要な情報をヒアリングするだけ。


技術5割:情報収集3割:コミュニケーション2割

めでたく2回目もご利用いただけた場合、意識として持つべき教え

技術についてはある程度の納得があるため2回目も利用いただいている。既存の技術を担保しながら美容、理容の施術を進めていきます。

ここで情報収集の割合が増えるのは、お客さまが手に取る雑誌やスマートフォン閲覧ページの滞在時間から、お客さまの趣味、趣向を情報収集するらしい。

美容師、理容師の強さは、お客さまが読む雑誌、またはスマートフォンの後ろに立てることです。

お客さまがどのような商品が好きなのか?好きなタレントさんは?どの特集ページに目がいっているかなどを、後ろからコッソリと情報収集しているらしい。(プロになるとお客さまには絶対バレない方法があるとのこと)

そして収集した趣味、趣向は、その場で使うと「気持ちが悪い」ので使いません。2回目のご利用は、あくまで「当たり障りのない会話」で。


技術3割:情報収集3割:コミュニケーション4割

3回目もご利用いただけた場合、意識として持つべき教え

ここからがリピーターにさせる本番です。技術に対する納得と、今まで取りだめた情報を使い、美容師、理容師側から積極的にコミュニケーションを取ります。

もちろん、初回~2回目の雰囲気や、お客さまの当日のコンディションにより、「喋らない方が良い」お客さまもいらっしゃいますので様子を見ながらです。

活躍するのは、過去2回で収集した顧客情報(美容室によっては顧客台帳:CRMで文字データ化)を元に、共通の話題を作り上げていきます。


「〇〇さんって、最近あの映画見ました?」

「〇〇さん!ぼく今度ゴルフ始めようと思ってるんですよ」

「〇〇さん…美味いラーメン屋知ってたら教えてくれませんか?」


おっ!この美容師さん・・・趣味あうじゃん!


かくいう私も、今の美容師さんとお付き合いしたとき、共通の趣味の話をしてくれて、一気に距離が縮まったことを覚えております。

裏ではこのような情報収集により丸裸にされていたと考えるとビックリです。(最初から手の内バラされてたら怖くてリピートしませんでしたが)

一度、仲良くなったら最後、こちら(お客さま)からドンドン話してしまいます。

家族のこと、恋愛のこと、仕事のこと・・・

最終的に私は今の美容師さんに「学歴」「職業」「職場環境」「年収」「家族構成」「恋愛遍歴」「夢」など、あらゆる個人情報を教えてしまってました。


お客さまの顔と自分の顔を両方見ながら仕事する

同じ方向を向き、相手の表情と自分の表情を同時に見て仕事をする唯一無二の仕事

私が美容師さん、理容師さん最強説を唱える理由の一つはここにあります。

鏡というツールを使い、お客さまの表情と自分の表情を両方見ながらコミュニケーションを取れる環境はなかなかございません。

対面営業を長年やっていた私にとって表情(顔)というのは、とても重要なアウトプットと考えております。

「目は口ほどにものを言う」という諺じゃありませんが、相手の表情も見えて、自分の表情も分かる環境で仕事をしている職業。

そんな環境の中で「技術」「情報収集」「コミュニケーション」を上手に利用し、お客さまをリピーターにさせる美容師、理容師こそ「最強の対面営業」と言っても過言ではありません!


オンライン営業は美容師、理容師から学ぶべき

そしてコロナ禍の時代、「ソーシャルディスタンス」「3密」「まんぼう」などの対策として、我々のような対面営業を生業としていた人間は、オンライン営業(非対面営業)にシフトチェンジしました。

当たり前になったオンライン営業(非対面営業)

そうです。

「お客さまの表情」「自分の表情」が見られる環境。つまり美容師、理容師の環境に多くの営業がシフトチェンジしたわけです。

世の中がオンライン営業(非対面営業)に変わった直後、「ネット環境によりラグが発生する」「画質が悪い」「場の空気を掴めない」などと言った否定的な意見も多く出ておりましたが、経験と進歩によりそれなりに改善されてきました。

しかし、多くの営業が気づいていないのが「自分の表情を自分で確かめられる環境」だと言うこと。この環境を200年前から経験している美容師、理容師から学ぶべきことが多いのではないのか?と私は考えます。

美容師、理容師の情報収集力と、コミュニケーション力。そして相手の表情と、自分の表情を見て仕事をする能力が高まれば、お客さまを丸裸にさせることだってできるわけです。

既に某ベンチャー企業では、オンライン営業(非対面営業)と美容師のコミュニケーションの親和性を理解し、営業スタッフ研修の一環として、2週間ほど美容室でアシスタントをさせているらしいです。

未曾有の環境に適応するためには、その環境の先輩から学ぶのが一番です。


髪切る時間=可処分時間

余談を一つ。

去年の春、こんなニュースが届きました。

Amazon、ヘアサロンをオープン。ロンドンに

英Amazonは、ARなどの最新技術と、売れ筋のヘアケア製品を体験できるショーケースとなる美容室「Amazon Salon」をロンドンにオープンする。

Amazon Salonでは、ARを利用したバーチャル・ヘアカラーを体験できるほか、施術中はFireタブレットでさまざまなエンタメを楽しめる。「クリエイティブ・エリア」で新しいヘアスタイルを撮影することもできる。

また、新しく開発した「ポイント・アンド・ラーン」技術により、展示されているヘアケア製品のベストセラーのうち好きなものを指さすだけで、ディスプレイに製品の関連情報やブランドのビデオが映し出される。展示棚にあるQRコードを読み取ると、Amazon.co.ukの商品ページに移動し、商品を注文することもできる。(Impressより抜粋)

Amazonが美容室の施術時間に目を付けたという記事です。

拘束されて身動き取れない状態が1時間ほど続く美容、理容の施術時間。雑誌やスマートフォンを眺める時間にさせるのは勿体ない。

であれば、美容室での経験がすべてAmazonに有益なものとなるよう設計し、Amazon漬けにさせちゃおう!ってのが狙い。

奥ゆかしさのある日本人には「流石にやり過ぎ」「これは下品」と思うかもしれませんが、やりようによっては「施術時間=可処分時間」として、お客さまに販売を促す日本独自の方法が今後作られていく可能性が秘められていると思います。

美容、理容の環境にビジネスチャンスを生み出す人がこれから出てきそうです。


凄腕社長の経営する高級ヘアサロンの儲け方

もう一つ余談をおまけに。

都内某所にある完全紹介制の高級ヘアサロンの話。

経営するのは美容・理容業界とは全くかけ離れた業界の社長さん。

従業員は凄腕の美容師さん。価格は超高級のため、お客さまもVIPクラス。

しかし、その高級ヘアサロンは赤字を垂れ流しております。

立地もよく、使われている材料なども高級なものばかりですが、一番は凄腕の美容師さんが高給取りなこと。お客が来れば来るほど赤字になる仕組み。

税金対策か?と思いましたが、どうやら理由は別にあるとのこと。

・高給取りな凄腕美容師
・VIPなお客さま(社長、官僚、芸能人)
・個人情報は丸裸
・情報はヘアサロン経営者の手元へ
社長はVIPなお客さま同士をつなげる仲介者

これが赤字でも儲かる仕組みらしい。


最後に

色々と書いてしまいましたが、私が伝えたかったことは、美容師さん、理容師さんは超スーパーウルトラ最強スペシャリストだ!という話。

さまざまな対面、非対面コミュニケーションの技術を磨きたいのであれば、長年お世話になっている美容師さん、理容師さんの「所作」や「表情」「言動」に注目してみてはいかがでしょうか?

それではまた!


トリビア

切った髪は「かつら」や「ウィッグ」として再利用されると言われるが、日本人の髪は、整髪剤やカラー、パーマなどで痛みまくっているため再利用できない。(4へぇ)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?