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名前に踊らされる

流行り言葉に踊らされていませんか?流行語とかそういう意味ではなく、ニュースになる言葉、バズワードといった類の言葉です。

言葉が市場を引っ掻き回す

「働き方改革」とか、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」、「AI」といった言葉はIT業界にいなくてもそこそこ聞いたことあるかと思います。これらの言葉の本来の意味ってわかりますか?

下手したら、IT業界にいても本来の意味を知っている人は割合的にはそれほど多くないのかもしれません。なぜなら、IT業界は常にそういった言葉に市場を引っ掻き回されているからです。引っ掻き回されるとは、それらの言葉を誤用して都合よく使ってしまった結果、言葉の意味があらぬ方向に理解され、本来の目的を果たすことができなくなってしまうことです。

概念に名前があることの大事さ

働き方改革やDX、AIは概念です。概念に名前がつくことで、人々はその概念を知り、人に伝えやすくなります。これらの概念がイノベーションを起こしていくためには、名前は欠かせません。

当然ながら、イノベーションを起こすだけでなく、それを世に広げていくためにも重要です。IT業界に限らず、その概念に直接関わりがない人でも、ニュースや記事でそのような言葉を見れば、多少なりとも気にはなるようになります。それによって、徐々にその概念に対する認知が広がり、その概念の実現に向けて社会的に動いていくこともできるようになります。

名前があることの弊害

ただし、残念ながら、名前があって、世に広がっていくことで良い面だけではありません。本来、名前と概念がセットになって世に広がっていくことが理想です。しかし、ほとんどの場合は名前だけ先に広がって、概念自体は広がれば広がるほど不正確になっていきます。そして、人間は自分に都合よくその名前を解釈して、概念を少しづつねじ曲げていきます。

結果、その名前を全面に出しつつ、本来の概念とは真逆となるような製品やサービスが世に放たれるのです。例えば、リモートワークの従業員を監視するような製品を「働き方改革」のツールとして出してしまったり、ペーパーレス化をするだけで「DXを実現」とか言ってしまったりするのです。

しかも、これを起こしているのが、IT業界の外の人ではなく、IT業界の中の人というのが悲しいところです。IT業界はこの30年ほどでびっくりするほど大きくなりました。そうなってくれば、業界が専門家集団から烏合の衆となってしまうのは致し方ないかもしれません。

この名前に踊らされる問題は、専門家集団でない限り避けては通れない問題なのかもしれません。実際、日常で使用する言葉も意味を変えつつかるものが多数存在しています。わかりづらい専門用語が世に広がれば誤用されるのは当然の流れなのかもしません。

私はこれは解決策はないんだろうと諦めています。言葉は生き物なので。

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