7、アナの告白
――私は座っている。
私は椅子の様なものに座っている。
……ここはどこ?
……フロントミラー、ダッシュボード。
――ここは車の中だ!
私は車の助手席に座っているのだ。
暗い道をゴーっと大きな音を立てて車は走行している。
……夜中だろうか?
いや、違う。車はトンネルの中を走っているのだ。
天井の左端と右端に設置されているオレンジ色の照明が、勢い良く後方に流れていく。
かなり長い距離のトンネル――ここは高速道路だ。
片側二車線の道路の前方には、他の車の赤いテールランプが遠くまでたくさん見える。
この車は一番左の車線を走っている。
「ヨウヘイ! 菊池先生!」
――シンの声だ!
右側の運転席を見るとシンがハンドルを握って座っている。
暗くてよく分からないけれど、オレンジ色の照明に連続的に照らされたシンの頬には涙が流れている様に見える。
見た目からするとシンの年齢は二十歳以上。さっきまでの中学生ではない。
運転席のメーターに表示された時刻は一時三十二分。でも、午前なのか午後なのかは分からない。
取り敢えずはっきりしているのは、私達はシンが中学一年、二学期末のテストの初日からタイムスリップしてきたという事だろう。
――ん?
何だか車の動きがおかしい。
車はセンターラインを越えてどんどん右側に寄っていく!
――そうか、シンは車の運転中だという事に気づいていないのだ!
下を向いてぶつぶつと何かを繰り返し呟いている。
後方から車のクラクションと思われるけたたましい音が鳴り響いた。
「――何だ!」
シンはびっくりして顔を上げた。
「シン、気をつけて! あなたは今、車の運転をしているのよ!」
私はシンの方に身体を乗り出して叫んだ。
「……車? ここはどこだ!」
シンは前方を見て飛び跳ねる様にして驚いた。
でも、シンは瞬時に状況を判断したのか握っているハンドルを左に切った。
車はトンネル内の壁に激突する事を免れた。
――すると大きな音が鳴り響く!
二トン車がクラクションを鳴らしながら私達の乗った車を左側の車線から追い越していった。
――間一髪。もう少しで大事故になるところだった。
「何で俺は車を。何でアナは隣に――」
「私達は再びタイムスリップしたの! お風呂場、中学一年の期末テスト、その次はこの車の中みたい!」
「あぁ!」
シンが泣き出しそうな声を上げた。
「もういい加減にしてくれ! ヨウヘイと菊池先生のところに戻してくれ! それか普通に死なせてくれ!」
シンはハンドルをガタガタと乱暴に揺すった。
――危ない、このままだとシンは事故を起こしそう。落ち着かせないと!
「とにかく、まずは今がいつになるのかをはっきりさせよう? シンは冷静になって安全運転をして! 事故なんか起こして世界が変わってしまったら、あの大きな黒い物体がどんどん増えてしまうかもしれないよ!」
「世界の事なんて知った事か! 既に俺の世界はもうおかしな事になっているだろ?」
シンはそう言うと私の眼をじっと睨んだ。私は何も返事が出来なかった。
「ていうか――」
シンは前方に視線を戻すとイライラとするように言った。
「俺が過去の行動と違った行動を取るから世界が変わるのか? あの変な声は確かに『世界を変えるな』って言ったよ? でも『過去の行動と違った行動を取るな』なんて一言も言ってないだろ!」
確かに神様も詳しい事は言っていない。ただ「世界を変えるな」って言っただけ。
それと世界が変わってしまうと何が起きてしまうのか?
そんな事も一切説明してはいない。
「大体、アナは何の権利があって俺に指図するんだ!」
シンは私を見ずに叫んだ。
「年下の君になぜ色々指図されなくちゃならない? しかもまだ会ったばかりなのに……。それにどうせ俺は死ぬ。俺は、もうどうなっても構わない!」
シンはハンドルを拳で殴りつけると、一言も喋らなくなってしまった。
私も黙り込んだ。
……そうね、私はシンに色々と指図してしまっている。
「まだ会ったばかり」っていう気持ちも分からなくはない。
でもね、シンは私と会ってからまだ僅かな時間しか経っていないと思っているけれど、私からしたら三千年の付き合いになるのだから。
……分かっているのシン?
私はずっと前からあなたの事を知っているのよ!
バカ!
二人の間に暫し沈黙が流れた。
すると急に周囲が明るくなった。
――また何か異変が起きたの?
違う、車が長いトンネルを抜けただけだ。
明るい、今は夜ではなくて昼間らしい。
でも、灰色の空が周囲の山々に覆いかぶさる様にしていて全体的に薄暗い。
あれは何?
白いものがチラチラと宙を舞っている。
――雪だ。
そうすると今の季節はおそらく冬だ。
……うん、私のセーラー服も冬服だ。今は冬なのだろう。
――ん?
私のお尻のところに何かが重なって見える。
――シンのブリーフケースとPコートだ。
助手席の上に置かれたブリーフケースとPコートが、助手席に座っている私のお尻と重なり合って見えている。
「……このシチュエーション、仕事で長野に行った時か?」
シンが沈黙を破り呟いた。
仕事……長野……?
トンネルの中では分からなかったけれど、確かにシンは仕事の時にいつも着ている紺の三つボタンのスーツを着ている。
それにこの汚い車内……ドアポケットの中に丸めて突っ込まれた雑巾や軍手、ダッシュボードの上に無造作に置かれた書類。
――これはシンの会社のワンボックスカーだ。
……そうか、分かった!
「そうだよ、仕事! シンの言った通り!」
私はシンの方へ乗り出した。
「新宿の事務所から長野まで行った時の帰り道だよ! イベント会場の設営にどうしても人が足りないからってマックス企画の和田常務にお願いされて、それでわざわざ車でアルバイトの人を六人送り届けた日! ……ほら、後ろの座席を見て! アルバイトの神村さんが置き忘れていったジャンパーがあるじゃない!」
シンはルームミラーでナイロン製の緑色のジャンパーを確認すると、唖然とした表情で私を見つめた。
「だから、今日は二〇一二年十二月二十三日! クリスマスイブの前日――」
「――ちょっと待って! 待ってくれ!」
シンは左手を出し私の話しを遮ると、車を減速させて路肩に停車させた。
シンは怪訝そうな表情をして首を傾げた。
「アナは何でそんな事まで知っているの? 初めて会ったばかりとは思えない。マックス企画に和田常務の事まで……。まるで俺の事を昔からずっと見ていた様じゃないか?」
シンは怪訝な表情をしたまま私の眼を見つめている。
チラチラと舞う程度だった雪はかなり強くなってきた。
窓ガラスが徐々に白く染まっていく。
私は深呼吸をした。
シンに私の事を話す時が来たみたいだ。
それも私の存在の核心と言ってもいい部分の話しを……。
こんな日が来るなんて夢にも思わなかった。
シンの人生を百二十回、三千年も見てきた私は今、重大な局面を迎えている。
決まりきった出来事しか起きない私の存在は、既に右も左も分からない大海原のド真ん中に投げ出されている。
今、それを現実として強く感じている。
ハザードランプの「カチカチ」という慌ただしい音が、
〈早くシンに話せ〉
と私を急かす。
でも、私の話しを信じてくれるだろうか? こんな現実離れした、自分でも信じられない――
「協力しなさい。世界を変えてはならぬ」
――聞こえた、またあの声だ!
心の中に直接届く様な、男か女か分からない様な不思議な声!
やっぱり神様の声なのだろうか?
「またあの声だ! アナにも聞こえただろ!」
シンにもしっかり聞こえた様だ。
シンはシートベルトを外すと運転席のドアを足で蹴って開き外に飛び出した。
――瞬間、私は外に出たシンのすぐ横に瞬間移動した。
シンはワンボックスカーの前で空に向かって何かを叫ぼうとしたけれど、私の姿に驚いて尻もちを着いてしまった。
「……なぜ、助手席にいた筈なのに」
シンは眼を丸くして私を見上げている。
――そうか、シンは私の瞬間移動の事は知らないのだ。
でも、今はそんな事どうでもいい。あの天からの声は私に向けられたものだと思う。自分の存在についてシンに話す様にと神様が私に促したのだと思う。
「私はシンの全てを知っているの」
私は思い切って口火を切った。
「私はね、シンが生まれてから死ぬまでの全てを知っているの」
「何をバカな? そんな事あるワケない!」
シンは立ち上がると手で両足の雪を払った。
「よく聞いて、シンが生まれたのは一九九九年九月九日午前三時〇七分。……お母さんから聞いた事あるでしょ?」
シンは眼を丸くして私の顔を見た。
「そうよね? 予定日を一週間も過ぎてやっと出てきた」
「……何で、何でそれを?」
シンはわなわなと震えた。
「私はシンの傍にずっといたの。だから当然知っている」
「ずっと傍にいた? そんなワケがない」
「私の姿が見えていなかっただけ。私はずっとシンの傍にいたの」
「そんな、幽霊じゃあるまいし! 嘘をつくな!」
「嘘なんかついていない!」
私はセーラー服のスカーフを握りしめた。
「私はね、シンが生まれた一九九九年九月九日、午前三時〇七分から、シンの死んでしまう二〇一五年九月二十三日、午後一時三十分頃までの約二十五年間、シンの傍にずっといたの! シンにも誰にも私の姿が見える事なくずっと!」
シンは生唾を飲み込んだ。
「……本気で言っているのかい? 嘘じゃなくて?」
「嘘じゃないわ。だから、私はシンの色々な事を知っているの!」
「そんな、まさか……」
シンは頭を抱えた。
「だとしたら、要するに……要するにだ?」
シンは眼をつむったまま何かを考える様にして両手を動かしている。
「――アナの話しが本当だとするならば、俺は二十五年経って死んだ瞬間、幽霊か何かになってアナの姿が見える様になったって事? アナの姿が見えるまでに二十五年の時間を要したって事?」
「……違うの、シンは幽霊ではない。あなたは死んでいない。……いや、死んだのだけれど死んでいない」
「どういう事だよ! 分かりやすく説明してくれ!」
シンが両手を開いて叫んだ。
「私だって分からないよ!」
私もシンに向かって叫んだ。
「それに『二十五年経って』っていうところも違う。シンに私の姿が見える様になるまでの時間は、厳密に言うと二十五年ではないの」
「あー!」
シンは地面に積もりだした雪を爪先で蹴りあげた。
「二十五年だろ! 俺の寿命は二十五年だから!」
「そうよ! でも、そうではないの」
「分からないよ! ちゃんと説明してくれ!」
シンは私に詰め寄るようにして声を荒げた。
――もう真実を全てシンに話すしかない。私の話しを信じてくれるか分からないけれど、もう話すしかない。そうしなければ何も進展していかない。
私は覚悟を決めた。
「シン?」
「……何?」
「驚かないで聞いてね」
「何?」
「私はね、私はシンの二十五年の人生を百二十回繰り返し見てきたの」
シンは眼を大きく見開いたまま動きを止めた。
「……何だって?」
「私はシンの二十五年の人生を百二十回繰り返し見てきたの。百二十回、都合三千年」
私はシンの眼をじっと見つめた。シンは黙ったまま何も言わない。
「私はシンが死んでしまった瞬間、タイムスリップしてシンの生まれた瞬間まで戻る。私はそれを百二十回繰り返しているの。だから厳密に言うと、シンが私に気付くまでには三千年の時間が経っている事になるの。私は三千年間ずっとあなたの傍にいたの!」
「ありえない。信じられない!」
シンは首を振りながら、雪の降る中をぐるぐると歩き始めた。
「嘘じゃないわ! 全部本当の話しだから!」
「だって、おかしくないか!」
シンは勢い良く振り返った。
「おかしいだろ、『離れる事も出来ずに』って……。離れたら良かったじゃないか! 誰にも姿が見えないなら、誰も迷惑するわけじゃないし!」
「さっきの私の瞬間移動を見たでしょ? シンが私から見えない所や離れた所に行ってしまうと、途端に私の身体はシンの傍に瞬間移動させられてしまうの! だから離れる事は出来なかったの!」
シンは反論せず私の顔を見つめたまま黙ってしまった。
すると何を思ったのかシンは突然走りだし、ワンボックスカーの助手席側から車体の後ろ側に回り込んだ――
――瞬間! 私の身体は車の後ろにしゃがんで隠れているシンのすぐ横に移動した。
「本当だ……」
シンは私の姿を見つけて驚いている。
……本当に私が瞬間移動するのかを試したのね。
シンは頭の雪を手で払いゆっくりと立ちあがった。
「……アナが俺の傍にいた時間は三千年って言ったよね? でも、アナの年齢は十四歳……これって一体……」
「私は歳を取らないみたい。それがなぜなのかは私にも分からない」
私はシンの眼を見つめた。
「私も、ほとんど自分の存在について分かっていないの。このセーラー服だって、なぜ着ているのか全く分からない。私は普通の人間とは違う存在だって事は分かっている。私は空気や風みたいな存在。――見て?」
私は両手を広げた。
「これだけ雪が降っているのに私の身体に雪は触れないでしょ?」
雪は私の身体をスリ抜けていく為、シンの頭や肩の様に雪が積もりはしない。シンは呆気に取られた様な表情をしてその様子を見つめている。
「それにほら!」
私は周囲をバタバタと走り回った。
「こうやって走っても雪に足跡が付かないでしょ!」
私はわざと足を大きく動かして跳ねる様に走り回った。
「私に影響するのは風だけ! ほら、髪の毛やスカートは風になびいているでしょ!」
私の髪の毛やセーラー服の襟、スカーフやスカートが風になびく。
私は何か言いたげな表情をしたシンを他所に周囲を走り回った。
「……私は今、走っている」
私は誰に言うでもなく呟いてみた。
……いや、私だって走った事くらいある。
でも、今までと今とでは内容が全く違う。
今は私の走る姿を見ている人がいる。私の走る姿をシンが見ている。
……何だろうこの気分は? これが、「楽しい」っていう気分?
楽しんでいられる様な状況じゃないのは分かっている。今の私は深刻な状況だ。でもそんな状況は関係なく、「楽しい」気分は突然やってきた。
シンは雪だるまみたいに真っ白になりながら、間の抜けた顔で私の動きを眼で追っている。
シンは寒いのか小刻みに震えている。
……可笑しい!
私は寒さを感じないのに!
「シン、見える?」
私はバレリーナの様にくるくると踊る様に回ってみた。
黒い髪の毛とスカートもくるくると回る。妙に可笑しくて笑いがこみあげてきた。
「見てほら、まるでコマの様!」
私は声をあげて笑った。
私は、私の存在に風だけは影響する理由が分かった様な気がする。
理不尽な運命に憂鬱になった時、スカートや髪の毛をくるくると回したり風になびかせたりとして気分転換が出来る様にだ。
シンは相変わらず呆気に取られた様な表情で私を見つめている。
シンは私の話しを信用するだろうか?
こんな突拍子もない話しは信じられないかな?
でも、もうどっちでも構わない。私は生まれて初めて、「楽しい」という気分を味わえた。
これだけで十分……。
「アナ」
シンが口を開いた。
白い息が口から洩れる。
「……全てを知っているって事は、黒須ルカの事も知っているよね?」
私は回るのをやめてシンの眼を見た。シンは真剣な表情をしている。
……黒須ルカ。
あの女の子の事はもちろん知っている。忘れる筈もない。
シンの大切な人。もう二度と会えない大切な人……。
「知っているよルカの事は。何があったのか、私は全て知っているよ」
シンと私は雪の中、黙って眼と眼を見つめあった。
これも会話になるのだろうか?
言葉を使用せずに気持ちのやり取りをしている感じ。
するとシンは黙って頷いた。
「分かったよ」
シンは身体に積もった雪を両手で振り払うと、私の眼をじっと見つめた。
「分かったよ。アナの話しを信じるよ」
「え?」
私は素っ頓狂な声を上げた。
シンは私の眼を見つめたままニコリとほほ笑んだ。
「信じられない様な話しだけれど信じるよ。天の声も俺達が協力する様に言っていたしね。それに何か手を打てば、俺は峠で死なずに済むかもしれないからね」
「……本当に、信じてくれるの?」
私はシンに聞き返した。シンは黙って頷いた。
「あぁ、信じるよ。アナは俺の事を詳しく知っている……本当に俺の傍にいたからだろうね。ていうか、全然気付かなくてごめんな。透明人間と暮らしていたとはね」
そう言うとシンは声を上げて笑った。屈託のない笑い方、明るかった頃のシンみたい。
「……ありがとう」
良かった、自分の話しを信じてもらえたのは生まれて初めて。
「楽しい」とは少し違う……これは「嬉しい」というものかもしれない。
私は顔を伏せた。
すると私の瞳から一粒涙がこぼれた。
涙は雪の上に落ちると小さな穴を開けた。
――――――――――――――――――――――――――――――
車の運転席に座ったシンは、エアコンの送風口に両手をかざしている。
「あぁ、寒かった」
シンは送風口から送られてくる空気で手を暖めているのだ。
私は寒さを感じない身体なので、じっと助手席に座っている。
そう、私達は既に車の中に移動してきている。
「そういえばアナのセーラー服、さっきまでは夏服だったのに今は冬服だよね? ……いつ着替えたの?」
シンは老人の様に背筋を曲げたまま私のセーラー服を眺めた。
「これは季節によって勝手に夏服か冬服か切り替わるの」
私はスカーフをいじりながらシンの質問に答えた。
奇妙な話しだよね? やっぱりシンは私の話しが信じられなくなるかしら?
「……へぇ、なるほど。変わっているねぇ」
そう言うとシンは大きなあくびをしながら眼を閉じた。
――って、全然驚いていないじゃない!
セーラー服が勝手に切り替わるなんて、かなり不思議な話しだと思うけれど?
……でも、この期に及んだらこの程度の話しでは驚きはしないかもね。
ある意味、シンは状況に適応したのかもしれない。
「それよりアナ、これからどうする?」
シンはハンドルに身体を預けた。
「『世界を変えるな』っていうのは分かった。世界を変えてしまうと何か良くない事が起きる。あの巨大な黒い物体が現れたというのも、良くない事の一つかもしれない。でも、俺たちは具体的に何をしたらいいのかな?」
シンはフロントガラスをじっと見つめた。
私もフロントガラスに目を遣った。外の雪はどんどん強くなってきている。
確かにこれから何をしたら良いのか想像もつかない。
私達はこの後、どこへ向かって車を走らせたら良いのかも――
「そうだ、大変!」
私は突然大きな声を上げてしまった。
シンは驚いてハンドルから身体を離して私の顔を見た。
私は大事な事を思い出した。こんな所にいる場合ではない、早く行かないと! 差し当たって私達がしなければいけない事は、早急にあそこへ行く事だ!
「何、どういう事?」
「シン、早く車を出して! あのサービスエリアに行かないと!」
「サービスエリア? あぁ、この先にあったけれど。そう言えばあの時も休憩がてらに寄った筈。……トイレに行きたいの?」
「私はおしっことかしないの! そうじゃなくてあの女の子を助けないと!」
「ん? ――あ!」
シンもあの出来事を思い出した様だ。
……あの出来事、シンが再びあの出来事を経験しなければ、確実に世界が変わってしまう!
人の命にも影響が出てしまう!
シンは車を急発進させた。
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