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記者の転職先は? 広報、コンサル、医者など進路は多彩です

 「記者はつぶしがきかない」とよく言われます。
夜討ち朝駆け(いわゆる張り込み)や、インタビュー等を通して情報を収集し、記事を書くという仕事は特殊性が高く、他の業務に使えるスキルは身につかないと考えられているためです。

 一方、部数減少による将来への不安もあり、若手を中心に転職する記者も増えており、その進路も多岐に渡っています。

 そこで私の知り合いの記者の退職後の進路をご紹介したいと思います。現職の新聞記者・テレビ記者だけでなく、ライターの方にもご参考になれば幸いです。


記者のスキルを生かす

 取材して記事にするというこれまで培ってきた記者のスキルを生かせるため、同業他社や広報職に転職する方は知人の中でも最も多いです。

  • ブロック紙、地方紙記者→全国紙記者
     地方新聞社の経営状況が不安、より大きな舞台で取材をしたいといった理由で転職するケースが多いです。仕事内容はほとんど変わらないため、ノウハウがそのまま生かせます。

  • 全国紙記者→ブロック紙、地方紙記者
     取材したいテーマを地方新聞社で深堀するために、転職する記者がいます。全国転勤を避ける狙いもあるようです。

  • 新聞記者→テレビ記者
     映像メディアに関心を持ったり、転勤が嫌になったりして転職するケースです。報道以外の部署に異動する可能性もあるので要注意です。

  • webメディア
     web媒体を運営する会社で、記者や編集者として働いています。新聞記者と親和性の高い仕事ではありますが、web記事ならではのルールを覚える必要があります。(私もnoteで文章の書き方を試行錯誤中です。今回から記事を「ですます調」に変更し、改行を増やす工夫をしました。)

  • フリーランス記者
     新聞社時代の人脈や知識を生かして、本業としてだけでなく、副業で活動する記者もいます。私もフリーの経済記者として活動したいと考えておりますので、どのような働き方があるのかを模索中です。(詳しい方がいれば教えてほしいです)

  • 企業の広報部
     記者の転職の王道です。大手からベンチャーまで幅広い企業が対象です。私の転職活動中でも、記者の経験を最も評価してくれる職種でした。取材をする側の感覚というのは、広報経験だけでは身に付きづらいようで、一目置かれるとのことです。

     先日、友人の元全国紙政治記者とランチした際に、「広報、合っているかも」と楽しそうにしていました。記者界隈の人脈を生かして、経済誌や全国紙への掲載が増えて社内でも評価されているようです。

職種転換

  • 日系企業
     自動車大手、家電大手、インフラ系、ベンチャーなどに転職します。営業や経理、マーケティング等、新たな職種の勉強をする必要があります。

  • コンサル
     Big4やアクセンチュアにコンサルタントとして入社しています。コンサルの大量採用が続き、数年前から採用難易度が下がっているため、転職を狙う方は増えています。記者の勉強意欲や、激務への耐性が評価されます。

     入社時は未経験中途ですので、年齢に対して低いランクからのスタートになるのは覚悟が必要です。終身雇用の組織ではないので、スキルアップ後の転職や、独立など、次のステップを見据えたうえで転職することをお勧めします。

  • 政治家
     元同僚で県議になった方が複数人います。記者になったのも政治家になるのが目標だったようです。

  • 政治家秘書
     大物政治家の秘書になった記者がいます。将来的には国会議員を目指しているようです。

難関資格取得、大学院進学

 記者は勉強が得意な方が多いので、難関資格に挑んだり、学問を追及したりする方も多いです。

  • 医学部進学
     私の知人3人は文系ですが、国立医学部にアラサーで合格しています。医療関連の取材をするうちに医師になりたいと思ったそうです。受験勉強のために、予備校に通っていました。大学生活が長く、30中盤に医師免許を取得できるとのことでした。

  • 司法試験
     司法試験に挑み、合格した記者がおります。その方は仕事中もずっと、六法を読んでいたようです。

     弁護士として活動する元記者はwebで検索しても結構出てきます。若手のうちに、記者として、事件や司法を担当するので関心を持つ機会も多いかと思います。

  • 公認会計士、USCPA
     経済分野を取材していた記者や、語学力が高い方で資格取得した方を複数人知っています。経済取材をする中で、自分自身でビジネスに携わりたいとの思いが募り、起業、独立を視野に入れているようです。

  • 教員
     学生時代に取得した教員免許を生かして、教壇にたっている方がいます。教員の人手不足で、採用ハードルは下がっているようです。

  • 大学院
     取材していた分野や、ジャーナリズムの専門知識を深めたいという記者が何人か大学院に進まれました。

  • 留学
     語学力を上げたい方や、ジャーナリズム・メディア論を勉強するために、海外の大学に通っている方もいらっしゃいます。

進路は多彩

 以上、ざっくりですが、私の知人の新聞社退職後の進路をご紹介しました。改めて、かなり多彩だなと思いました。

 事件や、スポーツ、海外、経済、政治など、若手のうちから幅広い分野を取材するため、自分の関心のある分野に気づけることが大きいと思います。

 また、記者は転職市場の評価が高くはありません。私も転職エージェントの評価が思ったよりも低く、プライドをへし折られ、傷つきました。

 スキルを評価される仕事が少ないため、記者の仕事の延長線上ではなく、他の職種にも目を向ける機会が多くなります。転職した元記者ともよく食事をしますが、色々な話を聞けて面白いです。

 私も転職時に元記者のキャリアをインターネットで調べましたが、上記のほかにもNPO団体で働いたり、国連で働いたりと様々なキャリアがあります。

 広報や同業他社に目が向きがちな記者の転職ですが、自分と向き合って幅広い分野で、将来の進路を考えてみてはいかがでしょうか。

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