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タイから陸路でラオスへ。ラオス中国鉄道の旅がはじまった


2021年12月、ラオス中国鉄道が開通した。ヴィエンチャンから中国国境のボーテンまでの422.4キロだ。同時に中国側のモーハンから玉渓までの玉磨線、507.4キロも開通。玉渓から昆明はすでに列車が走っていた。これでヴィエンチャンから昆明までの鉄道が開通したことになる。早く乗りたかった。しかしコロナ禍が立ちはだかる。ラオスと中国の入国はなかなか難しい。ところが2022年5月、ラオスが突然、入国制限を解除した。しかし中国はゼロコロナ政策を堅持し、ヴィエンチャンから昆明までは難しい。そこでまず、ヴィエンチャンからルアンパバーンまで乗ってみることにした。ラオス中国鉄道の旅の前哨戦といったところ? 第1回は日本からバンコク経由でラオスをめざす旅。

 旅の期間:6月6日~6月7日
※価格等はすべて取材時のものです。

ウドンターニーから陸路でヴィエンチャンが安い

(旅のデータ)
日本からラオスのヴィエンチャンまでの飛行機は、まだ正常に戻っていない。ラオスが規制を緩め、観光客を受け入れるようになったのは5月。今後、便数が増えていくはず。7月のフライトを見ると、ベトナム経由が安く、往復で9万円から10万円前後が最安値だろうか。
しかしヴィエンチャンにはもうひとつのルートがある。タイから陸路で向かう方法だ。日本からタイのバンコクに入国。タイの国内線でウドンターニーに向かい、そこから相乗りバンやバスなどを使ってヴィエンチャンに着く方法だ。東京とバンコクの間には、ZIPAIR、ベトジェットなどのLCCが就航。7月で往復6万円前後から。バンコクからウドンターニーまでは、ノックエア、タイ・ライオン・エアなどが片道2000円台から7000円台といった価格帯。ヴィエンチャンまで飛行機で入るよりはるかに安い。僕もこの方法でヴィエンチャンに入ることにした。詳しい運賃は各sightで紹介していく。

機内はアメリカからの里帰りタイ人で埋まっていた

(sight1)

新型コロナウイルスの感染が広まってから、成田国際空港でチェックインをするのは4回目になる。月日を追って少しずつ、そう薄皮をはぐように、チェックインカウンターの明るさが戻ってきたが⋯⋯まだ、にぎわいという言葉にはほど遠い。ほかの空港は書類のチェックに時間がかかるので3時間前にといわれるが、成田国際空港は大丈夫みたい。
 
(sight2)

羽田国際空港に比べると、成田国際空港の免税店のシャッターあげ率はぐっと低くなる。とくに高級ブランド品を扱う店は、もう2年以上閉まっているのかも。乗客にそんなものを買う余裕はない? それがコロナ禍の旅? 欧米や中東の空港と比較してもしかたないが。成田国際空港はアジアの空港に比べても暗い気がする。

(sight3)

ところがバンコク行き飛行機の搭乗口は空席をみつけることが難しいほどの乗客。そして機内に乗り込むと⋯⋯この混雑。半年前の空席ばかりが目立つ機内とは隔世の感。「成田ーバンコク線は混んでますよ。1ヵ月先でも空席がないほど。皆、アメリカからタイに向かう人たちです」。バンコクの旅行会社からそう聞かされていた。僕はアメリカ人で機内は埋まっていると思っていたが⋯⋯。次のsightで。
 
(sight4)

乗客の体格が大きくない。荷物もそれほど多くない……。乗客の大半はタイ人でした。6月1日から、タイ国籍をもった人はワクチン接種証明さえあれば、タイ入国時にタイランドパスを申請する必要がなくなっていた。ふと横の席を目を向けると、タイ人の親子。そう、2年ぶりの里帰りなのだ。アメリカ社会で暮らすタイ人の多さ⋯⋯機内の混雑で教えられました。タイランドパスについてはsight6で。

根も乾かぬうちに7月1日から廃止


(sight5)

バンコクのスワンナプーム空港に着いた。以前は書類のチェックに時間がかかり、通路に並べられた椅子に座って待ったものだった。その椅子が撤去されていた。入国のためのチェックも簡略化され、スタッフも慣れてきたのだろう。スムーズに進むようになったところでその制度がなくなる。これって入国規制の「あるある」です。

(sight6)

進んでいくとありました。入国審査前の唯一の関門、タイランドパス。これはネットで、個人データや入国日、パスポート、ワクチン接種証明書、罹患したときの治療費用の保険証書を添付し、審査を受けるともらえるパスだった。これもはじめの頃は入力方法がわからず、苦労したものだった。今回は慣れたから楽⋯⋯という舌の根も乾かぬうちに7月1日から廃止の発表。世のなかってそういうものです。

悔しいので、タイランドパスの記念撮影です

(sight7)

廃止と聞いて悔しいので、タイランドパスの記念撮影です。今回は日本からタイ、ラオスから陸路でタイ、バングラデシュからタイと3回、タイに入国するので、3枚のタイランドパスをとった。これが1回目。スタッフはQRコードを読みとり、その内容を確認するシステムだった。1年もすぎると、「そういえばタイランパスってのもあったなぁ」などと忘れられ行く存在になるはず⋯⋯。
 
(sight8)

タイランドパスの審査を通った人は、胸にこのシールをぺたんと貼られる。それを見せつつ、イミグレーションに進むわけだ。これはどの入国ポイントでも同じようにしていると思ったが、今回、3回入国したが、シールはこの1回だけ。ほかはやり方が違った。こういうところが日本と違う。自由といい加減の境界あたりが、タイという国の定位置ですかな。
 
(sight9)

荷物を受けとって到着ロビーに。「ん?」。がらんとしたスペースに出た。そうだ。以前はここに隔離ホテルのカウンターが並び、ホテル名を書いた紙がべたべたと貼られていた。その隔離が原則、なくなった。テーブルや椅子が消え、手配に奔走していたスタッフも忽然と消えた。コロナ禍は嵐だった⋯⋯。この空間を見るとそう思う。

終電ひとつ前の電車に間に合った

(sight10)

入国が規制されるなか、3回、タイに入国した。いつも隔離ホテルに向かう車が用意されていた。公共の交通機関は、隔離が開けるまで乗ることができなかった。今回は4回目。ようやく隔離がなくなり、エアポート・レイル・リンクという空港と市街を結ぶ電車を利用できるようになった。乗ったのは2年ぶりだ。
 
(sight11)

飛行機がバンコクのスワンナプーム空港に到着したのは夜の11時すぎだった。しかしタイランドパスや入国審査もスムーズで、30分ほどでエアポート・レイル・リンクのホームに。終電のひとつ前の電車に間に合った。公共の交通機関の利用が可能になり、悪質空港タクシーも復活⋯⋯と聞いていたが。2年半の間の減収を一気にとり返そうとするタクシードライバー。タイが戻ってきた。

(sight12)

バンコクで1泊。翌朝、ウドンターニーに向かうためにドンムアン空港に向かう。道は渋滞。新型コロナウイルスの収束に向かうなか、渋滞もしっかり戻ってきた。しかし「渋滞はコロナ禍前よりひどい」とバンコクっ子。車が増えたとは聞かないが。「コロナ禍の2年半で、皆、渋滞を避ける方法を忘れちゃったんじゃないかな」と彼らはいう。そういうものだろうか。

ウドンターニーまではLCCで片道3640円だった

(sight13)

コロナ禍の間も、バンコクのインフラ整備はちゃんと進んでいた。ドンムアン空港と市内を結ぶレッドラインという電車が2021年8月に開通した。今年の3月、メーソートから飛行機で戻ったときに乗ったが、「う~ん」と悩む代物。空港ターミナルから駅までが遠く、電車の本数も少ない。タイ国鉄が運行する電車だから? モーチットからドンムアン空港行きのバスにした。運賃30バーツ。電車より快適。タイ国鉄さん、申し訳ありません。
 
(sight14)

ドンムアン空港に着いた。と、目の前に抗原検査施設。タイではATKと呼ばれる。どうも無料らしい。バンコクから地方への感染拡大を防ぐことが目的だろうが、検査を受ける人は誰もいなかった。タイ人の関心は高くない? もう感染は終わった? それほど甘くはないと思うが。
 
(sight15)

ドンムアン空港の国内線チェックインフロアーは混みあっていた。もう、コロナ禍前に戻ったような空気が流れている。乗るのはタイ・ライオン・エアというLCC。ウドンターニーーまで片道3640円だった。運賃はコロナ禍前と大差はない感じ。ラオス中国鉄道の旅がはじまる。
 
 
 
【次号予告】次回は7月15日。「コロナ禍のラオス旅 ラオス中国鉄道に乗りに行く」の2回目。ヴィエンチャン駅までやってきたのだが⋯⋯編です。
 
 





新しい構造をめざしています。