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就活のエントリーシートは推しを紹介する気持ちで書く

4月から7月にかけて、東京工業大学の生命理工学院の大学院生向けにサイエンスライティングの講義をしていました。で、昨日になってようやくレポートの採点をしました。採点の祭典というやつです。てへ。

僕の担当テーマは就活向けのエントリーシートということで、サイエンスライティングと全然関係ないじゃんと思われそうだけど、実は相手や自分のことを調べて相手に伝わるような文書を書くという点においては共通しています。これはあらゆる文章に共通することなんだけど、意外と「相手に伝わるような文章を書く」ということを心がけることが少ないので、講義ではかなり強調して言っています。

もちろん僕が独自に見いだしたものではなくて、『数学ガール』シリーズで有名な結城浩さんがたびたび言っている「読者のことを考える」を応用したものです。

とはいえ、自分の知っていることを文章にして相手に伝えるのは難しいこと。そもそも、自分でも何を知っているのかという時点で困っている人は結構います。

自分の知っていることとは、たとえば自分の強み、体験、性格、価値観、常に心がけていることなど。研究なら、仮説、実験、結果、考察も、自分の知っていることです。

これにプラスして、自分の知っていることで相手に伝えたいこと、それは「推し」です。

推しといってもアイドルである必要はなくて、好きなアーティスト、俳優、スポーツ選手、YouTuberでもOK。起業に興味があるなら憧れの経営者もいるでしょう。あとは人でなくても、好きなスポーツチームや趣味そのものでもいいです。

さて、推しのことを他の人に伝えたいとき、相当いろんなことを考えますよね。何から紹介しようか。あれもこれも、いやいや一気に話してもドン引きされるかもしれないから、話す順番を考えてゆっくりと沼に引きずり込むように、そしてここぞというときにインパクトのある一撃を放って……と。

これって、自己PRやガクチカを書くときの心構えと似ていると僕は勝手に思っています。どの順番でどう書くか、決め手となる一言をどのタイミングで入れるか。自己PRやガクチカをどう考えてどう書いたらいいかわからないという人は、推しを他の人に紹介することを例題にしてみると、いい練習になります。


もう一つ、自己PRやガクチカで悩むのは、「他の人と被るんじゃないか」という差別化です。これも推しの練習問題から応用できて、確かに誰が(何が)推しかというのは被る可能性があります。でも、推しのどこがいいか、何がきっかけで好きになったのか、推しによって自分の考えがどう変わったかは人それぞれです。

たとえば……僕の推しは日向坂46なんですけど、『キュン』の振り付けを完コピするほどハマった人もいれば、『キツネ』のMVがすごく好きでMV付きCDを買った人とか、どこが好きかは人によってバラバラです。だからこそ推しは尊いわけです。

ふざけているように思えるけど、ここまで掘り下げていくと自分にしかないエピソードや価値観が浮かび上がってきます。それは推しも自己PRも一緒です。だから推しの紹介文を練習問題にするのは有効だと個人的に思っています。


ちなみに、僕が日向坂46を好きになったきっかけは、たまたま冠番組の『ひらがな推し』(今の『日向坂で会いましょう』の前身)の初回放送を見たことです。しばらくは惰性で見ていたんだけど、大喜利を極めようみたいな回がめちゃくちゃ笑えて、「この人たちすごく面白いんじゃないのか!?」というのが沼に落ちたエピソードです。去年初めてアイドルのライブというものに行って、今年の4月に横浜スタジアムでやったライブにも行きました。素晴らしかったですね。本当はライブの話もしたいのですが、それをやっていると日付が変わってしまうので今日はこれくらいにしておきます、までを1セットにして講義で話しています。学生は顔出しなしのオンライン講義なので反応がわからないのがつらいですね。てへ。

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