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【しまね女子ブログ】江戸末期に建てられた古民家と出会う

はじめまして。
この度「しまね女子ブログ」を担当させていただくことになった西原貴美です。島根県大田市の五十猛町(いそたけちょう)というところで、フレル食堂という小さな食堂を営んでいます。これから約1年、どうぞよろしくお願いします。

島根県に引っ越してきて3年と少し。江戸末期に建てられたという築200年を超える古民家で、夫と小学校4年生の娘、ライナス(11歳 犬♂)、ハンナ(2歳 犬♀)の5人でのんびり暮らしています。

ハンナ(黒白)とライナス(茶色)。
自宅からすぐの海岸で遊ぶ娘。

第1回目となる今回は、我が家が大田市への移住を決めるまでについて書いてみたいと思います。


これまでの人生で7回の引越しを経験してきました。
住んだことがあるのは、大阪市、神戸市、鳥取市、西粟倉村(岡山県)、そして大田市五十猛町です。一番長いのは、大阪。小学校から高校卒業までを梅田近辺で過ごしましたが、人が多い環境が苦手なので、実家のある大阪にはたまに遊びに行くくらいがちょうど良いのです。

こちらに来る前は、岡山県北の山あいにある西粟倉村というところに10年ほど住んでいました。西粟倉村は水も空気も美しく、人も素敵で、関西方面へのアクセスも良く、とても良いところです。しかし、村内にはコンビニも銀行もなく、信号機は村に1つだけ。買い物に行くには車で30分、冬は積雪1mを超え、とにかく寒い。
それに比べれば、五十猛町は十分すぎるほど都会です。コンビニはたくさんあるし、最寄りのスーパーまでは車で5分、大きい病院も歯科も耳鼻科も眼科もある。そして自宅から2キロのところに美しい海が広がっていて、家のそばは車がほとんど通らないのでとても静かで過ごしやすい。冬もそんなに寒くない。最高です。

繰り返しますが、西粟倉村もとても住みやすく良いところでした。
では、なぜ私たちがわざわざ西粟倉村を出て、縁もゆかりもない島根県大田市に引っ越してきたかというと、それは「家」です。

私は食堂を、夫は木工を生業としており、以前は食堂、木工の工房、自宅の3つが全て別の場所にありました。それぞれが車ですぐの距離でしたが、娘が成長するにつれてその少しの距離も不便だと感じることが増えてきていました。

食堂と工房と自宅が、全部同じ場所にあればいいのに。

ということで家探しが始まりました。範囲はかなり広めに西日本全部。
まずは各地の空き家情報をインターネットで検索し、良い物件があれば見に行ってみよう、という割とのんびりした姿勢でした。
私の希望は山が近くにあること。夫の希望は海が近くにあること。そして何よりも娘とライナスが気に入る場所であること。(ハンナはまだ生まれる前。)

そんな中「島根県大田市 空き家バンクどがどが」で現在の我が家を発見します。

ホームページに記載されていた家の取り図。

なんだこの間取り。広すぎるな。えっと、牛舎ってどういうこと?

頭上に疑問符がたくさん浮かびました。

でも、この広さなら食堂も工房も自宅も全部一緒にできる気がする。しかも、建物の隣には100坪強の広さの畑もあるらしい。それはとても嬉しい。さらにすぐ裏が山で、海までは2kmの距離。
この物件、現時点で完璧なのでは? ということで、すぐに大田市に連絡をして現地を確認しに行きました。9月のはじめ頃のことでした。
当時、娘は幼稚園の年長。うまくいけば半年後の小学校入学のタイミングで引っ越しできるかもなあ、とぼんやり考えていました。

正面から見た我が家。広すぎて全貌が映らず。
自宅の隣にある畑部分。奥に見えているお隣さんの屋根あたりまで全部。

これまでに住んでいた古民家を二軒とも自分で改修してきた経験から、今回もそのつもりでした。今回の物件は、江戸の終わりに建ち、そこから増改築を繰り返してきた古い家らしいので、まずは自分で改修できる状態なのかをしっかり見極めなければなりません。

そして見学の結果は、「かなり頑張れば内装は何とかなりそう」。
屋根がしっかりしていたこともかなり重要なポイントで、あとは何と言っても価格。畑込みで私たちが想定していた価格内だったことも幸運でした。

それから幾度か家族会議を重ね、約1ヶ月後に娘とライナスを連れて再訪。幸い2人ともすぐに気に入ってくれました。とんとん拍子です。家族とも「もう一回くらい冬に来てみたいね。」などと話していました。我が家としては決断を急ぐ理由はなかったので、他の地域でも並行して家探しを続けていました。

しかし、この直後に市の職員さんから電話で「この物件の見学希望があと2組あるので出来れば早く決めて欲しい。可能なら2、3日くらいで。」と伝えられます。

まじか.... 急展開すぎる。

家族で何度も話し合ったとはいえ、突如訪れた「家の購入を2、3日以内に決めなければならない」という事態に頭が真っ白になりました。どうしよう。
これを逃せばここまで条件に合う物件に出会える保証はどこにもない。いやでも、さすがにもうちょっと考えたい。え、これどうしよう。

家の周りの風景。空が広い!

いま思い返しても、我ながら驚くべき決断力でした。
結局、この一軒しか見ずに、初めての内覧から約1ヶ月、2回目の見学から3日後に家の購入を決意。ついでに、頭の中でかなり大がかりになりそうな改修作業の見積もりをすませ、それをやりきる覚悟も決めました。頑張る。
普段は石橋を叩き壊すような性格ですが、ここぞという時の決断力には自信があります。良くも悪くも。家に「呼ばれた」というのが一番近いのかもしれません。

ここだけの話、五十猛(いそたけ)という地名が気に入ったというのも理由の1つです。漢字と響きがかっこいい。

そんな訳で、初めての出会いから約半年後の2021年の4月、我が家は大田市五十猛町へと引っ越してきました。
引越しは想像を絶する大変さだったけれど、今となっては良い思い出です。懸案事項であった娘の小学校入学のタイミングにもぎりぎり間に合いました。なにはともあれ無事に引っ越せて良かった....

ということで、引越しも無事完了したところで今回はこのあたりでおしまいにしたいと思います。

おまけ。散歩中のライナスと私。

次回は引越しにまつわるあれこれや、自宅の改修作業等についてお伝えできればと思っています。お読みいただきありがとうございました。


◆◇◆━━━━━━◇ プロフィール ◇━━━━━━◆◇◆

【名前】西原貴美(にしはらたかみ)
【居住市町村】大田市五十猛町
【UターンorIターン】Iターン
【移住前の居住地(都道府県)】岡山県
【年代】40代
【お仕事】料理人 / フレル食堂店主
【好きなこと】犬、植物、本、ごはん、煎茶道、着物
【Love shimaneとしてひと言】
海と山との距離、町の大きさ、気候。その全てが、私にはちょうどよくて住みやすい。特別なことはないけれど、季節ごとの五十猛での日々の暮らしを綴ります。


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