見出し画像

Hero's Journey(神話の法則)に見るThe ALFEEと明日への光➂

この記事はアルフィーの47年の歴史が”ヒーローズジャーニー”という神話のテンプレのような法則にそうように流れているのかを検証しているものです。⓵と⓶を読んでからこちらを読むことをお勧めします!

ヒーローズジャーニーとは何か、アルフィーの神話の始まりはこちらへ(➀ 法則1から7)

ヒーローズジャーニーの2回目はこちらへ(⓶  法則8から12)


13. Magic Flight(魔法飛行)
力・宝を持ち帰路につくヒーローを嫉妬のあまり追う敵や奪おうと戦いを挑むライバルが待ち受ける、危険でエキサイティングな“帰り道”は最後の旅です。果たして無事に“ホーム”に帰りつくことが出来るのか、ハラハラドキドキの帰還飛行です。

90年後半から2000年代のアルフィーは30周年を目前に新しくレギュラーを務めるバラエティ(Tx2show、ラブラブ愛してる、堂本兄弟、フォーク村等)やラジオ(坂番、Ktra、ロックばん)も始まり、世間の人気と認知はどんどん上がります。とんねるずのロケで高見沢さんが指を骨折したり、ベルーガ絵本を書いたり、NYのテロでせっかくのロンドン公演が中止になったり(どれも01年)、“フォークの伝道師”坂崎さんがあのフォーククルセイダースに入ったり(02年)、桜井さんが本格的に芸の道を極めヒッピーおじさん、ホルちゃん、このえちゃんなど数々のキャラクターがライブに登場したのもこの時期、と本当に忙しい“ヒーロー”のお仕事が続く時代でした。このころからテレビで高見沢さんの面白い面も表に出て、単なるギターが上手くて美しいイケメンではないことが認知されます。音楽番組やライブ以外の顔を見ることができたのはファンにとっては新しい喜びであり、古参のファンは昔のラジオでの様子やライブハウスなどでの気さくなお3方の姿を再度目にできた貴重な時代だったのではないでしょうか。
そんな中、原点に、ホームに、はじまりの場所に、帰るという流れが見えます。
2002年に34作連続オリコン入りをファンと一緒に祝う Thanks For Your Love という無料イベントは“ファンあってのアルフィー”と今でもお3方が言われているよう、昔から支えてくれたアル中さんへの感謝の帰還でした。それからのツアータイトルの変貌を見ても原点復帰の兆候が見えます。*1年にタイトルが2つあるのは春と秋の2ツアーあるからです。
2003 My Generation (僕の時代)、 Going My Way (我が道を行く)
2004   30周年記念  Travelin’ Band (全国各地を渡り歌ったアルフィーらしいタイトル、83年発売のアルバムに同名の曲があります)
2005 Starting Over (もう一度はじめから)
2006 One (一丸となって、もしくは唯一無二の)
2007 春の嵐、天河の舟 (嵐に押され、舟が出る・・・デビュー直後に自身の船出を書いたような、坂崎さん作詞のセイリングも思わせます)

ツアーを一年一年やりながら、アルフィーは少しずつ自分たちの“ホーム”に帰ってきます。

14. Rescue from Without(救出)
旅に出た時にガイドや仲間が必要だったように、帰還の時にもそんな大切な仲間や新しく現れる救済者に救われます。

アルフィーの“ホーム”は何だったでしょう?始まりの時にあったのは3人の声、ギターの音、音楽を楽しむ心、たくさんの共有する時間、笑い声、好きな音楽、夢を追う自分たち、だったでしょうか。*実際のアルフィーは忙しい期間も自分たちの持ち味・原点であるハーモニーやアコースティック演奏は続けていましたが、アル中ではない世間の皆様がテレビなどで目にする3人は”売れっ子”の姿だったのではないでしょうか。2000年後半からのアルフィーは彼らの”ホーム”を思わせる新しい仲間、昔からの友、尊敬する先輩、などと関わり合います。
坂崎さんは師と仰ぐ加藤和彦さんと和幸というユニットを始め(07年), 高見沢さんは堂本兄弟やソロの活動で多彩なギタリストやかつてのサポートメンバーと共演します。*桜井さんは”高見沢の歌じゃないとイヤ”とソロの誘いは断っています。
またアルフィーキッチンでは3人の仲の良いわちゃわちゃも披露するようになっています。売れに売れ忙しかったヒーロー(外)の世界で積み上げたイメージも実績も損なうことなく、自然に20歳の頃のわちゃわちゃ(内)に帰っていった3人を支えたのはお互いの信頼と愛、そして周りの(スタッフやファン)の愛であったと思われます。
前出のようにこの期間のツアータイトルもそのホームへの帰還を思わせます。
2008 Renaissance (復興・復活、84年発売のアルバムのタイトルでもありました)
2009 35周年、Confidence (自信、そしてアルフィー の前身、桜井さんが作ったグループ “コンフィデンス”), My Truth(自分自身の真実)
2010 AUBE 新世界Neo Universe (Aubeは仏語で夜明け、新しい世界の始まり)
2011 Neo Universe: I love you, Always, I Love you Always (互いやファンを思わせるタイトルです)
2012 Flowers, Flowers in my planet, Catch Your Earth (新しく花開くアルフィー 、始まりの地への感謝が見えます)

*ちなみに80ー90年代のツアータイトルは 抜粋するとFlying Away(飛び立つ), Resistance(抵抗), Revolution(革命), Long Way to Freedom(自由への長い道のり),  Victory (勝利), Nouvelle Vague(新しい波)と力強いエネルギーを思わせながらも自分たちの”力”を見つけるための旅路と苦難を想像させます。


15. Crossing the Return Threshold(帰還へ最後の試練)
無事に帰ってきたヒーローは外の世界で得た力(宝など)をホームでも保持できるのか、旅で得た知や経験を必要とする皆と分けあうことが出来るのかを確かめる最後の試練を受けます。この場面では外と内で自分は真のヒーローとして生きられるのかが試され、最後は自身の“ホーム”での再生・rebirthが大きなテーマです。

40周年を控えたアルフィー はまだ精力的にライブツアーを続けています。しかし成功も名声も手にし、順風満帆に思えたこの時代、2014年のツアーで高見沢さんの声がでなくなるという“最後の試練”に出会います。40年目という記念の夏イベは巨大なセット、照明、高見沢さんの空中飛行やセンターステージ・・・とアルフィー のクルーが一丸となって作り上げる2夜のお祭り。それに間に合うように・集まったファンに喜んでもらえるように高音が出せるようになるのか、が最大で最後の試練でした。後に語ったインタビューでは、これまでも体調が悪い時は3人でかばいあってやってきた・他の二人が支えた、とアルフィー 3人でこの試練を乗り越えたとあります。公の場で輝くアルフィーと影で3人しっかり支え合うアルフィーの両方がここに見えます。
前年のツアータイトルは Grateful Birth (生誕への感謝)、そしてこの年はGenesis (創世記)とアルフィー の原点への帰還 return と再生・復活 rebirthを明確にするものでした。

16. Master of the Two Worlds(両世界の支配)
もう外の世界と内なる世界(自身の中、もしくは故郷など)を行き来するのに課される試練は必要なく、両方の世界を“支配”する術を得たヒーローはどちらの世界でも自分の力を発揮できるようになります。

メリーアンで大ヒットした頃からあらゆる音楽のジャンルを(レゲエとジャズはない、と仰ってますが)網羅しヒットを出し続けたアルフィー は還暦を迎えるのを機にThe KanLeKeezという新しいGSのグループを始めます。幼い時に夢中になったGS(グループ・サウンズ)を60歳になった自分たちでやる、それは過去と現在の2つの世界を繋ぐアルフィー らしい“支配”でした。ライブ本数2500本の記録を立て(現在はもうすぐ2800本)、15年におよそ6年ぶりに出したアルバム “三位一体” は3人のスイッチボーカル、3声のハーモニーを多用した “ホーム” と進化した現在を繋ぐ素晴らしいアルバムとなっています。
そのアルバムの最後は “英雄の歌” と ”Glorious” (栄光・栄誉)というヒーロー伝説にふさわしい、シンボリックな2曲で締められています。

17. Freedom to Live(自分らしく生きる)
外から来る、そして自身の中から湧き出る敵に打ち勝ち、過酷な旅を終え力(宝など)を自分のものにしたヒーローはもう恐れるものは何もなく、自分の生きたいように生きます。知と経験を備え支配者の地位につくものもあれば、結婚して愛に生きる者あり、また旅に出るものあり、と物語の中での自由な生き方はそれぞれです。過去も未来にも囚われず今を生きるのも特徴です。

デビュー45周年目に発売されたアルバム ”Battle Starship ALFEE” は宇宙戦艦が果てしなく進む様を自身の前進に準えていると見えます。自分たちの信じる道をまっすぐ行く、そんな強い決意とプライドも込められているように思えます。45年、3人で休まずやってきたからこそ、恐れるものはなく、明日は必ず来ると信じて進むー3人がよくラジオなどで語っている夢、希望、そして未来の光を思わせるタイトルです。このアルバム収録曲にもその生き様や信念、ヒーローの知や経験を思わせるものが隠されています(いつかの未来、はじまりの詩、進化論B、今日の続きが未来になる、人間だから悲しいんだ、あなたに贈る愛の歌など)。
コロナ禍でライブができなくなった今も、明日は明るいと信じ配信番組などでファンとの絆を深める活動を続けてくれているアルフィー。
ヒーロー神話ではここからまた新しい旅に出るヒーローもいますが、アルフィーもやがて来るライブの旅に向けて、過去と現在と未来と繋ぐ話や音楽をラジオ、T’s Licence, インスタグラム、テレビ、エッセイ・小説、そして Come On ALFEEの配信でシェアしてくれ、私たちに夢を与え続けてくれています。

諦めない夢は終わらない、アルフィーが君の青春ならその青春はずっと終わらせない、そんな力強いヒーローの言葉を信じる以外の道はありえません。

アルフィー、旅はまだまだ終わりませんーー次は50周年コッキーズ!70歳で大ブレイク!楽しみです!

シマフィー

お願い:このシリーズは私個人が資料をまとめながら歴史の流れをヒーローズジャーニーに当てはめたら、というものです。アルフィーさんのご活躍は文字になっていないものも沢山ありますし解釈は人により違うものとなるはずですので、違うんじゃないの?と思われる部分がありましたらすみません。


参考文献

“JCF: Home.” JCF: Home, 3 Feb. 2021, jcf.org.
Joseph Campbell’s “The Hero’s Journey” Materials. sfcenter.ku.edu/Workshop-stuff/Joseph-Campbell-Hero-Journey.htm.

Monomyth: Hero’s Journey Project | ORIAS. orias.berkeley.edu/resources-teachers/monomyth-heros-journey-project. Accessed 11 Jan. 2021.

“Teaching Joseph Campbell’s The Hero’s Journey.” Creative English Teacher, creativeenglishteacher.com/pages/teaching-joseph-campbells-the-heros-journey. Accessed 12 Dec. 2020.

The Call to Adventure. changingminds.org/disciplines/storytelling/plots/hero_journey/call_adventure.htm. Accessed 13 Dec. 2020.

*The ALFEEに関する情報はWikipedia, ALFEE.comVictory Gardenにお世話になりました。

この記事が参加している募集

#最近の学び

181,589件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?