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小説本の表紙:日本とアメリカの違い

クリスマスプレゼントに読書家の義両親に本を貰った。これまでもいろんな本をいただいたのだが、今回は初めて日本人作家の小説を選んでくれた。(*アメリカ在住です)

私は日本語の本はなるべくなら日本語で読みたい。独特の美しい言い回しがあるだろうし翻訳されてニュアンスが違ったり印象が薄れたりする箇所もあると思う。それは英語で書かれた小説も一緒で、英語で書かれているものは英語で読みたい。残念ながら私の他の外国語は小説をちゃんと理解できるレベルではないので、その他の言語のものは英語で読んでいる。

今回いただいたのはこの2冊

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"Convenience Store Woman (コンビニ人間)"と "Before the Coffee Gets Cold (コーヒーが冷めないうちに)"、どちらも日本で何年か前にベストセラーになったようだが、私はこれを貰うまで聞いたこともない2冊だった。

日本のアマゾンでちらっと見てみると、”コンビニ人間”の表紙がアメリカで発売されているものと対極にあるようなもので驚いた。これは・・・何?

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アメリカのものはえらい可愛らしいものになっているが、これがアメリカ人が思う”日本のコンビニという文化”もしくは”日本女性のイメージ”なのかな、とも思う。だいたい半分読んでみたが、内容的には日本の表紙の方がしっくりくる。アメリカの表紙のようにキャピキャピ可愛くて子供っぽい女性が主人公ではない。

そして”コーヒーが冷めないうちに”も表紙が違っていた。

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ぱっと見は同じだが、背景の色が変わり、日本の表紙にはいなかった猫も置かれている(何故?)。タイトルの置き方も違うのは横書きと縦書きの違いからだろうか。ターコイズの表紙の方がポップで目に留まると思うが、それだと小説に出てくる喫茶店の様子とはちょっと違うのではないかな、とも思う(まだ読んでません)。

こちらは私が大好きな宮部みゆきさんの”龍は眠る”の日本版表紙。タイトルと名前の書き方も色味からもミステリアスなゾクゾク感が感じられる。

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もちろん私は日本語で読んだのだが、親友にも英語版をプレゼントしたことがあり、その表紙にちょっと はぁ? と思った記憶がある。何となく表紙も中国っぽい・・・ような。何故黄色と黄緑にしたんやろ。

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タイトルも気に入らない "The Sleeping Dragon" 眠る龍。 ”龍は眠る”と”眠る龍”では全く印象が違うし小説の内容理解にも影響する。

逆に私の大好きな英文作家、Ha Jin の日本語版を見てみようかな・・・と探すと残念ながら彼の小説は日本語に翻訳されていないものが多い。Ha Jinは中国人だが、祖国中国に反発しアメリカの市民権を取り英語でしか書かない作家で、文革時代から後の中国・中国人の様子やアメリカ移民の生活などを美しくシンプルに綴る素晴らしい書き手だ。もっと日本語に翻訳してほしいなぁ〜

”Waiting”という代表作はこのような表紙

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日本語は”待ち暮らし”と訳されている。内容的にマッチしていて”読みたいな”と思わせるのはアメリカ版の方かな。

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表紙だけを見てジャケ買いするひとも多いだろうし、表紙は本の顔なので、それぞれの文化・言語域の読者に向けて決められているのだろう。表紙だけ見てもなんとなく文化の違いが見られて面白いね。

シマフィー 

*画像は最初の一枚以外は全てAmazon.comからお借りしました。

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