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郵便箱と職業病

1102, 1128, 1206, 1230, 1244, 1252….

ゆっくりと運転しながら道の傍らにある郵便箱を見ている。

アメリカの郵便箱は家の番地 (house numbers) が書いてあるが片側は奇数、道を挟んだ反対側は偶数の番号だ。北と西側にある家の番地は奇数で南と東は偶数らしい。
規則正しく2つづつ数が増える道もあれば、飛び飛びで一気に10も20も増えるところもある。

大抵は一軒ごと道路端にメールボックスがあるが、街中の集団住宅やその逆であまりにも一軒の距離が離れている田舎はこんな風に番地と名前が書かれたメールボックスが仲良くならんでいる。でないと新聞配達と郵便屋さんの移動距離がえげつないことになるのだろう。

メールボックスの形もいろいろでオーソドックスな筒型から、動物や魚の形、車やトラックの形など個性的なものもある。ちなみに脇についている赤い旗は郵便物を配達員に持って行ってもらいたい時に立てておくと、中にあるものを(切手があらかじめ貼ってあれば)持って行ってくれる。ポストまで出向く必要がないので便利だね。


そしてこの写真の様な普通の筒型のものはひしゃげているものが多い。
若者が自転車やバイクに乗りながら身を乗り出し、バットや竿なんかでバンバン叩いて遊ぶ、もしくは雪が降る場所だと除雪車が接触したり雪の重さで潰れたりするからだ。
なので我が家のはめっちゃ頑丈で、バットで叩かれたら叩いた奴の腕が折れるくらい硬い金属製のものだ。ひしゃげていない。


毎日通る通勤路でももちろんこんなメールボックスを見る。朝のラッシュで混んでいると時速20km程でしか走れないので番号も一つ一つ目に入る。

最近気づいたのだが、自分はその番号を見るたびに年号や歴史が浮かんでくる遊びを無意識にしている。職業病だろう(*アメリカの高校で歴史を教えています)。
違う職業の人はまた違うことがらが頭に浮かぶのだろう。
何かの製品番号だったり、型番号だったり、シリアルナンバーだったり、するのかな。

1100年代か・・・じきに第二次十字軍が出るな、そのあとはサラディンがカリフになって・・・アジアはクメール王朝か、メゾアメリカではトルテック文明がもうすぐ滅びるな〜

そんなことを思っているとすぐに1600番台、1700番台に移り、頭の中がもっと忙しくなるが、思い出せないことも多々あり悔しい。と言うのも私は主に中世の世界史、800年から1500年くらいまでの担当なのでそれ以降はちゃんと覚えていないことも多いから。

学校に着くなり気になっていることを調べたり聞いたりしていて、新しいことを学ぶこともあるのでそれはそれでうれしい。毎日通り過ぎるメールボックスがきっかけとなり1800年代のアフリカがどんな社会だったかなどが学べるのは楽しい、これも一応特権なのかな。

ちなみに2000番代からは大体紀元前のことを思っている笑。
紀元前3500年あたりか・・・シュメール文明栄えてたな、もうすぐ青銅器時代やなぁ、とか。
幸い私の通勤路で見るハウスナンバーは大体が3桁か4桁なのでこんな遊びも可能だけど、よそに行けば5桁のところもあるからそうなるともっともっと考えることが多くなるなぁ。
54000年、78000年、94000年前・・・ネアンデルタール人がまだ生きてたな。
この辺りはどんな生物がいたのだろうか、そんな空想の遊びになるのだろう。

それもいいなぁ、戦争や侵略や革命や略奪や疫病やなんかの歴史より、そっちの方がいいなぁ。

シマフィー 

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