パパになるフリーランスが貰えるお金~配偶者が妊娠・出産したら~
はじめに
こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。
フリーランスとして生計を立てていくこと自体、大変なことです。
ですが、配偶者が妊娠したら”より”お金のことが心配で、まさに「嬉しい悲鳴」ですよね。
しかも、会社員だったら会社がやってくれる手続きも、フリーランスは全て自分自身で対応しなければいけません。
ということで、フリーランスが受けられるお金や支援を取りこぼさないようにしましょう。
※今回の記事内容は、フリーランスが夫、配偶者が妻のケースを想定しています。
どの夫婦も貰えるお金
フリーランスの配偶者が妊娠・出産した場合に受け取れるお金は、①妊婦健康診断の費用助成、②出産一時金、③児童手当、の3つです。
①妊婦健康診断の費用助成
妊娠は病気ではないので、病院で診察を受けても公的な保険使うことはできず、自費負担になります。
が、この助成制度はその自費負担をまかなってくれます。
特に申請などは必要ありません。
妊娠が分かって、お住いの役所に母子手帳をもらいにいけば、母子手帳と一緒に受診票(補助券)を受け取ることができます。
ちなみに、双子などの多胎児の場合は追加で受診票(補助券)をもらえる自治体がほとんどかと思います。
これも、役所側が対応してくれるので、特段必要な手続きはありません。
②出産育児一時金
出産時の分娩費用や入院費用を援助するための制度です。
少子化対策の一環で、令和5年4月1日以降の出産の場合は子ども1人あたり50万円が支給されています。
受取方法は、①直接支払制度、②受取代理制度、③区役所に直接申請の3つありますが、多くの場合、病院から①直接支払制度の利用を勧められるはずです。
①直接支払制度は、出産育児一時金の申請と受給を医療機関が代理で行ってくれる制度です。
分娩費用や入院費用が50万円未満だった場合は、その差額分が支給されます。
この制度のメリットは、手続きが簡便であることと、一時的な多額のキャッシュアウトを抑えられることです。
こちらをみてください。
直接支払制度を利用しない場合:
直接支払制度を利用する場合:
特に、起業間もないフリーランスは資金繰りにそんなに余裕がない方も多いかと思います。
そういう場合に、直接支払制度は大きなお金を準備しておかなくて済むので非常に助かる制度だといえます。
③児童手当
こちらは、産まれてから中学生まで貰える制度です。
ちなみに、2024年10月から高校生まで支給対象が拡充されることになっています。
児童手当の支給金額は
・子どもの年齢
・子供の人数
・親の所得
によってバラバラですが、毎月子ども1人当たり5,000円~15,000円が支給されます。
私が住む横浜市はこのようになっています。
具体的な金額だと、
・0~3歳未満15,000円×36カ月(3年)=540,000円
・3歳~小学校修了前15,000円×108ヵ月(9年)=1,620,000円
・中学生10,000円×36ヵ月(3年)=360,000円
で、子供一人あたり最大で252万円の児童手当が支給されます。
親の所得が高すぎると支給がゼロになりますが、2024年10月分からこの所得制限はなくなる予定です。
申請窓口は自治体ですので、役所で申請していただく必要があります。
②の出産育児一時金とは違い、健康保険の制度ではないことに注意してください。
なお、現在与党が検討している高校生の扶養控除の縮小と児童手当の拡大の影響については、こちらをご参考にしていただければと思います。
配偶者が会社員なら貰えるお金
フリーランスの妻が会社員の場合、①出産手当金と②出産休業給付金が受け取れることができます。
①出産手当金
こちらは加入の健康保険から、基本的に出産日前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以降56日までの範囲内で、休業期間の給与の一部が支払われる制度です。
支給額は、配偶者が働いていたときの給料のおおよそ3分の2です。
たとえば、出産前の月額給与が30万円だった場合、
・300,000円÷30日×2/3×98日間(42日間+56日間)=653,333円となります。
65万円の援助はなかなか大きいですよね。
②育児休業給付金
出産日から56日以降に育児休業をする場合は、こちらの給付金を受け取ることができます。
給付金の金額は、
・育児休業開始から180日目まで:およそ給料の3分の2
・育児休業開始から181日目以降:およそ給料の2分の1
です。
これも月額給与が30万円だった場合、
・300,000円÷30日×2/3×180日間=1,200,000円
・300,000円÷30日×1/2×120日間=600,000円
の合計180万円がだいたい1歳になるまでに受け取れる金額になります。
また、社会保険料の負担はありませんし、この期間中社会保険料を払っていなくても、将来の受取額に影響はしません。
配偶者が専業主婦なら貰えるお金
残念ながら、配偶者が専業主婦だと、上記の出産手当金や育児休業給付金の支給を受けることはできません。
というのも、これらは配偶者が勤め先で社会保険(健康保険や雇用保険)に加入していることが前提だからです。
ただ、フリーランスが個人事業主で、配偶者が専業主婦の場合は、配偶者が国民年金保険料の免除を受けることができます。
いわゆる夫婦ともに1号保険者の場合です。
この場合、配偶者も国民年金保険料を支払っているかと思いますが、産前産後期間の免除制度を使えば一定期間支払いが免除されます。
免除期間は出産(予定)日の前月から4か月間です。
双子などの多胎児の場合は、出産(予定)日の3か月前から6か月間になります。
窓口は住所がある自治体の窓口ですので、出産準備で忙しくなる前に申請をしておきましょう。
ちなみに、法人化していて配偶者を社会保険の扶養にいれている場合(つまり、配偶者が3号保険者の場合)は、そもそも配偶者は社会保険を支払っていないので免除されるものはありません。
まとめ
今回解説してきた制度をまとめると、このような対応関係になります。
総じて、配偶者が会社員の場合のほうが、出産手当金と育児休業給付金があるので支援は厚いです。
今回例で出したような配偶者の月給が30万円の場合、現金でもらえる、出産育児一時金(50万円)、児童手当(252万円)、出産手当金(65万円)、育児休業給付金(180万円)を足すと最大547万円の支援があることになります。
このうち、児童手当(252万円)は成長とともに貰えるものなので、出産とそこから数年の育児の範囲に限定しても、295万円の現金給付があります。
いっぽうで、特に夫がフリーランス、妻が専業主婦の場合は支援制度が少ない分、それなりのお金の準備が必要になります。
当てはまるフリーランスはしっかりと対策をしておきましょう。
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