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先生! 議会でのその質問のコスト、おいくらですか?


国会では予算委員会が始まっていますね。

私が勤めるさいたま市役所では、来週から市議会が始まります。

通常国会は6月までですが、市議会は例年3月半ばまで。短期決戦です。年度末のこの市議会(さいたま市では2月定例会なんて呼んだりします)は、当初予算の審議もあるので、やはり一番盛り上がるのは予算委員会。

もちろん常任委員会も様々な議案や事務報告に対する質疑など、執行部としてはこの2月定例会で議案をとおせたり委員会に報告できれば今年度中の成果としてカウントできるので、様々な思惑が絡んだ案件が登録されたりします。


さて、今日はそんな市議会、国家公務員にとっては国会の《答弁のコスト》のことです。(この記事では読みやすさのため、地方議会も国会もまとめて「議会」と呼びます)

以前、アメブロ時代にも書いたことがあるのですが、この時期なので改めて、考えを整理してみます。


公務員ならよく知っていることですが、答弁作成にはかなりのコストがかかります。

議会の議員先生たちは役所がちゃんと仕事をしているかどうかをチェックするために、「○○についてはどうなっているんですか?」「これからどうするつもりなんですか?」と役所に質問をします。

それに対して「役所として公式に」議会において答えるのが「答弁」です。

答弁は記録として後年まで残り、ときに役所の後々の業務を(結果的に)拘束することもある、とても大切な意思表示です。

それゆえに、答弁を作成し、役所として決定するプロセスは一般の資料作成や読み原稿の準備とは比べ物にならないくらい、組織のトップまで巻き込んでしっかりと決定します。(特に首長の答弁作成は、なかなか大変です)


簡単に、答弁作成のプロセスを書き出してみます。

①通告:こんな質問をしますよという予告(お昼)
②問取り:質問者(議員)に意図や問題意識を確認
③要旨報告:どんな質問なのかを報告(15時くらい)
④答弁作成:答弁をフォーマットに沿って作成
⑤課長了:課長のOKをもらう(17時くらい)
⑥部長了:部長のOKをもらう(18時くらい)
⑦局長了:局長のOKをもらう(20時くらい)
⑧答弁セット:完成した答弁を登録する(20時以降)
⑨答弁:議会で答弁する(翌日以降)

⑤⑥⑦はそれぞれOKをもらうまで、指摘された箇所を修正して再度確認してもらう作業を繰り返します。

「あ~、部長まであれでOKだったのに、局長がどうしてもアレのことを書かないとダメだっていうから、半分くらい書き直しだよ~」

みたいなこともザラ。


市役所で事業の主担当として答弁を書いていたときも、内閣府で国会答弁などに関わったときも感じたことですが、ここはコスト度外視なんですよね。

いや、働き方改革や新型コロナウイルスの影響もあって、私が30代半ばくらいの頃とくらべたら、できるだけ無駄がないように少しでも早く仕上げようという意識は、職位問わず浸透してきました。

それでも議員先生の質問によっては、所管部署同士の調整が難航することもありますし、公表しているデータから答弁に必要なデータを計算し直したり、一緒に仕事をしている外部のコンサルタントなどに確認する必要があったり、そして何より、幹部が「これでOK!」と言うまで磨き上げる作業は、なかなか大変です。


しかも、それがどんな質問でも、証拠として残しても問題ないようにしっかりと、必要な証拠を確認したうえで書き上げるのです。


時給2,500円の主査が主筆を務めて5時間張り付き、時給3,500円の課長がそれをチェックしたり指示を出し、時給○○円の部長が……局長が……取りまとめの企画部門で……総務課で……議会局で……と積み上げていくと、1本の答弁書の作成コストは数万円どころか、十数万円、数十万円かかっているかもしれません。


いっそ、このコスト、ちゃんと計算して、議会での質問と答弁に併記してはどうでしょうか?

「この質問に対する答弁には○○万円のコストがかかっています」

って市民・国民の皆さんに広くお伝えするのはどうでしょうか?


もちろん、議会のチェック機能であり、市民・国民が行政の事業について知るための大切な機会ですから、ある程度コストがかかるのはやむを得ないでしょう。民主主義の必要なコストと割り切ることもできるかもしれません。


でも、コストが見えるようになったら、質問する側はコストを表記されても恥ずかしくないように質問をより一層精査するでしょうし、答弁する役所側も答弁作成とチェックをより効率化する動機が強く働くと思いませんか?

それは市民・国民のためになっても、その権利を侵すことにはならないはずです。


もしかして、既にそういった取り組みをしている自治体があったりしないでしょうか?


皆さんは、如何お考えですか?



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