北海道旅行その1 函館〜室蘭+1000円

2002年夏。

どんなグッズを持って旅に出たか覚えていないが、大学M2で就職も決まり、最後の思い出ということで青春18きっぷで金沢から1人で北上。

始発列車。座った瞬間に椅子がドリフの雷様のように傾き、滑り落ちた。

これは最高の旅の始まり。


もちろん初日は北海道に辿り着けず、秋田は象潟のユースホステルで1泊。

函館に着いたのは2日目の夕方。


青森からドラえもんが描かれた電車がある。青函トンネルを抜け、函館に到着。

しかしここで・・・宿がない。

ユースホステルすべてに連絡したが、どれも満室。


えらいこっちゃ寝るところがない!


途方に暮れつつ、言うほど暮れてなかったかもしれないが、広くはれた交差点にあるローソンの駐車場。広々したところに並んだパーキングブロックに座り、どうしようかと放心していたところ、一人のおじいさんが声をかけてきた。

どんな会話だったか覚えていないが、大きなリュックを背負ったまましゃがみこんだ風貌から、旅人だと言うことはわかったようで、

「どこからきた?」

「神戸からです」

と何故か金沢からきたのに出身地を答えてしまう。別に緊張していたわけでもなかったが、とっさの会話で背伸びしたかったのだろうか。


そして、

「これあげるわ」

なんと知らないおじいさんから1000円!

「えっ?いいんですか?」

別にお金を持っていなかったわけではないが、よほどひもじい姿に見えたのか訳のわからん若者にお金を手渡すとは、北海道にはなんと良い人がいるんやろう。

そこで、北海道の人は良い人というイメージが若い私の脳にインプットされた。

その1000円をローソンで使うことにした。

マッキーと画用紙。

そう、ヒッチハイクの断行に出た。


地図を見つつ、現実的に自分を運んでくれそうな距離を適当に推察し、画用紙に「長万部」と書いた。

距離を測ったわけでもなく、感覚で決めたスポット。

広い道で通り過ぎゆく車たちに画用紙を掲げて、止まる車を待つこと5分ほど。

1台大きめのワゴンが止まってくれた。

マジかいな!


大学生4人がレンタカーで旅をしていると。まさかヒッチハイカーと出会うとは思ってもおらず、興味が湧き僕を乗せたと。

ありがたや〜と思いつつ、次に出た言葉に意味がわからなくなった。

「僕らもうすぐ高速に乗る(的な話をしてたような記憶)んで、その近くにある小さな駅までなんですけど行きましょう!」

「じゃぁお願いします」とは言ったが、そんな訳のわからん小さな駅でしかも函館から遠ざかり、人通りが明らかに少ないところで降ろしてどういうつもりやねん!と頭の悪い私でも2秒ほどで気づいたヤバさ。

そして宣言通りに降ろされる。

「頑張ってくださーい!」

否が応でも頑張るしかないやろアホか!とは言わなかったが、仕方がないので再度、「長万部」を掲げることにした。

広い道で掲げるが、もちろんさっきよりは車通りが少ない。

だがしかし!ここで1台の軽ワゴンが止まる奇跡が起こった。


車内を覗くと・・・言ったら申し訳ないけど言いますけど、

二人足して200kgくらいのカップル。

彼女は後部座席へ移り、僕は助手席へ。

運転手の彼、まさかヒッチハイカーが居るとは思わなかったらしく、先ほどと同様に興味により私を車へ導いてくれた模様。

しばらくすると彼女の家の近く?だったのかわからないが彼女が降り別れを告げ、僕をそのまま長万部まで運んであげよう!と、なんと心優しいお方!

聞くと、函館に住んでいるとのこと。函館〜長万部は100kmほどある。知らなかった(汗)


車内では、よくヒッチハイクなんてやったな〜、なんて話をしながら特に盛り上がることもなく、しかしこんな良い人に出会えて良かったと思いつつ、意外とあっという間に長万部についた。

この時、深夜12時近かったような気がする。もっと経っていたかもしれない。


長万部駅前で、当時はまだデジカメが流行りはじめの頃で僕は使い捨てカメラだったが、そのカメラで記念撮影。

もはや誰に撮ってもらったか覚えてないが、撮ってくれた人と、そしてもちろん僕をここまで運んでくれた100kg100kmドライバーに深く感謝をし、携帯番号を交換して別れた。


長万部の駅舎はこじんまりしているが、屋根壁扉があり中には座るところがある。

さぁここで寝るか・・・と考えていたところに、老夫婦が入って来た。何故こんな時間に電車はもちろんないだろうに、何者!?と思い、話をすることにした。

聞くと、孫が電車に乗ってくるらしい。函館から札幌へ向かう夜間列車が長万部で一時停止し、孫は札幌へ向かうが久々に顔を見られる機会だと言うことで来たらしい。


ん?電車が函館から来る?

ちょっと待て俺は函館からヒッチハイクでわざわざ長万部まで来たのに、夜間電車が出てるだと!?

老夫婦にいろいろ話をしていたら、孫さんの横の席が空いているらしいという情報。一緒に北上したらどうだ?と助言をくれた。


そうこうしているうちに、電車がホンマにやって来た。

老夫婦と孫の久々の再会。お孫さんは上京中で、実家?の札幌に帰省しようとしているらしい。しばらくして僕も電車へ乗り、孫の隣に。

周囲を見渡すと満席に見えた。なんと運がいいのか悪いのかわからないが、函館から夜間列車が出ていることを知らずに長万部までヒッチハイカーを運んだくれた100kg100kmドライバーに悪いことをしたと、函館の方を別に向きながらでもないが謝り念じた。


流石に疲れたのか、すぐに寝てしまったようだ。

電車は室蘭に到着。4時か5時くらいだっただろうか。なんでか分からないが僕はここで降りることにした。孫さんと話をして感謝の意を伝え、別れた。


室蘭の駅は少し大きめ。待合室があり、そこで仮眠を取ると朝になっていた。



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