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島原城築城400年記念 築城主松倉重政の物語 -壱-
海道の城 〜松倉重政伝〜天津佳之
-壱-
「蒼いな」
つい声に出しながら、松倉重政は空を仰いだ。
南海の空の蒼さは目に沁みるほど深く、その見慣れなさに彼は瞼を細めた。
重政は、生まれも育ちも畿内の大和国である。そして、山に囲まれた大和の空は、いつも霞掛かったようで、青も煙るように淡かった。
何より、空を遮るものがない。何しろここは、海のど真ん中である。遠く低いところに陸地はあっても、
海道の城 〜松倉重政伝〜天津佳之
-壱-
「蒼いな」
つい声に出しながら、松倉重政は空を仰いだ。
南海の空の蒼さは目に沁みるほど深く、その見慣れなさに彼は瞼を細めた。
重政は、生まれも育ちも畿内の大和国である。そして、山に囲まれた大和の空は、いつも霞掛かったようで、青も煙るように淡かった。
何より、空を遮るものがない。何しろここは、海のど真ん中である。遠く低いところに陸地はあっても、