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第6章 キミに逢いに行かなくちゃ〜

わんばんこ。
両足ハカイダー@全治2週間です。

徐々にクライマックスに向かって盛り上がってきております。足の痛みも徐々にクライマックスに向かって・・・いや、すでにクライマックスは超えていました。

限界に生きる男ハカイダーです!!!
予想外と、お約束の男ハカイダーです!!!

只今の歩行距離は、63キロ/75キロ
残り12キロ!!!!

ついに残り12キロ!!!!!
この長い距離がゴールが間近にあることでムチャクチャ近くに感じられる。ここまできたらやるしかねえじゃん!!!!

うおおおおおおおおーーーっ!!!!!!

■第6章 キミに逢いに行かなくちゃ~


みんなに追いつかれるまでに追い抜かれるまでに少しでも距離を稼いでおかないと。辺りは少しずつ明るくなる。まだ夜中の3時だというのに、かなり明るい。北海道の夜が明けるのって想像以上にはやいんだよ。もうライトもいらないくらい。

ただ朝もやの中でオレが歩いているのを対向車やサポートさんに認知してもらうためライトを点けっ放しにしておいた。

さっきのチェックポイントからの長い下り坂がまだ続いていた。

1時間くらい歩いたところで、ミッキーに突然追い抜かれた。ミッキーは両手を大きく振り、走りながら
「わははははははーーーっ!!!」と笑いながらオレを追い抜いていった。

聞くところによるとその調子でなんとゴールまで突っ走ったらしい。
あいつは怪物だな。

しばらくすると、武田っちとかわけんコンビが追い抜いていった。意外に早いポイントで追い抜かれてしまったので、少し焦った。

かわけんの歩くスピードがさっきよりも少しだけ上がっている。足は何ともないみたいだ、良かった。やっぱりさっきは、オレのペースに合わせてゆっくりと歩いてくれてたんだな。

さらにしばらくすると、栗がナナナナントかわいいお姉さまと二人並んで楽しそうに会話をしながら追い抜いていった。

「ごらぁぁぁぁぁ!!!!!挨拶がないんじゃ、挨拶がぁぁぁ!!!」

あまりのうらやましさにキレそうになる自分を必死で抑える。
ちょっとくやしいのは何故だ????
ちょっと殺意を抱いてしまったのは何故だ???

それにしても長い。あの長い登り坂の分だけ今度は下らないといけないから仕方ないがなんだか同じ道をグルグルと回ってる気がする。

どこかに抜け道があるのかな?

数十分後。やっとのことで平地になったと思ったら、その道の長いこと!!!!

ずーーーっと先に、栗とお姉さまコンビ、かわけんと武田っちコンビらしき姿が見える。遥か彼方に彼らの姿が見えるということは、オレ自身がその遥か彼方に辿り着いたとしても第8チェックポイントはないってことか。

ちょっと凹むねぇ。ちょっとどころじゃないか、かなり凹むねぇ。

歩幅わずか20センチの全身筋肉痛男(ちょっぴりお茶目)にはこれまた堪えるねぇ。そう思いながら歩いていると、サポート車がこちらに向かってくる。サポートさんが車から身を乗り出してオレに声をかけてくれる。

「あと1キロもないよ~!もう少し、もう少し!!!」

マ・・・マジか!!!????
あんなに遠ーーーくにいる彼らとオレは1キロの間隔もないってのか!!!

なんか、さらに凹む!!!!
それでも自分をだまし、鼓舞し、ひたすら歩き続けていると遠ーーーーくの方で、やっと歩道を反れていく彼らの姿を見つけることができた。

第8チェックポイントはそこか?そこにあるんだな???
長い長い7キロの下り坂の区間。そして最後のチェックポイントがやっと遙か遠くに見えてきた。

とりあえずそこまで辿り着くことができたらゴールまで、泣いても、笑っても怒っても、歌っても、走っても、スキップしても、はいつくばったとしても、あと5キロ!!!!あとたった5キロでゴールできる!!!!

ココまで来ることができたんだな、オレ。みんなに迷惑かけてきたけど、
何とかココまで来ることができた。視界の先にチェックポイントがある。

とりあえずそこまで行こう。休憩はどうしようか。さっきのサポートさんの話を参考にすれば、足が動かなくなる前にそのまま第8チェックポイントを素通りしてゴールに向かった方がいいんじゃないだろうか?

時間もすでに朝5時を回っている。このままでいけば、残り5キロを3時間で歩けばいい計算だ。両足が元気なら1時間で済む距離だけど、今のオレはきっと2~3時間はかかるだろう。

足はもう感覚すらなくただの重い丸太棒のようになってる。両手の竹杖の力を借りて何とか丸太棒をひきづっている。いつのまにか両手の筋肉もパンパンになってきている。

休憩してちゃんとマッサージを受けて、出来るだけ万全の状態にして残り5キロに挑むべきだろうか?

それとも今、現状で残っているすべてを使い、時間を最優先で考え、休憩をとらずにゴールへ進むべきか?

結論のでないまま20分ほど歩き続けていると、遠くにサポートさんが4人並んでオレの「帰り」を待っててくれているのが目についた。

「おおーーーい、もう少しーーーっ!!!!頑張ってーーーっ!!!!!」

不思議なんだけどこういう瞬間って少しだけ元気が湧いてくる。少しだけ足取りが軽くなってくる。少しだけスピードが速くなってくる。少しだけウルッと涙が流れそうになる。

5分後、オレはサポートさんに囲まれながらチェックポイントに到着した。みんな、泣いてた。気付いたら、オレも泣いてた。

促されるままに再び毛布に横たわった。休憩するしないってあれだけ悩んでいたのに。

サポートさんが声をかけてくれる。
「マッサージしましょうか?」

はい、お願いします!!!!
5キロ。あと5キロだけ何とか歩ける足にしてください!!!!!

うつぶせになり、足をサポートさんに投げ出しながら言った。
「はい、大丈夫ですよ。」

そう答えてくれた若い男性のサポートさんの鼻をすする音が何度も何度も聞こえた。オレもさっきから涙がとまらない。あとからあとから涙が流れて仕方ない。

一言も言葉は交わしていないんだけど何だか心は繋がっていた。そんな気がした。

かわけんと武田っちがテントの向こう端の方で仰向けになり目を瞑ってマッサージを受けている。仮眠しているんだろうか??それとも気絶???

そんな彼らに恥ずかしくて泣いてるところなんて見せられない。必死に涙を押し殺そうとしたけどダメだ。ヘタすると声をあげてしまいそうだ。

オレはタオルで両目を隠しながらマッサージを受けた。オレの足はすでに限界を超えていたためにマッサージらしいマッサージはできない。ここでもやっぱりただ、さすってもらうだけだ。

それでも「何か」が違う。オレの中で「何か」が変わり始める。

マッサージありがとうございます!!!!
あと5キロ。オレは何が何でも歩いてきます!!!!

この瞬間、オレは初めてコミットした。今後、何がどうなろうとオレは絶対に完歩する!!!!!

残された時間はあと2時間15分。
残された距離はあと5キロ。

オレは最後のチェックポイントを後にした。目指すはゴールのみ!!!!

オレはこの大会で初めて、自分だけじゃなく人のためにも歩きたいと思った。

泣きながらマッサージしてくれたこの男性のサポートさん。
優しい言葉をかけながらマッサージしてくれたサポートさん。
足が限界に近づいているって教えてくれたサポートさん。
チェックポイント手前まで歩いて迎えに来てくれたサポートさん。

昼間に「もうダメかも」とメールした時点から「リタイヤしてもいいよ」と返事しながらも、頻繁にメールくれたり、キッズの寝顔をメールしてくれたり、キッズとテレビ電話させてくれたりとずっと応援してくれていたワイフ。

最近やっと「おとー」から「おとーたん」と発声できるようになり、今回電話口でも何度も「おとーたん」と呼びかけてくれた4人のハカイダーキッズ。

昼間に「もうダメかも」とメールした時点から何度も鬼軍曹のように尻を叩いてくれ、送られてくるメールにちゃんと返信しないと、すでに先の方を歩いている「しの」にオレの近況を尋ね、しのから「自分のことで精一杯!!!」と怒られ、逆に、オレに愚痴メールを送ってきたくま。

朝も5時から応援してくれたね。よっぽどヒマだったんだね。

100キロ歩こうよ♪大会の前日からニンジン画像を送ってくれたり、オレが歩いている時(彼女は京都でセミナーを受けてたんだけど)、そのセミナーの最中に講師である反響のおっさんのやんちゃ時代の画像を送ってくれたり、夕方には「北海道の夕陽はきっとキレイだから、さゆりと二人で満喫してね」とどんより曇り空の下を歩くオレたちを励ましてくれたのん。

オレたち仲間が100キロ歩いているときに業界の懇親会に出席し、イイ男をゲットしようと企む営業女。朝5時に、思い出したようにオレに応援メールを送ってきたところを見るとイイ男ゲットは、ダメだった様子。

前日から、いやその数日前から、電話やメールをくれて、常にオレのことを心配してくれてたネモネモ。
「ダメだと思ったら勇気を持ってリタイアしちゃいなさい!!!!」とオレの健康状態を最優先に気遣ってくれた。

100キロを歩く参加者たちを大きな愛情で包み込むサポートさんたちの・・・
全国に散らばるハカイダーレディたちの・・・
愛すべきハカイダーファミリーの・・・
そして、今、オレが歩いている道の上で繋がっている同志たちの・・・

熱い想いがオレの胸を貫く。

「行かなくちゃ~キミに逢いに行かなくちゃ~」
・・・なんて、井上陽水を歌う余裕はないが、頑張る理由はいくらでもある。

歩いていく理由は、意味はいくらでもある。
オレがつくりだせばいいだけだ。

続ける理由も、止める理由もオレ次第。どっちにも意味があり、どっちにも意味はない。やりたいようにやっていくだけ。

そして、オレは歩くことを選択した。
ただゴールを目指して進むことを選んだ。

第7章へ続く。

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第1章 (35キロ地点まで)
第2章 (48キロ地点まで)
第3章 (53キロ地点まで)
第4章 (58キロ地点まで)
第5章 (63キロ地点まで)
第6章 (70キロ地点まで)
第7章 (75キロ地点まで)
最終章 (ゴール地点)

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