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最終章 最後の贈り物

決して終わらない物語にも終わりは必然的にやってくるものです。
ハカイダーは今回、ついに100キロの道のりを歩み終わります。
ゴールで待ち受けるのは・・・

キレイなお姉さまだったらいいなぁ。

身体は疲れているものの煩悩クライマックス!!!!
今だから言えること。今だから気づけること。

只今の歩行距離は、75キロ/75キロ

オレの中にあるものすべてをココに吐き出して終わろうと思う。
そこに意味なんて無いとはわかっているけど、何かを記したい。
何かを持ち帰りたい。

そんな心境なんだよね。

■最終章 最後の贈り物

少しずつ・・・
少しずつゴールへ近づいていく。

もう、そこだ。
もうすく、そこだ。

ゴール手前にある足湯温泉では一足先にゴールした武田っち、栗、かわけん、ミッキーがいる。

「ハカイダー、頑張れーーーっ!!!もう少しーーーっ!!!!」
足湯に使ってリラックスしながらオレのことを応援しやがる。
※後日確認したところ、彼らもすでにそこから動けない状態だったらしい。


ダメだ。やべえっ!!!!
今オレ、あっちを見ると涙がこぼれてしまう。

手を振って仲間に応えたものの、直視することなんてできない。
汗を拭うフリをしてひたすらタオルで目頭を押さえた。

もうあと20メートル。
精一杯歩いた。

ズリズリ・・・ズリズリ・・・

大地を踏みしめてというより、大地を引きずりながら歩いた。

声のする方へ。
さゆりの声のする方へ。

朦朧とした記憶の中で、聞こえてくるさゆりの声。
ゴールでさゆりがオレを呼んでいる。
「ハッカイダァー♪ ハッカイダァー♪」

音頭をとりながらオレの到着を待ってくれてるさゆり。
ゴールにいたサポートさんたちが名前を呼んで、オレを誘導しようとさゆりにオレの名前を尋ねる。

「彼の名前は何っ??? 何て言うの???」
「ハカイダーですっ!!!!」
「いや、あの本名は・・・」
「だから、ハカイダーですっ!!!!!」

そういうわけで、ゴール手前では小さな、ホントに小さなハカイダーコールが沸き起こっていた。

もうほんの10メートル先にゴールが待っている。
あれだけ待ち焦がれたゴールが。

24時間前───。

笑いながらスタートしたこの場所に、泣きながら戻ってきた。
感慨深いねぇ。何かとリンクするもんだねぇ。

つらかった。ホントにつらかった。
さまざまな思い出がよぎる。

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でも、すべてが終わる。
さゆりと共に終える。

ゴール前でずっとオレを待っててくれたさゆり、食パンマンさん、そして彼の友人と共についにゴールのテープを切った。

・・・・らしい。
もうこの辺の記憶もおぼろげだな。

時間は7時40分。タイムリミットまであと20分だった。

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たくさんの拍手をもらった。
たくさんの握手をもらった。
たくさんの万歳をもらった。
たくさんの声援をもらった。

そして、さゆりが泣いた。
さゆりが泣くのを見て、オレもボロボロ泣いてしまった。
いや、もうその前からオレは涙を流していたのかもしれない。

100キロをゴールできたという感激もさることながら、みんなに喜んでもらえたことが本当に嬉しかった。

ゴール後しても突っ立ったままで、動こうにも動けなくなったオレに、
す~さんがイスを用意してくれた。そのイスに皆で抱えられるようにして何とか助けてもらいながら座る。

ふーーーーーっ

と、そこに食パンマンさんが来てくれた。
「約束通り、彼女をゴールまで送り届けました。」

泣けたねぇ。この一言にオレは泣けた。
オレが一方的にお願いした約束だったのに。
さゆりと共に歩ける彼にちょっぴりというか、かなりジェラシーの炎を燃やしたのに。

食パンマンさんの足の状態からすれば、こんなに時間ギリギリのゴールではなく、もっと早い時間にゴールできていたはず。そうすれば睡眠とったり、食事したり、温泉で疲れを癒したりいろいろとできただろうに。

ホント、感謝です。
オレに代わって、さゆりをフォローしてくれて本当にありがとうございます!!!!

あなたは格好いいジェントルマンだよ。食パンマンさんがいたからこそ、オレも安心して歩いてこれたと思う。助けてくれてありがとう。

繋がっていないようですべてが繋がっているんだなぁ。

実をいうとさ。オレには強迫観念があったんだよ。
オレは熱しやすく、冷めやすいタイプだからさ。
何かを始めてもなかなか最後まで集中して完成させることができない。

自分から言い出したことでもなんだかんだと理由をつけて止めてしまうなんて多々あるんだよ。

ただ歩く。
単純にただ歩くだけ。
たったこれだけのことすらもしオレができないようであれば

オレはオレを見限るしかないよね。
オレはオレに烙印を押すしかないよね。

日本を変えるために動くチカラ
家族を守っていくチカラ
多くの友人を導いていくチカラ
この記事を完結させるチカラ(笑)

オレはチカラが欲しかった。
何者にも負けない強いチカラが欲しかった。

そのために、唯一オレにできたのは、たった100キロを歩くことだけ。
投げ出さずにキチンと最後まで、たった100キロを歩くことだけ。

残念ながら、さゆりを最後までフォローするってことはできなかったけど、何とかゴールはできた。

ゴールしたことでオレは何か変わったのか??
何かを得ることができたのか???

正直、わからない。

あれからもう随分と経つけどまったくオレの中に落ちて来ない。
確実に残っているのはこの両足の痛みと、100キロ歩いたという事実。

今はそれだけでいいじゃん。考えることも疲れちゃった。

ゴールテープを切って、イスに座っていたオレは一人でそのイスから立ち上がって動くことすらもうできなくなっていた。身体がどんどん硬直し始めたのか。

す~さんに背負われて、施設内に入り、布団に横たわる。

もう歩けない。
もう一人で何もできない。

靴も脱がせてもらった。荷物も運んでもらった。ずっと一人では脱げなかった雨ガッパも脱がせてもらった。

赤ちゃんプレイではないよ??
ホントに身体が硬直して動かないんだ。

まるで自分の身体じゃないようにいつもと感覚が違っている。


それでも何とか応援してくれた皆にゴールできたことだけを知らせようとSNSを更新。
最後の力を振り絞って、ワイフに報告とお礼の電話。

そして、オレは気絶した。


-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-


気づくと隣の部屋で体験発表会と閉会式が開催されている様子。
オレは身体を動かすこともできなかった。

つい1~2時間前までは何とか歩けていたこの身体も、緊張感がなくなってしまったのか、筋肉が、関節が硬くなって自由にならない。

この後、す~さんやしの、さゆりと共に車椅子に乗って、足湯の場所を目指した。足場が悪かったので、またす~さんに背負ってもらった。

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オレは1時間後、バスに乗って飛行場に向かわないといけないんだよなぁ。この動かない身体でどうやって帰ろう。

ゴールしてからの方が迷惑をかけてたりして!!!

サポートさん、スタッフの皆さん、他の参加者の方々に、地域のボランティアの方々、それからハカイダーレディに、ワイフ。応援してくれたみんな。

こんなにクソ長い記事を鼻クソほじりながら読んでくれたあなた。

ありがとう!!!!!!
ホントにありがとう!!!!!!!!

あなたがオレと共に100キロの道のりを歩いているつもりになって記事を書いてきました。少しでもオレと共に歩いてきたような気持ちになっていただけたらありがたい。

オレが気づいたこと、気づいていないこと。
すべての感情や空気、雰囲気をこのブログで共有してきたつもりです。

ちょっとは100キロ歩くってことがどういうものかってことを体験していただけたらありがたい。

せっかくだから、この場を借りて、100キロを共に歩いてきた仲間たちにお礼を言いたい。

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かわけん。
今回、この北海道の100キロイベントに強引に連れてきてくれて、一言も参加するって表明していないにも係わらず、強引に参加させてくれて本当にどーーもありがとーーーっ。

かわけんが第6チェックポイントで竹杖を借りてくれたから何とかゴールに辿り着くことができました。4本の足で何とか歩けました。

この100キロを歩くという未知の体験が、どうオレの中で変化していくのか、また日々の生活の中で見続けてくれい。

ミッキー。
年上なのに、クライアントさんなのに、ミッキーと馴れ馴れしく呼んでごめんね。もうひとつ第5チェックポイントで違う人をミッキーだと思い込んで、ずっと話しかけててごめんね。

それにしても最後の12キロを颯爽と駆け抜けたのはスゴイ!!!
あの姿と笑いがいまだに脳裏に焼きついています。アレはもしかして悪夢だったのかな??? あんた、本当に化け物だよ!!!!

栗ちゃん。
100キロ歩きながら、さりげなくかわいいお姉さまをナンパしやがってーーーっ!!!!
オレは正直、うらやましいぞ!!!
仲間だったら「3人で歩こうぜ!!!」とか、「ハカイダーっていいヤツだよなぁ」とか、ちっとはオレのポイントあげろやぁぁぁ!!!!

でも栗はホントに余裕のゴールだったね。さすが元ラガーマン。身体つくってただけあるわ。
あの長い登り坂の頂上で迎えた誕生日。おめでとう!!!!!!
いい記念になったね。きっと忘れられないよねぇ。

ナイスな一年になりますように。

しの。
オレたちが苦しみながらゴールテープを切ろうかというその瞬間まで施設内でグッスリと寝ていたしの!!!
相変わらずで安心したよ。でも、その強靭な肉体には驚いたよ。以前よりもおデブちゃんになって体力も持久力もついたんだろうね。

マジでスゴイよ!!!
ミラクルメーカーしのの存在はまだオレの中で光り輝いている。

ゴール後、いろいろと介抱してくれて本当にありがとう。しのだからこそ、オレも遠慮なくいろんなことを頼めたよ。それがしのの人徳だね。

武田っち。
完歩お疲れさん♪ ホントにゴールできて良かったね。
途中のリタイア宣言にだまされてオレもリタイアしたくなったけどね。

第6チェックポイントまでは後ろで武田っちが頑張って歩いているというそれだけで勇気が湧いて来たんだよ。武田っちから追い抜かれるまでは弱音を吐いちゃダメだって自分を奮い立たせることができたんだ。

だから確実に武田っちと共にオレは歩いていたって感覚なんだよ。
追い抜かれた時はムカついたけど。
でも、ホントに感謝です。武田っちがいて良かったよ。


す~さん。
す~さんはあらゆる場面で熱かったねぇ。
いろいろと励ましてくれたり、自分のことをそっちのけで応援してくれたり、きめ細かいフォローしてくれたり、とても頼りがいのある大きな存在だったよ。温かく、広く、深い存在だったよ。

いろいろと気を使わせたかもしれんがまぁ、許してやってチョンマゲ。
それだけ甘えさせてもらえる器を持っているってことで。

100キロ歩いて、物足りなさを感じる肉体派す~さん!!!
オレはマジで、す~さんを尊敬するよ。ありがとう!!!!!!!


さゆり。
オレの完歩は、ゴールは、さゆりのおかげ。
心からそう思う。心から感謝したい。

さゆりと歩けて良かった。さゆりとゴールできて良かった。

さゆりとの貴重な時間。
歌ったり、笑ったり、話したり、歩いたり、止まったりした時間。
そして、思わず泣いてしまったあの永遠の瞬間。

このハカイダーにとって、もともと大切だったさゆりはこの100キロを経験することでさらに大切な存在となりました。

一生忘れない。
何があろうとオレはさゆりに尽くします。困ったときはスグに駆けつけます。オレは一生かけてでもさゆりに恩返しがしたいと思っているのです。

それに気づかせてくれてありがとう。

ハカイダーはゴールする気力はあるけど、もう身体がダメなんじゃないか。リタイアするんじゃないかってみんなそう思ってたんだ。

ハカイダーがチェックポイントに来た時、歩いてきたのか、リタイアして車できたのか、どっちかわかんなかったんだよ。

身体も動かないクセに休憩もそこそこに、次のチェックポイントを目指してスタートするハカイダー。みんな、その姿に勇気づけられてたんだよ。


後になって聞けた本当のこと。
その時いってくれれば、リタイアしたのに。

リタイアさえできない小心者のオレがいたのかもね。
確かにリタイアするのは怖かったもんな。


さて。
100キロイベントが終わり日常に返ってきたハカイダーですが、さっきも書いたように、気づきなんてそんなのカンタンに降りてこない。
100キロ歩いたからって煩悩の塊のオレが悟れるわけがない。

でも、そんなのはどうでもいい。
きっとオレは知ってるから。

この100キロを歩いた経験、そして記事にして再発見できた部分。
確実にオレの血肉になっているよ。

だからオレが悟るとか悟らないとかまったくもってどーーーでもいい。
目に見えるようなカタチではなく、心に、身体に、魂に染みこんでくるかのようなそんな不思議な経験だったよ。

在るのは事実のみ!!!!!

オレが100キロ歩いたっていうたった一つの事実があればそれで充分。
それ以下でも、それ以上でもないんだから。

それが答えか???

そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
悟れなかったからこそ、また北海道に行くかもしれない。
悟れなかったからこそ、もう北海道には行かないかもしれない。

ま、行くときはまた報告するさ。
おまえの分も予約しておくさ。

オレはオレの感じるままに。
おまえはおまえの感じるままに。

最後にひとつだけ。

苦しくてきつくてどうしようもない時。
絶望に打ちひしがれ前に進めない時。
死んでしまいたい程の悲しみが訪れた時。
もうこれ以上は限界だと諦めそうになった時。

この言葉を噛み締めてほしい。
この言葉をおまえに託す。

100キロを歩き遂げたハカイダーからの最後の贈り物・・・

ニンジンを思い出せっ!!!!!!


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ひひぃぃーーーーん!!!!!!




(完)

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第1章 (35キロ地点まで)
第2章 (48キロ地点まで)
第3章 (53キロ地点まで)
第4章 (58キロ地点まで)
第5章 (63キロ地点まで)
第6章 (70キロ地点まで)
第7章 (75キロ地点まで)
最終章 (ゴール地点)

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