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敷島
2024年2月27日 17:39
言葉も足も失って心ばかりが異常なくらい重い水を掻いています私の指の間には金剛石の粒がまとわりついて背中のこわばった筋肉は床から剥がれそうにもありません頭蓋骨と肩は疲れ切ってゆくゆくは魔女の悪戯で私の体もオシマイですか私みつけました涼風に玉簾が透けるようなあなたの背中を私の冷え切った肩に常夏のあたたかな雲を一切れあなたの手によって掛けてくださいまもなく虹色のお掻取に
2024年2月27日 17:07
土の湿りは曙色草の輪郭は朧げ月吹く風は甘口花下は恋の触り人間の祭いよいよあの季節ですあなたが好いと肯定した季節私が「断然道明寺が好きだ」と判別した季節あなたは長命寺がお好みですか何もかも忘れた私くだらなさに涙して切なさにはにかむようなちぐはぐを脳のしわに吸いこませ白い歯をころりとこぼし花の影絵をそばかすに落とす私の好きなあなたは私のことが嫌いあの日の目眩とこ
2024年2月21日 09:15
いつでもわたしは羽化できるのにいつ迄も朝靄と宵闇を重ね着している春光眩しく未だ蛹の中の温もりを愛すその衣擦れが何者かの生きた証メジロがワルツを踊る花間よまた閨中にて朝の終わりを迎えるむめの香の重なりがわたしの羽化を誘う見上げると春の風が巡り翡翠色の心に「命なりけり」を知らせる
2024年2月17日 00:46
いつか僕らは遠くで見つけ合って小さく手を振ったりしたね君の「おはよう」ってやっぱりちちんぷいぷいだったんだそのときのささやかな喜びは檸檬のしぶきが空間に満つるようだった君が薦めてくれた本おまぬけな大人たちに没収されない程度に授業も聴かずに読み耽ったよ大切なことを選べる僕は何にも屈しない非情な物語を君はユーモアだと笑ったね君の笑顔は青葉の風のそよめきだ夕焼け染めた電車に乗
2024年2月15日 19:51
いつかあなたの背中を撫でた春一番が今日も吹くスタインウェイの音の粒立ちは水面の煌めきの真似事をしていた蝋梅の香りと蝶道の交わるところにわたくしたちはいるのです風ってとてもおそろしいトタン屋根を剥がして銀河の目玉へ巻き上げるのだから髭を蓄えたおじさんがずっとわたくしを見ているからわたくしも見返してやるのいつかあなたの背中を撫でた春一番が今宵も吹く夜よ更けよもっと更けよ