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詩「閨」

いつでもわたしは羽化できるのに
いつ迄も朝靄と宵闇を重ね着している
春光眩しく未だ蛹の中の温もりを愛す

その衣擦れが何者かの生きた証
メジロがワルツを踊る花間よ
また閨中にて朝の終わりを迎える

むめの香の重なりがわたしの羽化を誘う
見上げると春の風が巡り
翡翠色の心に「命なりけり」を知らせる

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