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【よっちき会議 2月レポ】 「もちより」で育つチームワーク

『コミュニティナース』という本と考え方に共鳴したおじいさん・千松さんが周囲に声をかけ、共感した島の人達とで、2023年秋から始まった式根島おせっかい会議。
徐々に「式根島らしさ」を考えてビジョンを決め、名前も「よっちき会議」となった。

年が明けて1月の話し合いでは、よっちき会議の地域活動計画
「よっちき!もちよりサロン」が決まった。

2月はいよいよお試し版に挑戦だ。
思い通りにいかなくても、メンバーは全力で楽しめる。
試行錯誤で生まれる楽しさとは?気軽に参加できる仕組みとは?
みんなが楽しめる地域活動のヒントを振り返りながら考えたい。

コミュニティナース先輩来島
「役割」と「仲間」の育て方
次回のモデル


コミュニティナース来島

コミュニティナースは式根島に限らず全国各地で活躍している。
その1人、がーすけさんが、よっちき会議の活動も知ってくれ式根島にも来てくれた。

来島した日は、よっちきサロンの開催日の前日で、ぜひイベントに向けてアドバイスをもらおうと千松さんの家で数名のメンバーで集まった。

がーすけさん自身も訪問看護をしながら都内で地域づくりに取り組み、心肺蘇生などを楽しく伝える活動でイベントにも出展するベテランコミュニティナースだ。

イベントの概要を伝えると、次々と実践的な意見をもらえた。
・今回のサロンの対象者の「家に籠りがちな人」は外に出るだけで大変。だからこそ呼ぶだけじゃなくて、本人達の家や普段行ける場所に自分達から行くような工夫もある。
・何かをする場じゃなくて、ただそこに「いる」だけな場にできると、喋りたくない気分だけど繋がりたい人も来やすい。

式根島には元々お茶会のようなコミュニティがいくつかある。
しかしメンバーは固定されて新しい仲間は参加しづらく、島の人同士で仲が悪い場合もある。
そのような関係性を無邪気に乗り越えて、開かれた居場所を考えるヒントを、たった2時間で沢山教えてもらえた。

「役割」と「仲間」の育て方

コミュニティナースの応援ももらいつつ、翌日はいよいよよっちきサロン本番だ。
幸いよく晴れた小春日和で、会場のお店に差し込む日差しで部屋も暖まっていた。

誰よりも会議メンバーがこの日を楽しみにしていた。
会場を貸してくれる千松さんは前日からお店の掃除を始め、
当日には庭の花を生けてテーブルに飾っていた。

事前の役割分担はあまり決めなかったが、
「こんなものが持ち寄れると良いよね」
という物品リストを作り、ポスターに取り込んだ。

するとどうだろう、当初の想定以上に色々なものが集まった。
コーヒーや軽食、CDも、作戦会議では持っていなかった人達も「良かったら」と持ってきたのだ。
千松さんの生け花に至っては準備リストにも入っていない。

欲しいものを書きだして、あとは参加者に委ねることで、
自分から考えるおせっかいが「役割」に変わっていった。

当日参加できなかったが、自宅のコーヒーミルを貸し出してくれた方もいる。
しかし使い方がわからず、イベントの開始時間になってもみんなで試行錯誤を重ねた。
結局本人に電話をかけて1時間近くかけてコーヒーを1杯作れたが、この過程でまたチームワークが育った。

注文してすぐに出てくるコーヒーは快適だが、
みんなで試行錯誤してやっと飲めたコーヒーの味は格別だ。
相手への思いやりを重ねることで、「仲間」になっていく。

コーヒーに限らず、音源トラブルなど諸々あったが、
おせっかいを持ち寄り「役割」を作りあった「仲間」との時間はあっという間に過ぎていった。

次回に向けて

日が傾き始めた頃に、今回のまとめと次回に向けての話し合いも始めた。
まずは今回のよっちきサロンに参加してよかったと感じたことをあげた。

肯定的な意見が多く、コーヒーづくりや対話を通して、「繋がり・一緒に作る感覚・ハレの日の雰囲気」などを感じることができたようだ。

一方で飲食の準備などは繋がりもできた一方で大変という意見もあり、これからはみんなが持ち寄るもののテーマを統一する提案もあった。

実は、今回のサロンでは来てほしいと思っていた「家に籠りがちの人」は参加しなかった。
声をかけたが「今は出られる気持ちや体力がない」と断られてしまったのだ。

でも、よっちき会議メンバーが気になる・おせっかいしたい人達はかなりいる。
どのくらいおせっかいして良いか?気持ち良いおせっかいとはどのようなものか?
前日のがーすけさんのヒントも踏まえてみんなで考えると、
「呼ぶ」より「行く」のが良いかもしれないと考えた。

気になる人が自然と主役になるような、
イベントとは呼ばない日常の集まりの延長で、
気づいたらその人と周囲が元気になるような持ち寄り企画とは?
この問いのもとで「持ち寄るもの」のブレインストーミング(アイデア出し)をやってみた。ワイワイとアイデアを出し合う中で。「面白そう!」と1番盛り上がったのが「ハタチの写真」だった。

誰しもある青春の写真。色は褪せても思い出は鮮やかだ。
話を盛り上げるきっかけにはぴったりだろう。
写真を見せる会はオープンに開くだけでなく、その人の家を直接尋ねる会も開くことになった。

誰でも来て良いオープンな企画で健康になろうという試みは社会医学ではパブリックアプローチと呼ばれるが、
「ちょっと気になるあの人」を中心に元気になれる企画はハイリスクアプローチと呼ばれる。

島の人で作る小さな団体だからこそ、気になる人に寄り添えるアプローチができるかもしれない。
「20代の写真」が成功するかは分からないが、何よりこの試行錯誤を重ねることが、よっちき会議が育つためにも大切だろう。


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