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ファンアートを額縁に飾った話(趣味の陶磁器の話もあるよ) #4

こんにちわ。しかぬまです。先月「現代アートと推し活」というタイトルで記事をポストしました。ここで紹介したファンアートですが、大変気に入ったので印刷して額装しました。今回の記事ではファンアートを額装するまで、そしてこちらのアートと私が好きな陶磁器を用いてインテリアをコーディネートをした内容について書いていこうと思います。



ファンアートを印刷して額装した話

素敵な業者さんに出会えました

まず初めに額装して完成した作品がこちらです。中央のキャラクターはコンチのリスナー”コンリス”、背景は現代アートを意識して、直線的かつ多色使いを意識しました。

最初は印刷するにしても、どのような印刷方法にしようか考えていました。現代アート風に描いた作品だったので、現物化した際には出来る限り現代アートらしさを引き出したいと思っていました。印刷業者さんを調べているうちに”キャンバスプリント”というサービスを知り、「これだ!」と思いキャンバスプリントを選択。また額縁は別業者さんを探すのも大変だったので、印刷から額装までワンストップで対応してくれる業者さんを中心に選定しました。

そこで今回は栃木県足利市に本社を置くマルニ額縁画材店様でオーダーさせていただきました。マルニ様は1969年創業の老舗で、自社製造のオリジナル額縁や画材も多数取り扱っています。またプロの画家のやイラストレーターの方もマルニ様のサービスを利用しているようで、プロに選ばれている点も安心できます。

"日常に、アートを。"というビジョンやミッションステイトメントである"額縁を通して芸術文化の振興を図理、社会に貢献する。"から分かるように、額縁、そしてその先にある芸術活動の発展という未来を見据えた企業精神がすごく素敵です。私の活動もデザインとアート、コンチの魅力を広めることが目的なので、とても共感できる部分です。

ジークレー印刷を試してみました

今回印刷にあたって"ジークレー印刷"という手法を採用しました。ジークレー印刷は美術品向けの高品質・超高精細印刷のことです。また現物の絵画をデジタルデータ化できるため、アーカイブ保存という点でも優れています。そのため版画不要で複製できるため、画家の方々から支持を得ている技法だそうです。さらに耐久性にも優れているという点もあります。

一般的なジェットプリントだと4色インクで印刷しますが、ジークレーだと8.9〜12色インクで印刷が可能です。私の作品は特に精巧な作りでもないため一般印刷で十分だとは思いますが、せっかくなら良いものを作りたい、時クレーを体験してみたいということでジークレー印刷を選びました。写真やグラデーションなどの表現が細かい作品の場合はジークレーがおすすめのようです。

また額縁についてですが、今回は生地をキャンバスにしたため、その立体感が活かせるようにBOXフレームにしました。また細身のブラックフレームにキャンバス周辺の余白も少なめにして、現代アートのスタイリッシュさを引き出せるようにしました。キレイな仕上がりに満足しています。

マルニ様には購入前の相談から印刷、額装、購入後のやり取りまで大変親切にご対応していただきました。素敵な作品が出来上がり家の中が豊かになりました。絵を飾るってとても意味のあることで、空間作りを意識するとこんなに室内が変わるんだなと改めて感じました。我が家にも"日常に、アート"が来ました。この度はありがとうございました。

趣味の陶磁器の話

陶磁器の歴史

このアートに今回は"シノワズリ(chinoiserie)"をテーマにインテリアをコーディネートしました。シノワズリとはフランス語由来でヨーロッパ人から見た東洋らしさを表現しています。

私はもともと紅茶好きで、紅茶関連の本を読むと陶磁器の話が登場します。というのも陶磁器もお茶もアジア、主に中国からヨーロッパへ輸出され広まったものだからです。ちなみに中世ヨーロッパにも欧州磁器が全くなかったというわけではありません。しかし半磁器と呼ばれるもので、東洋磁器のように強度に優れたものではありませんでした。

陶磁器の起源は数千年前にさかのぼります。中国は焼き物文化が古来より非常に発展しており、世界的に見ても有数の陶磁器文化を誇っています。日本の陶磁器だと佐賀県の有田焼きが有名です。有田焼は17世紀、豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に陶磁器職人を連れて帰ったことに始まります。この有田焼は同じ佐賀県の伊万里港から東インド会社によって、ヨーロッパへ輸出されたため、伊万里焼としても名が知れ渡っています。

これらの東洋で生産されていた陶磁器は、中世ヨーロッパ貴族たちも惚れ込みました。しかし当時のヨーロッパにはこの美しい東洋式白磁を再現する技術がありません。そこで現在ドイツのザクセン州にあたるポーランド王兼ザクセン選帝侯は錬金術師を幽閉し、白磁の研究と製造に従事させました。そして1709年技法の解明成功、1710年工場設立したのがヨーロッパ陶磁器界のトップに君臨するマイセンです。マイセンが解き明かした陶磁器の秘密はあっという間に外部に漏れ、ヨーロッパにも白磁の技術が広まります。

1739年に誕生したマイセンの代表作『ブルーオニオン』
名前の由来がザクロと玉ねぎを見間違えたからという逸話付き

ちなみに白磁の秘密はカオリンという白土です。このカオリンが薄くて強度の高い白磁の製造を可能にしています。そしてカオリンという名前は江西省景徳鎮付近の高嶺(カオリン)と呼ばれる山が由来です。この高嶺山がカオリンの主要産地であり、そのお膝元である景徳鎮(ケイトクチン)が陶磁器の世界的に有名な地であり、長い歴史と伝統を誇っています。

景徳鎮の美しい作品
清時代(16-20世紀)に作られたそうです

私は中国陶磁器を継承した青と白が美しいマイセンやロイヤルコペンハーゲンのデザインが好みです。特にロイヤルコペンハーゲンのブルー&ホワイトの繊細で気品が感じられるブルーフルーテッドは一目惚れし、陶磁器に本格的に興味を持つようになった作品。私も陶磁器の美しさに魅了された1人なので、中世ヨーロッパ人がいかに磁器に夢中になり、シノワズリというブームを産んだのかが分かります。

1775年に誕生したロイヤルコペンハーゲンの代表作『ブルーフルーテッド』

マイセンもロイヤルコペンハーゲンも職人が1つ1つ丁寧に絵付けを施しています。またロイヤルコペンハーゲンはデンマーク王室も愛用しており、王室主催の晩餐会でも使用される名窯です。晩餐会で使用されるのはブルーフルーテッドではなく、フローラダニカというロイヤルコペンハーゲンの最高峰のコレクションになります。こちらの作品はデンマークの植物を忠実に再現するために、植物図鑑『フローラダニカ』を手本にし、とても繊細ですがこれも職人の手で絵付けされています。

ロイヤルコペンハーゲンの最高峰コレクション『フローラダニカ』

私はこういう作品の歴史や作り手の思いやストーリーを見ること、聞くことが本当に大好きです。最初の自己紹介にも書いていますが、このnoteを始めたのも同じように、私のそういう作成過程を形に残したいと思い始めました。

シノワズリインテリア×現代アート(ファンアート)

陶磁器についてすごく熱く語ってしまいましたが、今回はそんな大好きな陶磁器や美しいブルー&ホワイトをテーマに小物をセレクトしました。やっぱり何度見ても美しいですね。インテリアに額装した現代アート風ファンアートを加えたことで、空間が一気に遊び心があるものとなりました。小物類は青と白なのに飾ってある絵はカラフル。そんな組み合わせなのに上手く調和し、インテリアやアートはやはり空間作りに重要なのだと再認識しました。見ているだけで満足感が得られます。


今回はファンアートのプリント・額装がメイントピックでしたが、シノワズリというインテリアコーディネートについても触れました。というのも私は商品だけを紹介するよりも、もっとその先を見据えた提案の方が意味があると思っているからです。例えばモノを通してどのような生活ができるのか、どのような自分になれるのか、そのような未来を見せる長期的な視点に焦点を置いているからです。

特にアートやインテリアは販売している様子は見かけますが、どのように部屋に飾ればいいか迷う人も少なくないと思います。そのような人に向けて、コーディネートの仕方や楽しみ方を伝えることで、興味を持ってもらったり、将来の自分の家や部屋のコーディネートのヒントに繋がれば嬉しいです。そしてその人の人生にどうポジティブな影響を与えられるか。それが現代の消費活動で重要だと思っています。特に日用品の範囲を超えた高感度消費になるほどに。

そのためにもまずは、私が一番楽しんで、そして自分の作り出したものや投稿に自信を持つことを何よりも心がけています。以前Xの投稿で"ライフスタイル×デザイン×アート×コンチ"をコンセプトにしていると言ったのも、背景には実はこんな思いがありました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
心より感謝します。



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