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ライティングで意識しているのは「語尾を連続させないこと」

語尾を連続させない

これは、僕がライティングを行う中で一番意識していることです。
そして、社内ライター時代に上司から耳が痛くなるほど教えられた表現方法の一つでもあります。


そもそもなぜ、語尾が連続することを避けたいか。

それは語尾が連続すると、文章が単調になったり稚拙になったりする可能性があるからです(ケースバイケースではあります)。


今回はそんな語尾の連続についてよくある具体例を挙げながら、自分が普段どのような思考でリライトしているかご紹介したいと思います。

プロのライターさんにしてみれば、基本的なルールに思えるかもしれませんが、僕と同じく「語尾が似たような言い回しになってしまう」と悩む方にとって、一つの参考になれば嬉しいです。


先にお伝えしたいのは、この表現方法はあくまで自分が意識しているということ。決して、誰かの文章にいちゃもんをつける気はありません。

そして、僕がライティングについて語るのは、良いライティングや表現を追求したいからです。どうぞ「半人前が何か言ってらぁ」ぐらいの気持ちでご覧ください…笑




【具体的①】~でした/~だった

【例文】
今日は花火を見に行きました。
空に大きな花火がポンポンと上がって、まるでお星さまが降ってくるみたいでした。

上記はChat GPTに作ってもらった、夏をテーマにした文章です。
Chat GPTを使うのは今回が初めてですが、中々にかわいい文章を作成してくれますね。

この文章で僕が感じるのは、子どもっぽい印象。AIに対して「絵日記風に」と指示を出した影響もあるかもしれませんが、「~でした/~だった」が連続すると、どこか稚拙な印象が強くなるのがわかると思います。


それでは、この文章を自分なりにリライトしてみましょう。

【リライト】
今日は花火を見に行きました。
空に大きな花火がポンポンと上がるたびに、まるでお星さまが降ってくるようで…。

どうでしょう。ちょっとエモさを押し出してみました。

締めの一文を追加したい場合にも、つなげやすい文章になったと思います。あまりこういう筆致では書かないので、いざ実践してみると難しいですね。


一方で「~でした/~だった」を連続させたほうが良いケースがあるのも事実です。たとえば、子育て中の主婦が書くエッセイとか。文章のあたたかみを強調したいときは有効だと思います。

あとは、スポーツ中継の実況でもよく使われていますよね。
「毎日厳しい練習に耐えてきました。何度も逃げ出したいと思いました。そして今、苦楽を共にした仲間たちと、ついに甲子園の舞台に立ちました!」
みたいなエピソードトークです。

語尾の連続そのものは、何かを強調したいときに使える手法だと思いますので、シチュエーションを考えながら使っていきたいですね。


【具体例②】~ます

【例文】
私たち日本人の多くが言語化を苦手とする理由に、そもそも日本語が複雑で難しいという側面があります。日本語は5世紀に中国大陸から渡ってきた渡来人によって伝承したものをルーツとしています。…

『言語化100の法則』( 山口謡司 著/日本能率協会マネジメントセンター)より引用

上記の文章は、僕が以前にライティングの依頼を受けた書籍から引用したものです。ありゃりゃ、語尾が連続していますね。

この「~ます」は僕にとって最大の敵。とくに「~だと思います」のあとに「~します」をつけてしまいがちなんです。

「~ます」が連続することで受けるのは、事務的・説明的な印象。論理的に語りたい内容であれば有効かもしれませんが、淡々としていてAIが書いたようなイメージもあります。読み手の共感を求めたい文章などでは避けたいところです。


【リライト】
日本人の多くが言語化を苦手とする理由に、そもそも日本語が複雑で難しいという側面があります。そもそも日本語は、5世紀に中国大陸から渡ってきた渡来人によって伝承したものがルーツ。…

今回は体言止めを使ってみました。ただし、体言止めの多用にはご注意を。便利ではありますが、文章が単調になる要因にもなります。

これまでに投稿したnoteの記事を振り返っても、僕は体言止めに頼りがちですし、社内ライター時代にもよく上司に注意されていました…。
僕自身、これから注意していきたいポイントでもあります。


【具体例③】~ください

【例文】
~~を修正ください。
完了いたしましたら、再度データをお送りください。

僕は仕事で、同僚が作成したビジネスメールを添削することがありますが、よく見るのが上記のような「~ください」の連続です。

そもそも「~ください」は、何かを要求する言葉。メールを受け取った相手が理解力のある方であれば、「急いでいるのかな、早く対応しないと…」と思うだけで済むでしょう。しかし、中には「がめつい」「くどい」と思う方がいるかもしれません。

その中で、僕はいつも以下のように調整しています。

【リライト】
~~を修正ください。
完了いたしましたら、再度データをお送りいただけますと幸いです。


なんだか、ビジネスマナーの講習になってしまいましたが、ビジネスメール以外にも「~ください」が連続しがちな場面はあります。

これは僕が企業のコーポレートサイトやECサイトのライティングをしていた際の話ですが、こうしたサイトのトップページには、よく会社概要や事業内容の下層ページに誘導する文章がありますよね。以下のような部分です。

note株式会社の公式サイトより

誘導文をライティングするときも、よく「こちらからご覧ください」で締めることが多くなりがち。しかし、複数箇所で語尾を連続させてしまうと、やはりページ全体が単調になってしまいます。

誘導文には主に下層ページの要約文が入りますが、事前の聞き取りで「基本的にはライターにおまかせ」という方針になったらもう大変です。少ない情報しかもらえないので、ライティングが苦しくなることも…。そうなると発生しやすいのが、文字数が稼げて締めの一文にもふさわしい「~ください」の連続というわけです。

こうした状況を克服してくれるのは、やはり語彙力でしょう。といっても難しい単語を覚えろというわけではありません。ここでの語彙力とは、締めくくるための表現を複数用意しようという意味です。

僕はまだ全然できていませんが、ほかのライターさんが書いた文章を見るなどすれば、次第に能力が培われていくかと思います。ぜひ一緒に、いろんなメディアから吸収していきましょう!


おわりに

ここまで語尾の連続をテーマに書いてきましたが、実のところ無理に避けようとしないほうが良いケースもあります。

たとえば、Web記事などでよく見る「~ですよね」という語尾。僕もよく「先に“です”を使ってるから、ここは“ですよね”にしよう」と思って調整することがあります。

しかし、これはかなり砕けた表現。クライアントの媒体によっては、使わないほうが賢明でしょう。実際に、僕が担当したビジネス本のライティングでも「~ですよね」は一度も使いませんでした。

書く内容に合わせて、用法用量を守る。
そして、引き続きライティングを楽しみたいと思います。


それでは、今回はここまで。



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