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創作短編小説『赤い正真正銘』    ――6、赤い氷河期――


6、赤い氷河期


「いやあ、参りましたねえ~、Qさん」

「ホントだね、船橋さん。まさかの展開だったモノねえ~」

 東京に帰るため新大阪駅から新幹線に乗った船橋とQ。グリーン車に二人並んで、まずは乾杯をして一息ついた。

「お疲れ様でした」

「お疲れ様。ホント、疲れたよねえ~。で、船橋さんは相変わらず飲めないの?」

「ええ、まったくの下戸で」

「なんか、悪いね。私だけアルコールで」

「全然気にしないでください。わたしはこの缶コーヒーが大好きでして」

 二人は新幹線に乗る前に売店で買ったビールと缶コーヒーを飲みながら、それぞれ今しがたの出来事をまるで夢物語のように思い返していた。

 ――結局、土下座をしたままの太田は、決して頭を上げようとはしなかった。仕方なく、船橋とQの二人はそのまま太田を残し、会議室を後にしたのだった。慌てて小関が最寄りの新大阪の駅までついてきた。

 ホテルの外は一時の豪雨はおさまってはいたものの、未だに雨が降りしきっていた。三人は傘を差しながら駅までの道のりを、さすがに無言で歩いた。と言ってもホテルから駅までは徒歩三分もなかったが、気まずさでその何倍にも感じたのは皆同じだっただろう。

 三人は駅に着くと、まずは「みどりの窓口」に並んだ。もともとのチケットは、最終の新幹線を予約してあったのだが、会議がかなり早く終了したため時間を前倒しに変更しようと並んだのだ。太田の希望するパイロット版の撮影を、船橋とQがかたくなに断ったからに他ならなかった。日曜の割には、そこまで混でもいない列に並び、順番待ちをしているうちに三人の気まずさも徐々にほぐれてきた。

 三人は列に並びながら、会話はもっぱら太田のことに終始した。小関は泣きそうな顔で何度もわびを入れた。

「本当に今日は失礼いたしました。ホント、申し訳ありませんでした。太田の方には『あらかじめその旨、Qさんと船橋さんに伝えた方がいいのでは?』と、もちろん進言したんですが……」

「どうせ太田さんに『アホ抜かせ!』、とか言われたんでしょう?」

 Qは既に笑顔を作っていた。

「ええ、そうなんですよ。『そんなこと最初から言うてみい。ハナから大阪まで来てくれなくなるワナ。まとまるもんも、まとまらなくなるやんか。こういうことは、来てもろうてから、一気に押すんや。なあに、心配するんやない。いざとなったら、最終手段は考えてあるわな』ってな感じだったんです。僕の話など全く聞く耳もたずで……」

「その最終手段が土下座だったわけ……」

 船橋もさずがに苦笑いするしかなかった。

「は、はあ……。そうみたいです。まさか、そんな原始的な手だとは……。ホント申し訳ありませんでした。ここは上司がなんと言おうと、僕が予め、こっそりとでもお二方に打診をしておくべきでした……」

「いや、いや、小関ちゃんが謝ることもないよ。あの太田さんの雰囲気じゃあ、しょうが無いじゃないの?」

 船橋は、おどけながら小関の肩に手を置いた。船橋も仕事を一歩離れると、冗談好きのおっさんに戻るようで、図々しくもいつも「小関ちゃん」と親しげにわざと「ちゃん」付けで呼んでいた。船橋なりの愛情表現だったのだろうが、当の小関は「なれなれしいおっさん」と思っていたかもしれない。Qも、傷心の小関を慰めるように背中をポンポンとたたいた。

「そうそう。ホント小関さんも水くさいなあ。船橋さんはともかく、私だけには予め言ってくれれば良かったのに。つきあい長いんだから……」

「ですね。ホント、スミマセン!」

「でも、私は太田さんとは初めてだなあ、会うの」

「そ、そうでしたか? Qさんこそ、こんなに長く一緒にお仕事させてもらっているのに? でも、言われてみればそうかもしれませんねえ。結構、すれ違っちゃってたかもしれないっすねえ」

「普段は、何してるの? 太田さんは」

「もちろん、当部署=企画編成部のトップですから。もっとも、だいたい当部署の仕事は僕たちに指示するだけですけど……。だからQさんとすれ違いになっちゃったんですかね、たぶん。いつもは、社長と一緒が多いですかね? 社長と色々相談してる感じですね。相談役っていったら語弊がありますけど。いつも社長が話して、横で太田がウンウンおおきくうなづいている、みたいな……」

「は、はあ、そういうことか!」

「何がですか、Qさん?」

 船橋が横から口を挟んだ。その船橋に一度顔を向け、再び小関を見ながらQは続けた。

「はい、はい、はい。そういうことね。例の新社長公募の時、たった一人だけ『社長ではなく部下として雇ってくれ』と懇願したと言う、例の人ね」

「さすがQさん、ご存じでしたか?」

 小関がメガネの奥のつぶらな瞳を、珍しく大きくした。

「うん、まあ、小耳に挟んだくらいだけどねえ~」

 と言いつつも、合点がいったように何度も首を縦に振るQ。さすがに長いこと発毛クリニックに関わっていたとあって、瞬時に事情を察したようだった。が、船橋にはそれが到底分かろうはずもなかった。そんなQと小関の顔を交互に見ながら船橋は怪訝な顔をするしかなかった。

「何ですか、それ? 新社長? 公募?」

「いやあ~。話すと長くなるから……」

 Qは苦笑いをしながら後を語ろうとはしなかった。小関も同じく苦笑いしながら黙っている。船橋も空気を読んでそれ以上は聞かなかった。その場を取りつくろうように、Qが話題を変えた。

「いずれにしても、あの社長がいつもそばに置いているのなら、結局『イエスマン』なんでしょうね、太田さんは」

「はあ、まあ、言われてみればそうかもしれません。太田が社長に逆らったことなど、一度もありませんから。もっとも僕含め社長に意見する者など、いませんけど……」

 相変わらず、静かな声で話す小関。それゆえ冗談も冗談に聞こえない。と言うか、最後の方はボソボソと何を言っているのか聞き取れないほどの声だった。

 ちょうどそこで、みどり窓口の順番が回ってきた。小関が、船橋とQの分の新幹線のチケットを前倒しに変更するため、窓口職員とやりとりを始めた。――


 そんな、数十分前の出来事を振り返りながら、船橋は飲み終えた缶コーヒーを一旦テーブルの上に置いた。日曜の夜七時過ぎ。グリーン車内は所々空席が目立った。三分の一くらいは空席だろうか。おかげで船橋とQの周りには人も少なく、疲れた心と体を癒やすには十分すぎる空間だった。缶ビールを一気に飲み終えたQも、気が緩んだようで、おもむろに自分のバックからもぞもぞと何かを取り出した。そしておどけたように隣の船橋にそれを見せつけた。

「ゴメン、船橋さん、コレかぶっていい?」

「あ“=? もってたんですか? それ!」

「なにせ一日、五時間以上かぶるのが推奨されていますんで、ちょっくら失礼して」

 照れ笑いをしながらQが取り出したのは、先ほど会議室で話題に上がった「りすとあきゃっぷ」だった。Qはりすとあきゃっぷ(インナーキャップ)をかぶり、さらにその上からそれを隠すための黒のニット帽を被った。


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「でも、Qさんは薄毛でも何でもないのに、必要なんですか、それ?」

「いやいや、なんとか普通に髪はあるけど、昔に比べるとボリュームがねえ……。心配だから実は予防的に、毎日使っているのよね、社長じゃないけど」

「確かに、それ社長と全く同じ格好ですね!」

「いやいや、社長のニット帽は付属の真っ黒のヤツだけど、私のは、ホラ見て! ちょっとオシャレに赤い刺繍がしてあるでしょう」

 みれば右横に確かに「PUMA」と赤い文字でワンポイントのロゴが入っていた。

 ――だからって、そんなワンポイントでは見た目、社長と同じじゃん……

 と思いながらも船橋は、そうもいえず、少しおどけた口調でたずねた。

「でも、それってオシャレなんですか? 今、はやってるんですか?」

「イヤ本当のところ、こんなおっさんには良く分かりません! 正直言うと、たまたま買ったヤツに、このロゴが入っていただけ~」

 Qさんなりの冗談だったか、とホッとした船橋だったが、もう一つ質問せざるを得なかった。

「っていうか、Qさん! それ持っているんだったら、さっきの会議室で出せば良かったのに。話題に上がった時に」

「いやあ~。一瞬、そうも思ったけど、これ出しちゃうと話が長くなるかな? と思ってね」

「ああ、それなら納得ですね! あの場で出すと確かに墓穴を掘ったかもですね。じゃあ、それならわたしも……」

 今度は船橋の方もキャリー付きスーツケースを棚から下ろし、中からもぞもぞと何かを取り出した。横で見ていたQが口を挟む。

「しかし、こんな日帰りなのにスーツケースって、一体何が入っているの?」

「いやいや、たいしたモノは入ってないんですけど、中途半端な荷物はキャリー付きの方が軽くなるので移動しやすいかと思いまして」

 と言い訳をしながら、船橋は中から黒いモノを取り出した。

「ジャーンっ!」

「マジ?」

 それを見たQの目が大きく丸くなった。勝ち誇ったように船橋はつづけた。

「わたしも失礼して、この『エナジーキャップ』を被らせていただきます!」

「わざわざ持ってきてたんかい!?」

 それは、まぎれもなく今回の主役「エナジーキャップ」だった。


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「わたしもまさか、これが今回の話題の中心だとはビックリしました。新幹線で眠くなった時このキャップのツバで顔を覆い隠そうと思って、たまたま今回持ってきたんですよね。おっさんの寝顔って、みにくいですからね」

「でも船橋さんこそ、それをあの場で出さなかったのは正解だったね」

「もちろんです。あの場で出したら、どれだけ太田さんの話が長くなったことか……」

「ぞっとするよね、ホント。で、モバイルバッテリーはつけないの? 赤色LEDをつけるための」

「ええ、バッテリーは持ってきてないです。ハナから寝るときの顔を隠すためだけに持ってきたので。だいたい、わたしの日常生活ではオペキャップは使いますが、普通の帽子は使わないので……、帽子って持っていないんですよね。手頃な帽子は、これしかなかったもんで」

「なんだ。せっかく持ってきてるのに」

「でも、赤色LEDの照射はたったの十五分を一日二回でいいので、家に帰ってからで十分です」

「まあ、私のりすとあきゃっぷと比べればそうだね。それにしても、二人してスーツ姿に帽子被って……」

「ちょっと、いや、かなり怪しいですかね?」

 お互いの顔を見合わせてついつい大声で笑い合ってしまった。周りに人がいなかったことがこれ幸いだった。

 一息ついた窓側のQ、そして通路側に陣取った船橋はスマホで車内販売を注文することにした。Qはビールにおつまみ、船橋はあのかたいバニラアイスを注文した。

「これで良しっと。でもQさん、わたしもりすとあきゃっぷ使ってましたけど、これは何が髪にいいんでしたっけ?」

「ああ、これね。なんでもレアイオンっていうの? イオンの力で頭皮を活性させるみたいよ。どれスマホでさがしてみようか」

 Qはスマホで通販の画面を開いた。

「あった! これだ。船橋さん、どうぞ……」

「ありがとうございます」


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 Qから「りすとあきゃっぷ」の通販画面が表示してあるスマホを借りた船橋は、その商品解説を読み上げた」

「なになに……。『ご自宅で簡単に、究極のレアイオンパットの活性パワーを取り入れ、頭皮全体を健やかに保ちます。抗菌防臭性、吸収速乾性に優れており、夏・冬季節に関わらず、年中快適にご使用いただけます。若々しく豊かな髪を望まれるお客さまにおすすめです』って、これしか書いてないですね」

「えっ、それだけ? それじゃあ、何が髪に効くのか? 何がどのように効くのか? 肝心なところが全く分からないじゃないの」

 船橋から自分のスマホを取り戻し、目を細めながら人差し指で画面を上下させるQ。

「ほんとだ、ホントにこれだけしか書いてないね」

「わたしの中では、髪が生き生きするってイメージなんですけど、何がいいんですかね?」

 Qのスマホ画面を隣から覗き込みながら、船橋も目を細くした。

「レアイオンって書いてあるけど、私の記憶だと確か?……、ラジウム鉱石と同じような感じの効果だったような気がするんだけどねえ?」

「ラジウム鉱石? 石のアクセサリーとかの? ラジウム温泉とかのですか、Qさん?」

「そうそう、あくまでイメージだけどね。ラジウム温泉なんか、温泉成分? が血行促進とかリュウマチとか、いろいろ効くじゃないの、体に。アクセサリーの石とかも、そんな感じでしょ?」

「ええ、そう言いますよね」

「しかも、それはずっと効果があるって言うか、ずっと効いている=半永久的ってイメージでしょ?」

「ええ、ラジウムって言うくらいですからね。ずっと効果があるってイメージですよね」

「そうそう。それと同じイメージで、この『りすとあきゃっぷ』はインナーキャップの中にはめ込んであるピンク色のシリコンパッドに、ラジウム温泉と同じような有効成分? が塗り込まれていて、それが頭皮に触れているだけで髪が健康になる、しかもそれが半永久的にずっと続く。ただし一日五時間以上目安、みたいなことを以前、聞いた気がするんだけどねえ、私の記憶違いかもしれないけど」


注)左が頭皮の上に被るインナーキャップ。ピンク色の三角のものがレアイオンパッド(撮影のため、取り外してある)。このイオンパッドを六枚、インナーキャップにつけて使用する(頭に被る)。右がインナーキャップを隠すためのニット帽。



「結局、その有効成分がラジウム鉱石なんですか?」

「いや、わからない。それはあくまで例え話だから」

「でもその有効成分をはっきり書かないと、購入者は何が効くのか全く分からないですよね」

「だね。もしかしたら、それこそ企業秘密なのかもしれないね?」

「ああ、それで有効成分をあやふやに。それなら分からなくもないですけど、ユーザーとしては、髪に何が効くのか知りたいですよね。このエナジーキャップだったら『赤色LEDが発毛促進効果がある』みたいに」

「だよね……。あっ、そうかっ! ひょっとしたら……」

 そこでQが突然何かひらめいたように、スマホを握っていない右手で、自分右足の太ももをパンとたたいた。

「どうしました、Qさん?」

「うん、私の記憶どおりに、仮にラジウム鉱石が有効成分だったら、それをうたい文句に書きたくないんじゃないの?」

「どうしてですか?」

「ラジウムって言うと、何か怖いイメージを連想する人がたまにいるじゃないの?」

「ああ、昔のラジウムガールズの事件ですね。時計の文字盤を発光させるためにラジウム入りの蛍光塗料を塗ってたって言うヤツ。従業員の若い女性達が手作業で塗っていて、多くの女性が健康被害にあって亡くなった。けど、企業はその原因を知っていて、梅毒とかのせいにして長いこと誤魔化していたって言う、ひどい事件ですよね」

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「さすが船橋さん! よく知っているねえ。ホント時計には詳しいねえ!」

「いやいや、Qさんこそ……。でも、その時計のラジウムと『ラジウム鉱石やラジウム温泉』は全然意味が違いますよね」

「そうなのよ、全く別物なのよ。でも、多くの人は何か同じように感じちゃうんじゃないか? って発毛クリニックさんは考えた。それを不安視して、あえて表に出さないようにしたのか? ――なんて今思いついたんだけど」

「ほう、それじゃあ、有効成分はやはりラジウム鉱石とおなじようなヤツなんですかね?」

「いやいや、全然わかんない。ゴメン、今のはただの私の思いつき。やっぱり単に企業秘密かもしれないしね」

「なんだ、結局、最初に戻っちゃいましたね」

 二人は顔を見合わせて、また大笑いした。その後、確かめるようにQは一度、りすとあきゃっぷを外し、その中から有効成分の塗り込められているであろう「ピンク色のシリコンパッド」のを取り外した。そのシリコンパッドの手触りの良いツルツルの表面をなでながら、Qは続けた。


上がメッシュ性のインナーキャップ。下はその中から取り出したレアイオンパッド。

「いずれにせよ、有効成分自体は半永久的みたいよ。太田さんも言ってたけど、社長の大のお気に入りで、仕事中もほとんど毎日、被りっぱなしなのは本当のことらしいからね」

「ええ、私も社内でりすとあきゃっぷを被ったまま仕事をしている社長の姿をSNSでみたことありますね」

「理由はどうあれ、社長が毎日被っているくらいだから、それだけ効くって事でしょうね、たぶん」

「確かに! それが一番説得力ありますね! 有効成分云々より『社長の大のお気に入り!』みたいに宣伝した方が売れるんじゃないですかね?」


 再び爆笑する船橋とQ。さすがに、後ろの方の乗車客がその笑い声に不機嫌そうに目を向けたが、二人がそれに気付くことはなかった。笑い終えたQが、再びりすとあきゃっぷを被り始めた。まさか、そこで次なる事件が起ころうとは船橋には夢にも思っていなかった。だからうかつにも、いらぬ質問をQに投げかけたのだった。

「でも、Qさん。なんで付属のニット帽を被らないんですか?」

 そもそも、りすとあきゃっぷは内側の帽子と外側の帽子の二重構造になっていた。髪に良いとされる有効成分を含んだシリコンパッドを取り付けるための内帽子(インナーキャップ)と、その見た目を隠すための外帽子=普通のニット帽子である。Qは内帽子を頭に被り、お店で適当に選んだと言うニット帽の赤く刺繍された「PUMA」のロゴを指さしながら、少し自慢げにこたえた。

「いや、付属のニット帽はぶ厚いでしょう。そろそろ春だし、薄手のニット帽にしたかったのよ。で、この『ピューマ』ちゃんを選んだのよ」

「……」

 言葉を失った船橋。

 ――そっ、それは絶対に間違えちゃいけないヤツ! 『プーマ』だっちゅうの……

 船橋の心の中を、それこそ「ピュー」と寒い風が吹き抜けた。いや、そんな生やさしいモノではない。まさに衝撃、いや戦慄、いやそれ以上のものだった。なんと表現したら良いだろうか? 顔を引きつらせ固まったままの船橋は、小学校五年生の時の、ある日の朝礼を思い出していた。

 その日、船橋は当番で朝礼の司会をしていた。昨日買ってもらったばかりの、両腕に一本のラインの入った新品の服を着て、内心うきうきしながら。すると担任の男の先生――児童達から絶大の人気を誇る先生だった。そんな先生をクラスの誰もが信頼し尊敬していた――が、笑顔で話し始めた。

「おっ、今日の船橋くんのジャージは初めて見るな。似合っているぞ! かっこいいじゃないか。『ピューマ』なんて……」

「……」

 ゴオーッ! クラスに激震が走った。誰もが言葉を発することができなかった。当時、一クラス四十五人くらいの今では考えられない多人数が、全員、一瞬で固まってしまい、微動だにできなかった。それは、まるで氷河期をむかえたマンモスが一瞬で全て固まってしまったような錯覚を覚えさせるほどだった。

「船橋さん、船橋さん、どうかした? どうしたの?」

 その声に我に返った船橋。

 ――そうだ、まさに氷河期だ。この寒さは氷河期に匹敵する。イヤそれ以上だ……

 顔を引きつらせたまま、それをQに言うべきか否か悩む船橋だった。隣ではQが、心配そうに船橋の顔をのぞき込んでいた。

「乗り物酔いでもしたの、船橋さん? 顔青いよ。寒いの? イスをもっと倒した方がいいよ……」

 ――あんたのせいだよ!

 と思いながら、次の言葉を必死に模索する船橋。そこにやっと、車内販売のビールとアイスが届いた。まさに天の恵みとはこのことか、と少し救われた気持ちになった船橋だった。         

                             〈つづく〉

*この物語はフィクションです。実在のあらゆるものとは一切関係ありません。



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注)以上は、鹿石のブログ『ダイ☆はつ Ⅴファイブ』より抜粋です。

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