度が過ぎた付加価値はムダになる?
今日も誰より価値ある1日を。
こんにちは、大鹿です。
noteを開いてくださって感謝です。
こんな言葉を見聞きしたことは(あるいはあなた自身が発したことは)ありませんか?
「もっと付加価値のある商品づくりを~」
「付加価値の高いサービスを提供して~」
他よりもっと良い体験を届けるために価値を“付加”しようとする。これ自体は真っ当な考え方です。
けれど、「価値」という言葉の定義を正しくとらえていないと、付加価値は一転、大いなるムダになってしまうことも。
価値について多面的に探究するのが本noteの目的です。この記事では、価値とムダの境界線について理解していただきたいと思います。
機能過多の家電製品とか
さて、本noteでは「価値」を以下のように定義しています。
価値=他人に提供できる成功の度合い
価値の量は自分ではなく他人が決めるもの
“期待以上の差分”がより大きな成功、より大きな価値
詳しくはこちらの記事に書いているので併せてご覧ください。
重要なのは「価値の量は他人が決めるもの」という点。
ものづくりなどをしていると陥りがちなのですが、作り手が「お客様が喜ぶものを、喜ぶものを」という想いに囚われるあまり、必要以上の機能を付加してしまうことがあります。
たとえば家電製品。
他社との競争を意識してなのか、「こんな機能使わんやろ」という機能がゴテゴテついているものはありませんか?
機能が増えると原価が上がり、販売価格も上がります。
さらに必要とされない機能がついた製品を売ろうとするものだから、営業経費や広告費がよけいにかさみます。すると、頑張って売っているはずなのに利益が減る。
ムダが生み出す地獄の悪循環。
反対に、小売大手のドンキホーテさんなんかは、使う機能を最小限に削ったリーズナブルなドライヤーがヒットしているそう。TV番組で見ました。
「価値の量は他人が決める」という原理原則に従えば、その消費者感情は「この値段でこれだけ使えれば普段使いには十分」ということだと考えられます。
もう少し具体例を見ていきましょうか。続いては私の実体験から。
増やしゃいいってものじゃない
このnoteには何度か書いてきましたが、私は元・お菓子商社の企画営業マン。現在も業界に関わっています。
以前勤めていた会社で念仏のごとく言われていたことが、まさに冒頭に書いた「もっと付加価値のある商品づくりを~」という言葉でした。
食品のような消費財は、大手メーカーのように常に多大な広告費をかけて認知し続けないと、必ず売れ行きは落ちていきます。
時たま、無名からロングセラーになるのもありますがそれはほんのひと握り。
だから飽きられないように、遅くとも3年に一度くらいは商品を改良する必要に迫られます。
私がいた会社であった定番のアプローチが、「味を変える」または「味を増やす」です。
大袋に入ったカップのゼリーがあったとします。味種は、ぶどうとももとりんご。
これを改良するのはほんと難しい。
ぶどう・ももあたりは人気のド定番。りんごをみかんに変えるか? あるいは3つを残したまま甘夏を加えるか? いやいや、それじゃ他もやっているから若者ウケを狙ってコーヒー味を加えてみようか? あ、そうだ!・・・
みたいにですね。どんどん自分たちの頭の中で袋小路に陥ってしまうのです。
そして本当に、「ぶどう・もも・りんご・コーヒー・カレーの5種のゼリー」みたいなものが出来上がります。(冗談ではなく何を思ったか「カレー」みたいなコンテンツが加わることがあるのです)
市場に出してみなければ反応は分からないものの、冷静に考えて売れませんよね。例によって価格は以前より上がっています。
悲しきかな、私も経験があるのですが、作り手は自分の世界に入っちゃっているので盲点に気付くのは難しい。
そしてこれを「作ったからには売ってこい」ということになり、営業は四苦八苦する。営業も口にはしないものの内心、「こんなの売れるわけねーだろ」なんて思っているわけです。
無理して売ろうとするものだから値引きをすることになり、営業経費の増加に反して利益は目減りしてしまいます。
価値とムダの境界線
「お客様に喜んでもらおう」とするあまり、自分本位な付加価値がいつの間にかムダになってしまう。作り手本人はそれに気づけない。
これは本当にあるあるです。私自身もやらかしているはずです。だからこそ、常に襟を正さないといけないと、と思っているわけですが。
価値の量は自分ではなく他人が決めるもの
前述のゼリーの例でいうと、今はネットで試食モニターを呼びかけることだって簡単にできます。実際に口にする消費者の意見を取り入れることは、そんなに難しくはありません。
(と、提言したことは何度もありますが受け入れられたことはありませんでした…)
大切なのは視点の行き来です。
仮説を立てて(自分視点)、お客様にモニタリングして(他者視点)、価値を理解する(視点の融合)。そして伝える(価値の伝達)。
それでもまだ、価値を受け取ってもらえるか分からない。
ビジネスでもどんな分野でも、価値は提供する人の分だけ存在します。表には見えない価値もたくさんあります。
深淵なる世界ですが、私たちは常に価値とムダの境界線があることを理解しておかなければならない。ゴテゴテと付け足せばいいってわけじゃない。
じゃあ価値をムダにしないためにはどうすれば? というお話は今後の連載でお伝えしていきます。
まずは価値とムダは表裏一体、隣り合わせということをご理解いただければ。
今日はこの辺で筆を止めておきます。
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