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新橋のサラリーマンの悲哀を力に変えて。

「なんでこんな決済に社内何人も通さなきゃなんねーんだよ」

「なんでこんなもん作りやがったんだよ、売れねえよ」

「なんであんな使えない奴が上に居座ってふんぞり返ってるんだよ」

東京・新橋の飲み屋に繰り出せば、どこからともなく聞こえてきそうな言葉。なぜなら、私たちが発していた言葉だからである。

はい、僕は紛れもない元「新橋のサラリーマン」です。足かけ6年ほど、一般的な中小企業で一般的な営業マンをしておりました。

これぞ新橋のサラリーマンな愚痴、僕らも発していたし、耳をそば立てれば隣の席のサラリーマンたちも発していたことと思います。

いま、ご縁があって、クリエイティブ系の仕事に少し携わらせていただいています。クライアントさんは中小企業や地方大手が中心。最近感じるのが、自分の「新橋のサラリーマン」的感性も、役に立つのだということです。

中小企業をクライアントさんにするなら、当然ながら中小企業で働くひとりの人間の気持ちが分からなければいけない。

しかしクリエイティブ系というのは、営業でものを売ってくる一般的な中小企業とは働き方に乖離があります。その業界ひと筋の人間が多いために、外の世界を知らないことも多いです。

というのも、僕自身営業マン以前は編集者というクリエイティブ系の仕事をしていて、ときたま日経新聞や日本能率協会といった、ガチガチのビジネス関係の分野に関わっていました。

ビジネス関係の媒体のターゲットは、日本の企業の99%以上を占める中小企業です。

けれど「営業マンに必須の気配りの技術とは?」などというテーマがあっても、営業マンをしたことがないから、どれだけリサーチをしてもリアルな「当人たちの気持ち」は分からなかったものです。

僕の周囲の人間たちも、仕事としてそつなくこなしてはいたものの、そう。本当の気持ちは理解できない。

しかしいま、新橋のサラリーマンを演じた僕は、一般的な中小企業で愚痴をこぼしながら働く人たちの気持ちが手に取るようにわかります。これは現在の仕事をしていくうえで、自分の強力なスペック。

僕自身、またクリエイティブ系の仕事に関わるとは思ってもいませんでしたが、人生とは面白いものです。無駄なことなど何一つなく、過去の点はどこかで必ず線につながります。

純粋なスキルでいえばその道1本の人には(今は)敵わないかもしれない。けれど、ある業界・あるターゲットに向けてはスターを手に入れたように能力が底上げされる。

なんだか、その方がカッコよくないですか?(笑)

もしかしたら、もう役に立たないと思っていた経験も、のちのち大きなあなたの力になるかもしれません。だからこそ自分の棚卸しは大事ですし、いつでもどこでも棚から取り出して使えるようにしておくといいですね。

ちなみに、新橋駅前のSL広場には帰宅ラッシュになると日夜ワイドショーのTVカメラがいたものですが、僕は全部避けてました(笑)。やっぱ晒し者になるのって勇気いるよ。


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