【エッセイ】真冬のドルフィンが寒さを忘れさせてくれた~先程、駅ビルでイルカのイヤリングを拾って届けました~
子どもの頃から現在にいたるまで、よく落ちてるものを見つけて拾ってしまう。
お財布、お財布に入っていない現金、指輪、身分証明書、定期券、カギなどを警察や駅にそれぞれ複数回ずつ届けた。
珍しいものは、持ち主が落としたのか、医療廃棄物の不法投棄なのか、インスリン注射だ。針刺しが怖くて中身は開けずに警察に届けたので、空ケースだったかもしれないが。
また、『落しもの』や『拾いもの』ではないが、大雪の夕方に徘徊高齢者を近くのコンビニに保護してもらい、警察への通報を依頼したこともあったし、倒れた酔っぱらいのために、その人の友人や警察を呼んだこともあった。
身長が低くて視力がよいためか、大きいものだけでなく、小さいものまでとにかくよく見つけてしまうのだ。
それで、本日は、トイレを借りようと駅ビルの階段をのぼろうとしたら、視界にキラリと光るものが入ったが、用を早く足したかったので一旦スルーしてトイレを利用した。
トイレからでて、改めてキラリと光る正体を確かめた。
それは、イヤリングだった。
拾い上げてみると、ドリフィン(イルカ)が2頭向かいあい、口と口との間に、本物なのかフェイクなのかダイヤモンドらしきものがついている。
(これが、光ったわけか)
宝石についての知識は皆無だし、眼力があるとは思えないと自負しているから、高価なものか、安物なのかまったくわからなかった。それでも、とにかく駅ビルのインフォメーションセンターに届けようと思った。
受付の女性はよほど暇をもて余していたのか、それとも、職業柄なのか「すいません」と声をかけると、とても爽やかな笑顔を向けてくれた。それが、ちょっと嬉しかった。
たとえ安物だったとしても、大切な人からもらったかもしれないし、自分へのご褒美として買った記念かもしれない。
でも、ふと、寒風吹きすさぶ駅のホームに立っている間、
「ドリフィン(イルカ)って、夏のイメージだよな」
と思い、こんな寒い日にドリフィン(イルカ)を選ぶって、そのイヤリングを買ってもらった人とのデートかな? それとも、なにか特別な日に対するゲン担ぎかな? とああでもないこうでもないとグルグル考えているうちに目の前に電車が到着してて、いつの間にか寒さを忘れている自分に気づいたのだった。
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