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【中小企業向け】中途(キャリア)採用のコツ/基礎編①

中小企業の採用は厳しくて当たり前。

いきなり夢を打ち砕くような話で恐縮ですが…
「なんでうちにはいい人材が来 ないんだろう」「なんで定着しないんだろう」というお悩みはもう諦めてください。「来なくて当たり前!」「ゼロでも予定通り!」という心持ちでいることを shii は強く強くオススメします。
大事なことなのでもう一度言います。中小企業は1ヶ月求人広告出して採用ゼロでも「ふつう」です。

コロナ後の市況は”超”厳しい。

前回記事でもお話しした通り、私は前線を離れて約5年になります。この間に求人市場では新しい媒体が登場・急成長していたり、以前はベテラン経験者・アッパー層向けの転職スタイルだったエージェントやスカウト式の採用が一般化してくるなど、もう求職者の間では「とりあえず転職するなら総合転職サイトで探せばいいでしょ!」という単純な動き方ではなくなっていることはなんとなく肌で感じていました。

そこで久しぶりに採用のお手伝いをする準備運動として、古巣にお邪魔して「最近どう?」と市況に関してヒアリングをしてきました。

話を聞いてきたのは、私の元同僚・Fくん。この業界15年の大ベテランです。(昔は毎晩遊んでいたのに、今や大手人材会社ですっかりお偉いさんになっていました。時の流れ…涙)

この業界歴15年のFくん曰く、「今の転職市場は”凪状態”」とのこと。基本的には「ボーナス時期前後と期末・決算期」が求人市場の繁忙期とされていましたが、今は「波がほとんどない=転職希望者が動いていない」のが実情だそうです。

理由は当然コロナです。度重なる緊急事態宣言の影響により、コロナ前(約1年半前)と比較すると求職者の動きは大きく様変わり(鈍化)しています。今後の不透明さから「もう少し様子をみよう」「安定した環境がいい」といった保守的ムードが漂っているため、以前のように1〜2ヶ月といった短期間で次の務め先を探す“転職ガチ勢”の数 が減少傾向にあります。また安定性を求めるためより大手志向が色濃くなっている一方で、そんな大手でさえ「応募はくるが今回は採用見送り」となるケー スが増えているそうです。要は、優秀な人材が現在の職場で”ステイ”を選択しているということですね。大手でも採用の⻑期化・採用コスト増が実情です。つまり、中小企業が1ヶ月の求人広告掲載で優秀な人材と出会える可能性というのは「厳しくて当たり前。採用ゼロでも当たり前!」と考えておく方が精神衛生上クリーンなのが今の現状なのです。

また市場のトレンドとしては、母集団形成(応募数を稼ぐ)が厳しくなってきたため、たくさんの応募者から優秀な人材を見つける戦略「未経験者募集」→数より質(即戦力)を求める戦略「経験者採用」へと舵を切る企業が増加傾向とのことでした。こうなると、より一層安定して⻑く勤められて(キャリアを重ねられて)、福利厚生が充実している大手へ経験者も流れがちに...

もう前述の通り、「求人媒体に広告出せば誰かしら来るだろう」なんて余裕ぶっていては中小企業は最初から負け試合確定なのです。

採用は婚活と酷似してる。

お金さえ払えば結婚相談所がなんとかしてくれるわけではないのと同じで、企業と求職者のマッチングサービス提供をする人材会社の本音もまた「企業も努力して!」です。

しかしこんなことを真正面から話すと失注するので、「うちでも採用できるかな?」と聞けば、ほぼ間違いなく人材会社の営業は「うちなら○○○の実績があります」と答えるでしょう。採用できる、とは言いません。○○○は論点のすり替えです。だって本音は「非モテは無理」ですから。失注を恐れて言わないだけです。

これはコロナ前と変わりません。私が現役制作だった時代でも、超ブラック企業に当たった際に「うちでも大丈夫ですか?」の質問に過去3倍の応募数で応えました。ただし内定はゼロ。これはこちらの狙い通りでした。当時の私は腹黒かったのでわざと内定出せないレベルの求職者をかき集める原稿を作りました。これなら「応募数は過去の3倍で、反響はあったんですけどねぇ...」と言い訳が立つからです。

人材会社はマッチング(仲介)の役割を担っているため、企業・求職者双方にベクトルを向けています。主に営業は企業側の思いに軸足がありますが、制作は求職者保護の視点も持ち合わせながら原稿を作っています。採用=マッチングということは、双方が共に幸せな結果にならなければ人材会社は媒体としての信頼を失います。なので、なかなか面と向かっては言いづらいのですが「採用する企業側にも、(求職者のことを想った)努力はしてほしい」と言うのが本音なのです。嘘は書けません。事実と乖離して「素晴らしい職場環境だ」と捏造をしたところで、採用できてもきっとその方は早期に退職されるでしょう。採用コストの無駄遣い、人件費や社会保険料の無駄遣い、そして求職者にとっては職歴上のバツ(早期退職)がつきます。どちらにとっても何もいいことがないのです。

ところが、中小企業に多いのが「お金払ってるんだからなんとかしてよ」という丸投げなパターン。このスタンスでは以前でも厳しかったのに、今は益々厳しい結果となることでしょう。ましてや魅力的な人材なんて、絶対ハイスペ(大手企業)に集中して当たり前なのです。

「採用と婚活は似ている」の意識を持ち、人材会社に丸投げをするのではなく自らも努力すること。これが中小企業にとっての採用成功の一つ目の鍵です。

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