夏休みのすてきな光景
夏休みに入り、本校(中学校)の校区の3小学校で小学生の学習会が行われている。そこに学習サポーターとして有志中学生に参加してもらうことになった。昨年、この中の一つの小学校で実施したところ、小学生にも中学生にもとても評判がよく、今年はついに校区すべての小学校の学習会に参加させてもらうことにしたのである。
もともと小中それぞれの学力向上担当者が「こんなことができたらおもしろい」という共通認識からスタートしたものだ。「おもしろい」という言葉の裏には、小学生にとっても中学生にとってもこの取り組みに大きなメリットがあることがイメージできていた。単に勉強がわかるという学習効果だけを望んでいるのではなかった。小学生が中学生と一緒に勉強をするというそのこと自体に非認知能力の育成が期待できた。だから担当者同士の話はとんとん拍子に進み、「こんなことをやってみたい」と私のところに来てくれた時には具体的なプランがきっちりと出来上がっていた。もちろん私は「ぜひやりましょう」の一言だった。
参加してくれた中学生はすべて「ぜひ参加したい」と自分から手を挙げてくれた生徒ばかりだったので、私たちは彼らにまかせておけば十分学習会が成立するだろうし、放っておいても教室内にものすごい化学反応が生まれることは容易に想像できた。
しかし小学校の先生によっては、まず教室内で全員起立をさせ、整列対面してあいさつさせることに始まり、ペア決め、どこに座るか、どのように中学生が小学生の学習の「手伝い」をするか、一から十まで指示しようとする先生もいらっしゃった。こういうことは小学校の文化に結構強く根付いているような気がして、その先生がこちらの意図を汲んでくれないのはある意味しかたがないと思った。小中連携の課題がそこにあると思った。
とにかく、子どもたちはすばらしかった。輝いていた。小学生も同じように感じたはずで、あんな中学生になりたいと彼らが思うことはものすごく意味のあることだ。こういう機会があればあるほど子どもたちの非認知能力はぐんぐん伸びるだろう。さらに言えば、中学生のこういうキラキラした場面をやはり担任の先生がちゃんととらえて「すごいな、かっこいいな」と声をかけてあげられたら、もっともっと彼らは成長するに違いない。
夏休みの教室にとてもすてきな光景が広がっていた。
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