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好き勝手のキャッチボール

半年くらい前、仲良い保育園のママ友に聞いた。
そのママさんのお子さんは、すごく口達者と言うか、怒られても言い返すようになったと。
 
その子は4月生まれで、うちの子は10月生まれ。
まだ4、5歳の子どもたちにとって半年違いは大きくて、背丈などの成長も、その子の後を半年分追いかけっこをしている。
 
つまり、ママさんから話を聞いた半年後の今、うちの子が口達者になっている。
 
「なんで、むすめちゃんのすきにさせてくれないの?」
お出かけから帰ってくると、急にそんなことを言い出した。
好きなものを好きなときに好きなだけ食べて、家を出る時間とかも自分で決めたい、ということだった。
 
君は、どこかの王女様なのかな…?
ちょっとおもしろいので、もう少し聞いてみる。
 
「すきにするってどういうこと?」
「だからぁ、いつもママがたべるものきめるでしょ。おでかけのじかんも。ママばっかかってにきめてるから、むすめちゃんもきめたいんだけど」
 
なるほどなるほど。
娘視点でみると、勝手に決めてることになるのか。
そういえば、こないだ喧嘩したときも「なんでいつも勝手にママが決めるの!!」って怒ってたな。
あれは勢いで言ったんじゃなくて、日頃本気で思っていることだったのか。
 
The「自我が芽生えました」って感じだ。
親の言うことが世界の真理だったころから、「そんなことないのでは?」と自我が生まれたのね。自我、おめでとう。
 
親の冷静さと忍耐、伝える力が試されるな。
 
「娘ちゃんの好きにさせてあげたいんだけど、出発しなきゃいけない時間を時計見てわかる?」
「わかんない」
「そうだよね。でもわかるようになるよ。だからわかるようになるまでお母さんが時間を教えるから、わかるようになったら自分で時間決められるよ」
「でも、いまじぶんできめたいの!」
 
やはりそうくるか。
 
食べ物についても、好きにできるところと、風邪に負けない体になるために今は大人が決めてるところがあるよ、と伝えてみる。
 
「そうじゃなくて、じぶんできめたいの!」
 
わかった、わかった。
この日は何度かこのやりとりをして、一旦は終わった。
 
今だからこうやって文章にあっさりと書けるけど、実は少し凹んだ。

子どものためを思って、日々のご飯を考えたり、歩くのに時間がかかるから無理をさせないために余裕を見た時間に出発したりとか。
子どもに相談して決めてるわけじゃないから、たしかに勝手に決めてると言われればそれまでなんだけど、
けっこう子どもファーストで考えてるのに、ちょっと悲しい。
 
こういうことって、育児中何度もある。
離乳食だって、良かれと思って手作りで用意してもべーっと吐き出され、瓶詰めのは食べるとか。
虫歯とか栄養に気をつけてお菓子の食べ方を考えたりしてるのに、周りに「考えすぎじゃない?」って言われたりとか。
 
私だって、好き勝手にさせていいんだったら、そうしたいよ!こっちの気も知らないでさ!
そう思ったことは、何度あっただろう。
 
こちらがどんなに手を、想いを尽くして育児をしても、
それを子どもがどう受け取るかは、コントロールできない。

そんなもんか。 
まあ、だって、親子とはいえ別の人間だからな。その子供はまだこの世に生まれて数年なわけだし。
 
自分のお腹から出てきて、最初は24時間365日くらいずっとそばにいるし、目も手も離せない時間が長いから、自分と子の存在がセットのように感じることがあるけど、
もうお腹に来たときから、自分と別の存在だったよね。
 
健やかに育ってほしくて工夫することと、それを子どもがどう受け取るかは、別物なのかな。
 
キャッチしやすいように手元付近にそっとボールを投げてみたあとは、
それを両手で受け取ろうが、落としてキックしようが、子どもの自由なんだ。

私はキャッチしやすいように投げたかっただけで。 
子どももキックしたかったから、手で取らずにキックしただけで。
お互い好き勝手やってるんだ。

子どもファーストじゃなくて、いいのかもしれない。
 
そして子どもも、大人の言うことが絶対じゃなくていい。
4歳でも何歳でも、違うなと思ったらそう言っていい。
 
そんな育児は、きっと簡単じゃない。
結構疲れるししんどいと思う。いや、実際しんどい。

親の言うことが正しい!と決めてしまえば、いくらか楽というか手っ取り早いかもしれない。
 
でも、子どもには自分の意見を主張してほしい。
あなたの考えは、あなただけのものだから。

私はそこを大切にしたい。

そうだ。週に何度かは子どもが好きに食事のメニューを決める日を作ってもいいかもしれない。
「好きにしていい日」をどの日にするか好きに決めてもらって、カレンダーに好きなシールを貼ってもらおう。子ども自身が「今好き勝手できてる!」実感を作るのは良さそうだ。

そして、子どもが自分の考えを主張したときは、私も私の主張をしよう。

そんで、そこを乗り切れた自分用に美味しいビールでもストックしておこう。
そのやりとりに疲れた時は一人時間を作って、私も好きに自分で決めて好きに行動できる日も作りたい。

私も自分の気持ちや考えを、我慢しないことが大事な気がする。
私と子どもは親子で、子どもは宝物だけど、あくまでも違う人間だから。


これは、お互いの好き勝手でやる「キャッチボール」ということにしよう。

自我と好き勝手でできたボールで、投げたり受け取ったり。
きっと大変だけど、私と娘にしかできない特別なキャッチボールになりそうだ。

娘からはどんな球が飛んでくるか楽しみだし、
このキャッチボールの後は美味しいビールを飲むのも楽しみ!
ちょっと今から買ってこようかな。

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