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『往復書簡』(仮)31往信

Tさんへ

こんにちは。
今回の手紙を読んで、別人じゃないかって思うくらいびっくりしました。
Tさんも変わった気がします。もちろん私もいい意味ですよ。
すごく身近に感じられて嬉しいです。でもやっぱり敵わないな
きっと、元々の頭のできが違うんでしょうね。

うちの学校は系列大学の推薦があるので、行きたい学部のない人が受験するけれど、そうじゃない人はいい成績を取るのに必死です。
私は別の理由で受験しようと思っています。親の負担を減らすために国立に行きたいんです。弟も中学受験に失敗したのもあるけれど、高校も公立にするみたいです。父親の収入が減ったらしくて、母親のグチを聞かされる毎日です。
でもうちの学校はバイト禁止だし、私のできることといったらそれくらいかなって。特待生になれるほど成績よくないし。

もっとちゃんと勉強していればよかった。今さら言っても仕方ないけど。
浪人するわけにはいかないので、大学のことを一から調べ直しています。
家を出ることもできないし、通える範囲の国公立で、私でも入れそうな大学に行くことになりそうです。
でもやっぱり、まだはっきりしないけれど、好きなことが将来できそうなところに行きたいので、とにかくがんばろうと思っています。
というか、がんばっています。私なりに、ですが。

 友だちには話せないことでも、Tさんには余計なことを考えずに話せるので、あらためて感謝しています。私と文通してくれてありがとう。
先輩のNさんのことが書いてあったので、あらためて全部読み直してみたんです。
それでHさんのショート・ショートをパラパラと読んだりして。
やっぱり面白いです。前より本を読むのも苦痛じゃなくなったし。

 展覧会も高校生になって入場料が上がってしまったし、以前のようには行けないので、図書館で本を借りて読んでみようかと思っています。
だって息抜きも必要でしょ? あと、友だちの中にすごくマンガの好きな子がいて、面白いからってみんなに貸しまくっているんだけど、私にまでお声がかかって、最近学校の休み時間はマンガの話ばかりしています。
ちょっとしんどいです。
ではまた。

p.s. 文化祭の絵は大失敗でした。

Sより


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