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愛と無関心

私にはとても好きな後輩がいる。

昨年まで教育係として面倒を見ていた、新入社員の女の子だ。

バリバリの体育会系で、
器用にそつなくやることは苦手だけれど、とても素直でガッツがある。

新しいことをどんどん吸収していく彼女に教えていると楽しかったし、元気をもらっていた。

私たちの上司は、パワハラ気味だった。

そんな中、彼女の存在が去年の私にとってモチベーションになっていた。

彼女のおかげで、冷静でいられた。

彼女がいなかったら会社を辞めていたかもしれない。

毎日二人で戦略を練って、難しい案件にも挑戦して、受注して、喜びあった。

真面目なこともくだらないことも話せる、大切な後輩。

今年の4月、私は違う部署に異動となり、彼女の教育係を離れた。

彼女は、私が担当していた業務の一部を引き継ぐことになった。

いつまでも先輩ヅラされるのはうざいよなと思い、

「いつでも味方だ」とだけ伝え、なるべく遠くから見守るようにしていた。

それから、少し相談されることはあったものの、周りに弱音も吐かず彼女は頑張っていた。

頼もしかった。

初めて彼女が一人で受注したときは、自分のこと以上に嬉しかった。

顔を見る機会は減ったけれど、たまにするメールのやりとりから元気に頑張っている姿を想像して、見守っているつもりだった。

だけど思えば、彼女は無理をしていたんだと思う。

先日、彼女が部署の飲み会中に「泣いた」と人伝てに聞いた。

原因は仕事の内容ではなく、上司からのハラスメントだった。

みんなに心配され、堪えきれない様子で涙したと。

この話を聞いて、頭を殴られたような気持ちになった。



普段は絶対に弱音を吐かない彼女だ。

干渉しすぎないように距離を置いて、自由にやっているとばかり思っていた。

去年ずっと一緒にいたからいいだろう、困ったことがあれば言ってくるだろうと勝手に決めつけて、飲みに誘うこともしなかった。

だけどそれは、私が楽をしていただけだったのかもしれない。

「頑張れ」「応援している」と言うだけで勝手に満足していた。

自分に愛情があるつもりでも、相手に「無関心だ」と感じさせてしまったら全く意味がない。

全然守れなかった。

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去年、「自分と後輩、両方は救えないんだから今は自分のことだけ考えろ」と言われ、私は先輩に助けてもらった。

それなのに私は、環境が変わった自分の状況に満足して、
彼女のために動かなかった。

都合よく、彼女の気持ちを解釈していた。

彼女に辛い思いをさせた上司はもちろん許せないけれど、

それ以上に、自分が許せなかった。



この話を聞いてすぐ、彼女に「のみいこ」とだけメールをしたら、

すぐに 「いきます!嬉しいです!!!」 
と返ってきた。


もっと早く、こうすればよかった。


約束は少し先。

まずは話を聞いてあげたい。
私にできることがあるならば、何でもしたい。

本当に手遅れになる前に。

今度は私が助けたいから。 

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