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小売業の最新潮流。今と未来、品揃えとIT化はどこまで進む?

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ショールーミング、オムニチャネル、無人店舗、モバイル決済、ICタグなど、新しいイノベーションに支えられた次世代小売業態の開発推進について考察します。
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記事一覧

DX推進を阻むのか?あなたの会社の“ユニット勢力図”【第一回】

様々な企業のデジタル化の支援をしていると、どうにも厄介な問題にぶち当たることがあります。一人一人のスキルが…とか経営者の質が…とかのレベルではなく、事業を常に改革してゆくミッションバランスと意思決定の歪みの問題です。 筆者の仕事観点で見ると、目の前のクライアントのデジタル化がどうにも進まないという危急の問題。しかし周囲をマクロ視点で眺めてみると、日本社会全体や各種団体の津々浦々に広がる組織文化の問題だと気が付くのです。 今回はそれをちょっとモデル化してみたいと思います。

『服を“売る”ならこんな風に』……ファッション市場救済のために。

『ファッション市場』が縮小してる。 これは様々な複合要因があるが、その中の大きなものとして ●服(お洒落)の楽しみ方を今の時代に合わせて啓蒙する人がいない ●従来のアパレル業界人と激安リテイラー、オンラインプレイヤーや通販専業メーカー等の意識ギャップや確執の存在 ●ファッションのロールモデル(憧れを喚起するリーダー)不在 などがあるだろう。 筆者は、文章はさほど上手ではないのだが、 『視覚的なチャートで構造を解き明かす』ことは得意としてる。 なので、図式+解説という

「アフターデジタル」時代の次世代UX体験セミナーを開催します!

アフターデジタル、OMO、Digital Native Store。 複数のイノベーションをクロスした次世代店舗や次世代の顧客接点、体験型施設の開発が進んでいます。 しかしこのジャンルはAIやドローン技術、ロボテックジャンル同様に、ニッポン企業はシリコンバレーや中国に水をあけられつつあり、 SNSやスマホプラットフォーム同様に『彼らの下請け(涙)』に成り下がるのか?との懸念が各所から聴かれます。 筆者が代表を務めるシンクエージェントは、この状況に大きな懸念を感じ、開発シナ

サービス開発合宿@山梨“五番地”にて。

12日(金)~13日(土)で弊社(株式会社シンクエージェント)の合宿を実施。その簡易報告をしまーす。 まずは合宿場所はこんなところ! 見事なほどの山梨、富士の麓の何もない田舎町です。 駅まで歩けない……コンビニもない!川と田んぼと山! しかし、ここまで何もないとSessionに集中できますね(笑) 車で走れば食べ物屋さんはあるけど、まあ20~30分以上。この日は薄曇りだったので残念ながら近くに見えるはずの富士山は見えずじまいでした。 合宿のタイムスケジュールはこんな感

ホリエモン寿司職人問題……修練必要?不要?を小売業に準えて考えてみた。

ホリエモンさんの寿司職人炎上問題。 もう3年以上も前の話なんだけど、なぜか記憶に新しい。筆者もこのテーマ、思うところあり過ぎなので、ちょっと書いてみる。 筆者も立場というかこれまでの仕事の発想はホリエモンサイドだ。 修練や地道な努力が美しいとあまり思っていない。 努力は大事だけど、その目的は『如何に短期間に良いアウトプット(製造物)を出せるようになるか?』だと思ってる。 アウトプットを受け取るお客さん側が主役だと思ってるので、必要ならば楽をするための道具は全て使うし、機械化

ファッション店舗の『売場作り』を変えよう! その2

商業施設のフロアレイアウト日本のファッション市場とそれを担うはずの店舗が縮小して苦戦している理由は数多くあるが、 まずは商業施設(ショッピングモール)側の事情とテナント店舗側の目論見の食い違いがある。以下の大型郊外型SCのフロアマップを見て欲しい。 この中で 知っているブランドやショップ名称はたくさんあると思うけど、この広大なショッピングモール内で、何か単一のファッションアイテムを捜そうと思ったとき、貴方は探せるだろうか? 例えば今年のトレンドで言うと、“偏光レンズ”のお洒

思考実験のススメ その1

弊社の社内でこんな話をした。 ●顧客、見込客、ターゲット生活者のオンライン行動データとか、アンケート調査データを分析するだけだと、今(現行)の消費者の心理や行動はわかるけど、未来の行動やこれから欲しくなるもの(Wants)はわからない。 ●世の中のデータ志向=データ依存(?!)が行き過ぎたため、 分析で言えることだけしか言わない人が増えた。 ⇒市場の今後や生活者の今後への想像力=クリエイティブな企画力が失われた。 ならばどうすれば良いか? データは無い状態でも、自分の頭

プラットフォーマーが壊した消費・市場経済を再構築する未来図と未来職種 その2

前回の続きです。 まず僕の考えている未来の(といっても5年以内位)メディアデバイス型社会空間は、都市の建物の室内の内壁、内装、テーブルの上面が全てディスプレイ化されて、GUI化されたイメージだ。 びっくりしないでね。そのコンセプトは20年以上前からあり、海外では一般的になってきてるから。 言葉にするならば『フルUI型インテリア』とか『フルUI型内装』。 以下の複数の欧米の紹介動画をご参照。 (別に全部じゃなくても良いんだが、イメージしやすいので一旦その観点で議論する) 流

コト型の経済モデル(=商売モデル)作らないとサービスとして普及しないよね?

コト型、体験型って騒がれてるけど、ホントにそっちに移行するなら、それなりの経済モデル作らないと移行できないよね。 すなわち、コト型市場とそのサービス事業者(コトサプライヤー)が増えるためには、 ①コトサプライヤーの生産性がプラットフォーマーや製造業以上に上がる、 ➁そもそもコトを消費できるような豊かなライフスタイルが浸透する(週休4日とか、完全リモート勤務とか…)、 ③消費者がモノじゃなくて『コトにちゃんとお金を払う』。 この三つがマスト要件だ。 これ、当たり前だけどそんな

日本の『ファッション業界』建て直しの提案【その2】

危機に瀕するファッション業界の課題分析と提案。 先回(その1)は主に市場側・消費者側のマインドや潮流変化について語ったので、今回は業界側に起因する様々な没落の要因と、変えてゆくべきポイントの提案だ。 例えば以下の図のような業界のフロー。 といっても、 文章だと問題点と解決策の説明が難しいので、 今回はスライド資料を中心に据える。ポイントは以下の内容だ。 ●国内におけるファッション市場の逆風因子 ●ファッション業界のリーダーに求められる資質が変化 ●ファッション企業の組織と

ラストワンマイル物流っていらないんじゃね?

これって、Eコマース使いまくってて、かつEC業界へのコンサルも仕事にしてる筆者が言うのはダメなんだろうけど、正直な思いだ。 ホントに『体が不自由な方・病気の方・移動できない方』向けならわかるんだけど、普通の人は毎日なんらか外に出てるのだ。 自宅という多極分散な場所へ個別にモノを届けるというのは、社会的に非効率なんじゃないか?と思うわけだ。 それを考えると店舗という出先倉庫へ配送して、生活者はそこに買いに行く(ピックアップしにゆく)というかつての(今も)しくみは、 運動にも

【鼻の差問題】具体的過ぎるKPIが正確な判断や変革を妨げる。

「鼻の差で勝つ」…ことってよくある。 鼻の差で勝つと嬉しいけど、ちょっとクールな目で考えてみると、それってドンケツの周回遅れの二人が争ってる?なんてことないですか? もしくは、 最速のスプリントサイクルで競争すれば良いのに、三輪車で鼻先を競ってる?ってことは? で、 Businessの世界でここ十数年のトレンドになったKPI重視主義。 KGIとKPIを定義して、KPIをウォッチしてリフトアップすべし!という仕事のやり方……この「鼻の差競争」と似てないかしら? というのは、

顧客体験価値・体験型サービスって何だ?

世は体験価値流行り 商業施設も店舗もサービスも、コト型・体験型を目指すべき!~という話になっている。 なんだけど、そもそも体験型とか体験価値ってなんなんでしょう? それちょっと紐解いてみたい。 実は筆者が若い頃=1990年代の商業施設とか小売には「劇場型」という言葉が流行ったときがあった。こんな感じに使われてました。 あとももう一つのキーワードがライフスタイル型。生活提案という言葉も良く使われていたな。 「生活提案力のない企業・事業会社はNG!一億総生活プロデューサーを目

#003  E-COMMERCE に足りないもの① 品群訴求

僕は、自分自身もEコマースのヘビーユーザー。 昔と比べると、食品やドラッグストアアイテム(日用品)以外の7割以上はオンライン購入してる気がする。 なんだけど、実店舗の魅力がECで全く再現されていないと思う品種がある。それがファッション商品、生活雑貨、エンタメ商品、ライフスタイル型商品だ。 前澤さんのキャラもあってか?ZOZOがもてはやされてはいるけど、一番進んでると見られるZOZOタウンですら、実店舗の売場訴求力には遠く及んでいないと思う。今買われている理由は便利で、安くて、