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日本人同士だから通じることは通じるのですが……。

先日、あるオウンドメディアの担当者さんから、あるライターさんの記事について校閲を依頼されました。

その際に、「しっかりお願いしますね」という意味のコメントが添えられていたのですが、ライターさんの記事ではなく、依頼者さんのコメントに「心の中で」赤字を入れてしまいました。

そのコメントとは以下の様なコメントだったのです。

――
今回の記事は、新たに参加されたライターさんが書いているので、抜け目なくチェック願います。
――

うん?

「抜け目なく」?

依頼者さんの気持ちはよーく分かります。

しかし、「抜け目なく」は通常「抜け目がない」という言い回しで使いますが、これは「己の利益を見逃さないように質振る舞う」ことを示す言葉で、どちらかというと「小ずるく」という意味ではないでしょうか。

したがって、依頼者さんのコメントは、本来の意味のまま解釈すると、以下の様に妙なアドバイスになってしまいます。

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今回の記事は、新たに参加されたライターさんが書いているので、しげぞうさんが得するようにずるがしこくチェック願います。
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そう言われても……。

おそらく次の様に書きたかったに違いありません。

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今回の記事は、新たに参加されたライターさんが書いているので、抜けのないようにチェック願います。

(もしくは)

今回の記事は、新たに参加されたライターさんが書いているので、ぬかりなくチェック願います。
――

日本人同士だからと言って、同じ言葉を同じ意味で使っているとは限らないのです。

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