「週末パス」を知っていますか?+α
皆さんは「週末パス」と言うフリーきっぷをご存知でしょうか。
週末の連続する2日間で、JR東日本線+αの私鉄が乗降自由となる、大変便利なきっぷです。今回は「週末パス」について、通常料金と比較してどれだけお得なのかを解説したのち、実際に使用した旅行記を記述してみたいと思います。
Ⅰ 「週末パス」の概要
「週末パス」とは、JR東日本が主に休日に旅行へ行く人向けに発行している切符(おトクなきっぷ)です。東北南部から信越、伊豆地方のJR東日本線と、一部の私鉄・第三セクター線が二日間いつでも乗降自由となります。お盆休みなど、一部利用できない期間の設定がありますが、ほぼ通年の土休日に利用できると言っていいでしょう。
以下に、より詳しい利用方法を述べていきます。
販売箇所:
JR東日本・フリーエリア内のみどりの窓口、または指定席券売機で購入できる。
ただし、有効期間開始日の1か月前から、前日までの販売となり、当日の販売はしていないので注意。
販売・利用期間:
2020年度は、翌2021年3月26日まで販売し、利用は、3月28日までの土休日となる。
ただし、ゴールデンウィークの4月27日から5月6日、お盆期間の8月10日から19日、年末年始の12月28日から1月6日のそれぞれの期間は販売していないので注意。
これは当該時期が最繁忙期であり、駅員の対応が手薄になることが原因かと考えられます。
利用できるエリア:
JR東日本路線の内、主に山形県・宮城県以南の在来線と新幹線が利用可能。
路線では、東北新幹線のくりこま高原駅、在来線では東北本線の小牛田駅、奥羽本線の湯沢駅(この区間は秋田県)、羽越本線の酒田駅までとなる。
JR以外では、伊豆急行など14の第三セクター含む私鉄が利用可能となる。
利用できる座席:
普通列車(快速含む)の普通車自由席がフリーで利用可能。
追加で特急料金を支払えば、新幹線・特急列車にも乗車可能。
料金:
大人・子供用の2種類の料金設定がある。
前者は、8,880円、後者は2,600円(いずれも税込)。
(出典:JR東日本公式サイトより)
Ⅱ 料金比較
以上、「週末パス」の概要を説明してきました。ここからは、通常料金で行くよりどれだけこの切符がお得なのかを、大人料金を例に検証していくことにしましょう。
大人料金8,880円(税込)を単純に2で割ると、4,440円となり、これが一日分の料金です。それをもとに乗車距離を見ていくと、片道241キロ以上の乗車で、この切符の元が取れることになります。たとえば東京発の場合、東北本線だと郡山駅の少し先の杉田駅が、常磐線だと福島県のJヴィレッジ駅が、上越線だと高崎線経由で北堀之内駅までが、それぞれ元が取れる分水嶺となっています。
これを踏まえ、長距離を移動すればどれだけ料金が安くなるかを見ていきます。ここでは、東京―仙台間を例にとって説明します。
まず、上記の区間を鉄道で移動する手段として、二つの選択肢が考えられます。すなわち、
一、普通列車で移動する
二、新幹線などを利用する
です。二は、乗車券のほかに特急券が必要です。
一の普通列車を利用する場合、片道の運賃は東北本線経由の場合6,050円、常磐線経由の場合は6,380円です。これが週末パスを利用の場合、運賃が一日分で4,440円となり、約1,600円安くなります。
往復利用でも正規の場合は12,100円ないし12,760円、週末パス利用が8,880円となり、週末パスを利用した方が、3,000円以上も安くなり、お得度が高まります。
二の場合、東北新幹線もしくは特急「ひたち」を利用することが考えられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
新幹線で自由席を利用すると、料金は4,510円となります。これに通常料金を合算すると、片道6,050円+4,510円で10,560円となります。「ひたち」は全車指定席で、東京から仙台までは2,900円です。また、「ひたち」は常磐線経由であるので、常磐線の運賃と合算して片道6,380円+2,900円で9,280円となります。それでも新幹線利用より若干安くなるものの、1万円に迫る勢いであり、料金は高めです。
そこで、「週末パス」を適用してみましょう。「週末パス」で新幹線・特急を利用の場合、運賃のみが適用になるので、一日分が4,440円となります。これに特急券を加えると、自由席特急料金利用で4,510円になるので、合算して8,950円となります。同じように特急「ひたち」も料金を算出してみましょう。前述の通り、特急「ひたち」の指定席料金は2,900円だったので、それに4,440円を合わせると7,340円となります。
また、往復新幹線・特急列車を利用するとなると、通常料金ならそれぞれ、新幹線で21,120円、「ひたち」で18,560円となってしまいます。新幹線に関しては、2万円を超えてしまいました。
「週末パス」を適用すれば、このパスの料金8,880円に新幹線なら4,510円の2倍の額を足せばよいので、合計すると17,900円です。同様に「ひたち」も2,900円の2倍の額を足すと、14,680円となります。それぞれ通常料金との差額は3,000円以上です。
Ⅲ 実際に利用してみる(旅行記)
さて、以上の例がわかったところで実際に使ってみましょう。
今回の旅行は2020年8月29日、30日の2日間という超弾丸日程ですが、仙台とその周辺に行ってみました。
仙台へ行くので、往路は今年の3月に全線再開した常磐線の特急「ひたち」号を利用します。2020年時点で、都区内から仙台まで直通する「ひたち」は3本ありますが、私は8時ちょうどに上野を出発する「ひたち3号」に乗車。
約4時間という今や珍しい長距離を走る特急で、乗車時間は約4時間ほどです。簡易的ではありますが、車内販売もいわき駅まで来ました。
道中、東海駅辺りを過ぎた頃から太平洋が見えてきます。この日は福島県内までは快晴でした。
いわき以北は、3月に全線再開した区間も含まれています。
この区間も通過していきました。所々で工事のシャベルがいたり、雑草に覆われた民家が点在していたりしていました。震災から9年たった今でも立ち入れない地域が残っているなど、故郷を離れざるを得ない方々を思うと胸が痛みます。
被災地に思いを馳せているうちに、仙台へ到着。
ここから仙石東北ラインに乗り継ぎ、女川駅まで向かいます。
女川駅には、震災前より日本では数少ない駅前温泉のある駅です。
震災前には駅構内に朱色明太子のキハ40が休憩所として静態保存されていました。この駅も津波で流され、駅前商店街と共に再整備され、復活しました。
駅前は整備途上ではありますが、きれいに最新のまちづくり思想に則って作られているような感じでした。
地元の商店が入居し、お土産屋さんや、カフェなどが観光客で賑わっている様子。他には、紙でできたスーパーカーを展示しているお店もありました。
また、ここには、震災遺構として旧女川交番が永久保存されています。
まるで怪獣が去った後のようになった建物を見、津波の威力や恐ろしさを改めて実感するのでした。また、ここは回廊みたくなっていて、そこには被災前の女川町の写真や、復興するまでの過程を記録した写真が並んでいて、とてもわかりやすかったです。
見学後、折り返し列車で仙台に戻り、夕食。
この日は牛タン定食を食べました。これで1日目が終了。
2日目。この日はただ帰るだけなのですが、新幹線で帰るのもなんかあっけないので、仙台から普通列車を使用し、常磐線経由で帰っていきます。
その前に、地下鉄に乗り、伊達政宗の居城があった青葉城址公園へ行きます。
最寄駅は「国際センター」という駅なのですが、スケートの羽生結弦氏の地元とあり、駅前には等身大の彼をはじめとする看板が設置されていました。
そして、あの有名な伊達政宗像の画角でパシャリ。
この日は、宮城県内は霧雨が降っていてどんよりした天気でした。
一応、公園の展望台から仙台市内が一望できますが、ご覧の有り様。
・・と駆け足ですが、お目当てのものは見れたので、駅に戻りそのまま普通列車に乗り込んで片道約7〜8時間の旅へ。
途中、原ノ町・いわき・水戸で乗り継ぎしました。原ノ町までは2両だったのに対し、首都圏に近づくにつれ、どんどん列車の両数が増えていきました。
茨城県内に入ると、仙台市内とは打って変わり、雲一つないいい天気になり、夕暮れしていました。水戸から上野まではグリーン車を利用しました(グリーン券は別料金)。
こうして、夕方に都内に到着したのであります。
Ⅳ まとめ
以上、正規の値段で移動する場合と、週末パスを利用した場合でどれだけ値段が変動するかを分析し、実際に使用してみるとどうなるのか、例を挙げてみました。ここで明らかになったのは、長距離を「週末パス」で移動すればするほど料金が安くなってお得度が高くなるということです。皆さんも長距離を移動する際は、ぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。
(2020/9/2)
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