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2021年に読んだビジネス書から5冊   ~明るい未来に期待して~

晴れた日の夕暮れには、葛飾北斎の「赤富士」のような富士山が我がベランダから見えます。心和むひとときです。

今年ほどビジネス書を読んだ年はなかったように思います。還暦を超えてから就いた新たな仕事のための情報収集が目的だったが、そこから派生的に興味の幅が広がり、様々なジャンルを読みました。2月に可愛いかわいい孫ができたことも重なり、地球や社会の未来まで考えるようになった自分に驚きです。かといって何ができるわけでもないのですが、知識欲だけが湧いてきてしまい、本代にわずかなお小遣いがパタパタと飛んで行きました。そんな中、心に残った多くの本から5冊選んでみました。

【DrawDown ドローダウン 地球温暖化を逆転させる100の方法】
 ポール・ホーケン著

地球の温暖化を逆転させる100の事例が紹介されている。写真入りで見やすく、対策によってどの程度の二酸化炭素が減少されるか数値で示されているのでわかりやすい。

NHKスペシャル「グレート・リセット~脱炭素社会 最前線を追う」の中で取り上げられた書籍。Drawdownとは、地球上の二酸化炭素がピークに達し、そこから減少に転じること。我々が気づかないところでどれほど二酸化炭素が排出されているか理解できる。1位の冷媒、3位のフードロス、4位の肉食、6、7位の女子教育や家族計画などは、目から鱗ではないだろうか。格差や人権問題なども影響している。様々な課題あるが、個々人が意識することで十分に貢献できる部分も多い。一方、今年ほどSDGsが語られたり、あらゆるところで告知された年はなかった。企業のみならず世界中の個々人が、地球や子孫の未来のために真剣に向き合い、実行して行かなければならない状況になっている。




【LegalTech】
長島・大野・常松法律事務所

紙に記された言語、条文という最もデータ化されにくく機械学習の遅れていたリーガルの分野が大きな改革の中にある。定型化しやすい言語がOCRの技術の大きな進歩とディープラーニングによって大変革を迎えている。従来、弁護士や企業の法務担当の仕事の比重の多くを占めるのが契約審査、リーガルチェック、契約書ドラフティングなどの仕事である。時間を要するのは誰もが理解できるであろう。それがAIによる機械学習によって瞬時に可能となりつつある。この仕事に携わる人のみならず、他の業界の人でも、大きな暗示になると思う。果たして自分の仕事で機械に置き換えられるものはないか。AIと共存することで、なかなか手がつけられなかった、本来、人がやるべき仕事へ時間を避けるようになるであろう。



【ダブルハーベスト】 
 堀田創、尾原和啓 著

こちらもAIによる変革を説く。機械に仕事を置き換えることで、人が行う業務効率の向上にとどまらず、企業の経営戦略まで昇華させる。ヒューマン・イン・ザ・ループ、エキスパート・イン・ザ・ループといった言葉がしっかりと納得性をもっておちてくる。上記のLegalTechにあったような法律のエキスパート・イン・ザ・ループについても筆者の指摘に登場する。最初から100%を目指さず(100%は無理である旨も説かれている)、アジャイル型で走り出すが、AIはその繰り返しの中で経験をため込み、より正確性の高いものへとアジャストしていく。そこを固めたうえで、裏で一段高いループを回し築き上げていく。この2重のループによって他社と差別化し、追い付けない状況に持っていく。今はAI導入を検討する時期は終わり、AIをいかに事業の発展に結びつけていくかという段階にあると説く。果たして自社はどの位置か。読者は急ぎ周りの流れと、自社の現時点の位置を確認しなければならない。



【戦略質問】
 金巻龍一 著

戦略の策定に関する今までのやり方に疑問を呈する。果たして長々と数か月をかけて、市場の動向調査、議論、数10ページ及ぶパワーポイントへのまとめ。この工業化されたような戦略の策定に考えるという一番重要なことが疎かになっていないか?著者は40分の中で「ウォールーム」という少人数ミーティングにて経営者へ10の質問を問いかける。戦略は少人数で短時間で作った方がよい、という仮説検証の中でまずは発想を引き出す。この質問はかなり核心をついてくるので、答える方も一瞬たじろぐかもしれない。例えば、「この戦略の成功により社員はどのような恩恵を受けますか」、「もし、あなたの会社が突如この世から消えたら、誰が悲しむでしょうか」「あなたの会社や事業が、このままの状態だとした場合、その終焉はいつ頃来ますか?」などなど。経営者の皆さんはどのように答えるか?



【三位一体の経営】
 中神康議 著

働く株主を自称するみさき投信の代表である中神康議氏の著作。三位一体とは、経営者、従業員、株主が利害を共有することで皆がハッピーになるという考え方。「複利の経営」こそが皆で豊かになる経営であるとする。資本コストを上回る超過利潤をいかに持続的に上げていけるか。とても分かりやすく腹落ちする指摘であり内容である。経営者は一度自社の現状を外から俯瞰してみて三位一体の経営をしているか、複利の経営になっているか、持続的な超過利潤を生み出しているかなど見つめなおす機会ではないか。


昨今のビジネス書を読んで思うことは、今までにないほど世の中の変化が大きく激しく、スピードがものすごく速いということである。これはインターネットの発達とテクノロジーの急激な進歩、特にAIの進化が大きく推進している。

果たして2022年はどんな世の中になるか? 5Gが始まる2023年はもうすぐそこにある。私が若き頃に経験してきた社会とは全く様相が異なっている。
不安も感じるが、やはり期待と夢の方が大きい。新たな未来は明るく、人にやさしい、生き生きとした社会になってほしいと心から願う2021年の年末である。

#ビジネス書 #未来 #エッセイ #日常 #AI #機械学習 #2022年

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