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採用ステップ②計画の立案──「情報」を集めて「仮説」を立てよう

人手不足が進むなか、地方での採用は、企業ごとに明暗が大きくわかれてきています。「人がきちんと集まり続ける会社」と「そうでない会社」、違いはどこにあるのでしょうか。

この連載『採用を成功に導く8ステップ』では、採用全体のフローを見直しながら、ローカル企業として意識したいポイントや、具体的なアクションを8回にわけて解説していきます。


「採用計画」って?

初回の「人材戦略の策定」では、経営者と人事部門が連動し、会社がどうなりたいか、社員にどうなってほしいかの理想を描く大切さをお伝えしました。

2回目の今回は、人材戦略を踏まえたうえでの「採用計画の策定」についてお話ししたいと思います。

一般的に、多くの人事部門は現場サイドから、「人を増やして」のリクエストを受け続ける立場にあるはずです。欠員が出て穴埋めを求められることもあるし、事業がうまくいっているからこそ、さらなる拡大を目指して人手を要求されることもあるでしょう。

そのとき、人事を担う方は、前回触れたように「そもそもなぜ採用するか?」を問い続けることが大事。現場の要求が仮に「その事業を最大化していく」ために不可欠であったとしても、そこを目指した結果、経営者の目指す「理想的な組織をつくる」ことからズレていく場合もあるからです。

そして、経営と現場のニーズをすり合わせ、それでも「新規のメンバーが必要だ」という結論が出たとします。採用計画とは、そこから実際にどういう人を、いつ、何人採るかを決めることです。

さらに、その採用を実現させるためにどういう活動をしていけばいいか。おおまかなコストの見通しを立て、予算を確保するところまで、このステップで行っていきます。

自ら「情報」を収集する

ここでのポイントは、「どういう活動をするか」の全体図を決めることです。1年に一度のサイクルがある新卒の採用活動は、まだ年間計画を立てやすく(※今後変わっていく可能性は大いにありますが)、大学訪問や合同説明会への参加、就活ナビへの出稿など、求職者へのアプローチもしやすいと言えます。

一方で、年間を通して対応していく中途採用は、自社側にも求職者側にも不確定要素が多くあります。「このタイミングでここにアプローチすれば出会える」と言えるものがほぼないなかで、何をすればいいか全くわからない、という人事担当者もいらっしゃるでしょう。

とはいえ、手当たり次第動けばいいわけでもありません。大切なのは、考えていくための「情報を集める」ことです。

メディアにはたくさんのコンテンツがありますし、人事向けのセミナーもいくつも開催されています。同じ地域や近い業界に知り合いの人事さんがいたら、聞いてみるのも大事なアプローチです。人材支援会社への相談も有効でしょう。

まずはそうしたところへ自らアクセスをしていく。すると、次第に「今はこういうトレンドなんだな」「この採用支援サービスは要注目だな」などと、情報への感度も高まっていきます。

予算を確保する

おおよその活動計画を決めていくと、「このぐらいの人を何人採用するのには、このぐらいの時間や予算が必要になりそうだ」と見えてきます。その数字を、経営者と採用担当の間できちんと共有しておきましょう。

特に見落とされやすいのが予算です。地方の採用だと、ハローワークやリファラル(縁故)で応募者を見つけやすかった時代の手法を、今なお継続しているケースも多くあります。

ですが、これだけ求職者の得られる情報と選択肢が増え、就職活動を応援するサービスがいくつもあるなかで、企業がコストをかけず採用をする難易度は非常に上がっています(実際、そこに行き詰まった方から、よく相談を受けています)。

採用にかかる費用は、戦略を実行するフェーズでも揺れ動くもので、採用計画の時点で細かく決めておく必要はありません。ただし「相応のコストを要するものだ」ときちんと理解できているかは、採用の成果に大きく関わります。この点を経営サイドと一緒に認識し、計画と並行してきちんと予算の確保をしておくようにしてください。

(「採用ステップ③コンセプト設計」に続く)

北川雄士/Yuji Kitagawa

滋賀県彦根市生まれ。株式会社いろあわせ代表取締役。
広告代理店、ITベンチャー企業の人事部門責任者の経験を経て、2014年にフリーの人事として独立。これまでに数千人の面接を経て来た。2015年末にUターン。ひと・もの・まちを“掛け合わせ”、それぞれが持ついろや魅力を大切にしたいとの想いで、株式会社いろあわせを設立。現在『しがと、しごと。』をはじめ、行政や地元企業と共に地域発の採用の仕組みや場づくり・まちづくりを積極的に実践中。(TwitterFacebook

(編集:佐々木将史
 

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