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【45R×SHIFTBRAIN】45周年に向けて奔走した1年間の道のり

こんにちは、シフトブレイン広報の坂です。

シフトブレインは2022年4月5日に45周年を迎えたファッションブランド『45R』のコーポレートサイトとブランドサイト兼ECサイト(以下、ブランドECサイト)を制作しました。

『45R』は「気持ちの良い服を、喜んで着ていただきたい。」という理念のもと、藍・インディゴの可能性を探し、原料や素材の追求に取り組んでいる1977年創業のものづくりの企業です。

初めて45Rさんからお問合せをいただいたのは45周年を迎える約1年前のこと。社内にブランドのファンも多く、Slackのチャットが盛り上がったことを今でも印象深く覚えています。その後、展示会などでの両社の顔合わせを経てプロジェクトがスタートしました。

今回のnoteでは、大きな節目となる45周年に向けて並走したプロジェクトチームから4名を招いて、サイト公開までの1年間にどのようにプロジェクトが進んでいったのかをインタビューしました。リニューアルの反響やプロジェクトの今後の広がりについてもお話いただいていますので、是非最後までご覧ください!


両社に共通する「ものづくり」に対する想い

——はじめにシフトブレインにご依頼をいただいた経緯について教えていただけますか?

石橋 勝成さん(以下、石橋さん):今回のリニューアルは、僕がオンラインストアの店長になってから、初めて担当を任されたものでした。制作会社の選定のために4〜5社ほどお話を聞いたりお会いしたりしていましたが、結局これまでお付き合いがあった数社に絞ることになって。あと1〜2社検討のために、というタイミングで丸子からシフトブレインさんの名前が出たんですよね。

石橋 勝成さん
フォーティファイブアールピーエムスタジオ株式会社 オンラインストア 店長

丸子 友美さん(以下、丸子さん):45Rのオンラインストアはこれまで何度もリニューアルをしてきましたが、今回は初めて私たちに制作会社を選ぶチャンスが得られた機会だったんです。今までも「Webサイトで面白いことができそう」とはずっと思っていましたが、それがなかなか出来ずにいて。石橋がプロジェクトを進めている一方で、私は他のスタッフと『面白いサイト』で検索したりしていて、その時に『みさとと。』を見つけました。「なんだこれは?」と衝撃を受けて、そこでシフトブレインさんを知ったんです。制作会社の選定が進むなか、私は最後まで「シフトブレインさんがいい」と名前をあげていました。

丸子 友美さん
フォーティファイブアールピーエムスタジオ株式会社 あっぱれ部(営業部)
Web周りやSNSを担当。

山本 真也(以下、山本):最初に『みさとと。』をご覧になっていると、ECサイトを任せられるかは未知数ではなかったですか?割とトリッキーなサイトですから。

山本 真也
ingraft inc. Producer / Planner
2011年よりシフトブレインに在籍、2022年5月より独立し現職。

丸子さん:実はお声がけ前にシフトブレインさんのことをすごく調べまして......クライアントを研究し入り込んでいく感じと、制作にも手を抜かない印象を受けていました。『みさとと。』のサイトも表向きはRPG感が強いですが、中を見ていくと更新できるフォーマットで作ってあって。シフトブレインさんとだったら理想と現実のギャップを埋められるんじゃないかなと考えてお声がけしました。

山本:最終的にシフトブレインに決定いただいたタイミングはいつだったのでしょうか?

石橋さん:親方(※)とお話いただいた時にはもう「いいね」となっていたと思います。

※ 親方:45Rさんの社内では、代表取締役 髙橋さんを“親方”と呼んでいます。シフトブレインのプロジェクトメンバーも同様に“親方”と呼ばせていただいています。

丸子さん:親方には「いい会社を見つけた」って言われましたね。

山本:そうだったんですね。初めて親方とお話した際に『みさとと。』をとても褒めていただきました。たまたま僕も同席していた藤吉も『みさとと。』のプロジェクトメンバーだったので、プロジェクトの考え方についてもお話をさせていただきましたが、親方はとても興味深そうに聞いていらっしゃった印象があります。

丸子さん:それが決定打ですよね。『みさとと。』の取り組みの姿勢を聞いて、親方も「45Rと通ずるところがある」と感じられたんだと思います。

山本:それは嬉しいです。親方に初めてお会いした時点ではまだ制作会社は決まっていませんでしたが、業界は違えどシフトブレインと同じものづくりの会社という根っこのところで共感し合えるような感覚があったのを覚えています。

2つのサイトを統合した『ブランドECサイト』

——当初のご依頼はECサイトのリニューアルでしたが、『ブランドECサイト』を制作することになった経緯を教えてください。

山本:このリニューアルの大きなポイントは、もともとあったブランドサイトとECサイトを、『ブランドECサイト』とコーポレートサイトの2つに分けたことです。
ブランドサイトとECサイトを1つにした理由としては、離れ離れになっていたコンテンツ(ブランドサイト)と買い物(ECサイト)を同じ場所にすることで「コンテンツを見て欲しくなったら、すぐに買うことができる」そして「購入後にも商品に関連するコンテンツを見て楽しんでもらいたい」という2つの意図がありました。

また当初はコーポレートサイトがなく、会社概要などの情報はブランドサイトの中に存在していました。その情報を『ブランドECサイト』の制作を機にブランドサイトから独立させ、45Rさんという会社自体を深く知ってもらえるようなコーポレートサイトを制作することになったんです。

左:ブランドECサイト / 右:コーポレートサイト

山本:当時、シフトブレインの提案のもと45Rさんともたくさん議論をしましたが、改めて担当のおふたりにどういった検討やご判断をされたかをうかがいたいです。

丸子さん:ECサイトのリニューアルを行う理由の1つに「2つのサイト間の導線の悪さを解消したい」という大きな問題がありました。なので、『ブランドECサイト』ご提案をいただいた時には「ですよね」という納得感がありましたね。

山本:リニューアル以前からその課題感がありつつも解消できない要因があったんでしょうか?

丸子さん:そこまで入り込んで問題解決をすること自体が今までなかっただけで、特別な要因はありませんでした。当時はECサイトとブランドサイトで運用担当者も違っていたので、社内でも分かれていることに違和感がなくて、問題意識がなかったんだと思います。

山本:このリニューアルでは、もともとのECサイトで45Rさんが利用されていたecbeingさんのシステムをそのまま継続されることは決まっていました。コンテンツの自由度が高いブランドサイトとECサイトでは、システム上の仕様をうまく接続させるのはややこしく少し手をつけづらい部分でもあったのかもしれませんね。45Rさんにはecbeingさんと僕らを交えた3社で、フラットに議論できる場を整えていただいたのでとても感謝しています。

そして、担当者が複数いたり他部署にまたがって連携がとれない為に実現できない問題っていうのは僕らの仕事ではよくある話なんです。その点で言うと45Rさんからはそのような感じを受けませんでした。もしかすると僕らが無邪気にご提案した内容で、実際には部署や担当者間の問題があったのかもしれないですし、運用面を考えると大変なこともあったかもしれません。ですが、全てに対して後ろ向きなご意見はほとんどなかったと記憶しています。それは45Rさんの社風やカルチャーなのか......それともこのプロジェクトにかける意気込みの表れだったのでしょうか?

石橋さん:個人的な意見としてはカルチャーや意気込みもあると思いますが、プロジェクトのメンバーの影響もあると思います。プロジェクトメンバーには丸子の他に、前任のオンラインストア店長だった角田がいて。角田は店長を引き継いだ後もWebサイトの更新を担当していたので、どちらのサイトのことも理解していてすごくいいバランスを作ってくれました。自分はECサイトについては責任を取れますが、他のサイトではわからないこともあったので角田の存在は大きかったです。

——2つのサイトを1つにまとめるための技術的な問題の他に、苦労したことはありましたか?

石橋さん:『Yasuminate』の取り扱いと、コレクションルックの差別化ですね。弊社デザイナーの井上保美がコーディネイトを組むことを弊社では『Yasuminate』と呼んでいるんですけど。『Yasuminate』では社外の方に伝わりづらいので『コーディネート』に名前を変えたりしたこともあって、名称に関して議論があったコンテンツです。それとは別に、販促物として年4冊出るカタログでモデルさんに着用させて井上保美がコーディネートを組むものもあって......。それも結局『Yasuminate』では?それともカタログなのか?と社内でも棲み分けが分からなくなっていました。その辺りの情報整理もやっていただきましたよね。

山本:当時のECサイトとブランドサイトでは、それぞれ掲載される場所も異なっていたので『ブランドECサイト』ではどう振り分けていくのか?という問題もありましたね。最終的に『コーディネート』でなく『Yasuminate』の名称を残されたのは、45Rさんらしさを象徴しているポイントだと思います。お客さんに伝わりやすいかでいうと間違いなく『コーディネート』が伝わりやすいとは思いますが「そこは『Yasuminate』なんだ」という感覚で判断をされた。同じような判断は他にもあったと思いますが、デザインをするにあたってもこの45Rさん“らしさ”を咀嚼して受け入れていくことが重要なポイントでした。

ブランドの原点を沁み込ませる“らしさ”の追求

山本:ここ数年のシフトブレインでは、企業や商品のブランディングの根幹から提案したりWebサイト単体でもその辺りを0から定義して進めていくことが多いのですが、45Rさんの場合は僕らがタッチするべきではないようなブランドの土台の分厚さがすでにありました。藤吉さんはそれをどう体に落とし込んでデザインを進めていきましたか?

藤吉 匡(以下、藤吉):最初に本や過去のカタログを45Rさんから沢山お借りして、まずそれらを読むところからスタートしました。お借りしたものは全部読みましたが、一番響いたのが門外不出の『根っこ手帳』。これは45Rの皆さんが携帯している手帳で、45Rの原点とされる部分は空で読めるほど覚えている......というものです。自分はそこまではいかなくても「継続的に読んで沁み込ませないといけないな」と思ったところからこのプロジェクトを始めました。

藤吉 匡
シフトブレイン Art Director / Designer

山本:僕も『根っこ手帳』は全部見ましたし読みましたが、あれってほとんどが文字なんですよね。デザイナーとしては過去のカタログとかビジュアル的に参照しやすいものが他にもあったと思いますけど、文字だけの『根っこ手帳』からまず沁み込ませるっていうのは藤吉さんらしいですね。

藤吉:『根っこ手帳』は、親方が色々な100年企業や老舗を研究してそれらの社訓や何故続いているのかを自分の中に一旦落とし込んだ後に、45Rとしてはどうあるべきなのかをもう一度整理し表明されたような内容なんですよね。

山本:こういうものはその会社特有の話だったり代表の方の思想が強くでるものですが、『根っこ手帳』はそういう部分もありつつも、めちゃくちゃ普遍性がありますよね。誰が読んでも納得するような内容が書いてあるなと。

丸子さん:『根っこ手帳』は、もともとあった45rpmの原点をもっと深めるために10年くらい前に作られたものになります。45Rの全てがここに書いてあるので、何かを作る時にも原点を求めて読み返したりしますね。

石橋さん:コーポレートサイトを作っていくなかで「ここに入る適切なワードはなんだろう?」と考えた時にも「気持ちの良い服を、喜んで着ていただきたい。」っていう、バシッとはまるワードが手帳の中にあったりして。こういうのは入社時から読んで覚えているからだとも思います。

丸子さん:みんなが覚えているから、ルーツが一致するみたいな感覚はありますよね。

コーポレートサイトのローディング時に表示されるコピー

山本:こういったものは風化してしまうことが多いので、浸透していること自体がすごいと思います。
藤吉さんはデザインをする前に「『根っこ手帳』を沁み込ませた」と言ってましたが、それは噛み砕くとどういう作業だったんですか?

藤吉:今回のサイトリニューアルは、45Rさんにとっての延長線上に“自然とある”状況になるといいなと思っていました。45Rさんが「自分たちが作ったサイトだ」って思えるようなものにしたくて。その場合、自分の基本姿勢みたいなものを45Rさんに同化させないと“自然とある”状態にはならないなと感じていて、どうしたらいいかを考えていました。
カタログも20年分くらい読みましたけど、それぞれの時代のカラーや流行り廃りがあって。僕は20年前から45Rさんを好きで見ていましたが、その時好きだったのは当時の45R。今も好きだと思っていますが、それは今の45Rなんです。もちろん時代の流れを見るのもデザイナー目線では面白かったですが、そういった感覚は移ろいやすく、あまりそこに振り回されるのも危険で軸にするのは怖いなと思っていました。その中で『根っこ手帳』は読んでいて自分に一番すっと入ってきたもので、ここを軸にしたらよさそうだなって思ったんです。

山本:いただいた資料のなかで『根っこ手帳』は一番移ろわないものだったんですね。

藤吉:そう。これを軸にしていたら、どんな色をつけても45Rさんの向かう先に今回のリニューアルもちゃんと置かれていくと直感的に感じました。

石橋さんの『根っこ手帳』

——デザインとしてアウトプットする時には、今の45Rさんの姿やふるまいも表現しなければいけませんが、どこからインスピレーションを受けましたか?

藤吉:ビジュアル面でいうと、今の流れを踏まえたうえで自分がいいなと思ったところからですね(笑)。『ブランドECサイト』では、削ぎ落とされたシンプルさと使いやすさ。コーポレートサイトでは、チャーミングな温かみとワシャワシャしてる感じ......それも45Rっぽさがあるんで、コーポレートサイトではそちらを全面に出しました。でも実はビジュアル面というのは最重要項目ではなくて。特にブランドECサイトでは“Webサイトを訪れて、服を買って、それが届く”、この一連の“体験”の方に軸を据えています。その“体験”が45Rさんらしくなるといいなと、その点を重要視していました。

山本:その45Rらしさが出せたと思う体験は、例えばどんなものがありますか?

藤吉:『ブランドECサイト』の方では、お店に行ったときのような空気感。実際に行かないとわからない質感の良さをECサイトで表せるといいなと考えました。
あとは手入れが行き届いている感じ。45Rさんのお店は結構ラフに設えてありますが、すごくリラックスした雰囲気で、だけど常にフレッシュで...その雰囲気をトップページで出したかった。だから、トップページではいきなり布目とか質感のディテールを大きく見せています。その画像が毎日変わる仕組みもお店での体験に近いんじゃないかなって思って。

トップページの商品画像は、365日更新されます。

石橋さん:僕もあのディテールを見せる写真はかなり好きです。これまでも細かいディテールや生地の写真はしっかり撮ってきましたが、深い階層までいかないと見れなくて「見られてるのかな?」と思っていました。その他の商品の隠れたポイントみたいなところを伝える場所がなかったのですが…...そこも大きく見せられるようになって、自分がやりたかったことができているなと感じています。

山本:その観点は僕にはなかったので、今のお話を聞いてハッとしました。僕は45Rさんが一番見せたいものや45Rさんらしさ、強みが象徴的に表れるディテールをトップページに持って来れて良かったなとやや感覚的に考えていたのですが、言われてみれば確かにそうですよね。
リニューアル後にもトップの写真を見にサイトを訪れていますが、たまに僕が想像していたものとは少し違う角度の写真もあったりして「ここをどうやって、もっと面白くしようか!」と試されているのが伝わってきます。こちらからご提案したものでも、リニューアル後の運用は結局クライアントにお任せすることになるので、運用されるのは大変だと思いますが今の様に使っていただけているのは嬉しく感じています。

石橋さん:本当はもっとやりたいんです!例えば海の日だったら浜辺に帆布のトートバックを置いた写真だったり。服と一緒に四季も感じられて、生活に寄り添うような写真にできればいいなと思っています。ご提案いただいた店頭体験としての“服のディテールから入る”というのからは少し離れてしまいますが、そういうのも楽しいなって思っていて。

藤吉:その日ならではの一言がたまに入ったりしてもいいですよね。今表示されている商品名の文字だっていつも違うし。これは書体じゃなくて全部手書きされていますしね。

石橋さん:これも今まで社外には出していなかったのですが、展示会の時に毎回手書きしていたものです。展示会の資料としてあっぱれ部がもともとあるフォントをなぞって作っていて、各部のディテール写真と合わせて画像で保管していたものを今トップページに使っています。

丸子さん:社内では当たり前すぎて外に出していなかったものでしたが、こんな風に出してもらうことができて嬉しかったです。シンプルでさりげない感じなのがまたいいですよね。

商品名の手書き文字はトップページでしか見れません!

——コーポレートサイトは『ブランドECサイト』とはまた異なった印象ですね。イラストからは45Rさんの社内の雰囲気まで伝わってくるようです。

石橋さん:コーポレートのイラストはイラストレーターの姫田さんがスタッフの特徴を細かく描いてくれているので、描かれているスタッフが誰なのかまで分かります。45Rには色々な部署があるので、社内でもモノづくり側の人は店舗のスタッフの仕事を詳しく知らないし、逆に店舗のスタッフは本社の動きに詳しくない。でも人自体は知ってるから「この人はここでこういう仕事してるんだ」って、社内の人が見ても面白くて、読んでも楽しいから知識にもなって…...すごくよかったです。

丸子さん:知らない人が見ても「この人は誰?」っていうクイズをしたら絶対当たるぐらい、個性が強く出ていますよね(笑)。

山本:社外に向けたWebサイトの場合、必ずしもあそこまで具体的に描く必要はなかったわけですが、藤吉さんには何かこだわりがあったんですか?

藤吉:みなさんが個性的でかっこよかったので、節目となるこの瞬間をイラストで残したいと考えていました。後から振り返ると伝説となるような方々もいらっしゃるので。一方で、同じ業界の人が見たときに45Rさんの突き抜けたこだわりやマニアックさも空気感としてはっきり伝わるといいなとも思っていて。なので、みなさんの顔や取り巻く環境も含めて隅々まで具体的に見せるようにしたんです。

石橋さん:社内のスタッフはとても喜んでいて、今まで興味がなかった人がコーポレートサイトを見ていたり自分たちの仕事に自信を持つようになったりして、いい機会になったなと思います。

丸子さん:あそこまでディテールが細かく拾われていたのには社内が沸きましたね。自分たちの延長線上にあるというのが、まさに受け入れられた感じがしました。

山本:何度か本社で直接デザイン提案をさせていただく機会がありましたが、毎回沢山のスタッフの方が見にきてくださいましたよね。特にコーポレートサイトの提案時には、スタッフさんのイラストが描かれていることもあってか皆さん乗り出して見てくださっていて、拍手が起こることもありました。あんなに沢山の方が集まる会議で全員に強く関心を持っていただけるのは、なかなかないことです。

丸子さん:「何か面白いものを持ってきてくれる人たち」というのがみんなの中にできて、興味を示してくれる様になったんだと思います。

山本:どの仕事でもあるような感覚ではないので、すごく嬉しいです。

好調なスタートをきった45周年

——4月5日に45周年を迎えたタイミングで2つのサイトをリニューアルしましたが、その後どのような反響がありましたか?

石橋さん:数値的なお話をするとユーザー数はリニューアルした4月に3倍増加、5月は4倍増加となりました。リニューアル前はブランドサイトとECサイトに分かれていたので、ブランドサイト単体で見ると約7倍近くの増加となり、多くの人に見ていただけました。以前のブランドサイトは情報発信がメインだったので、動きがなかったわけではないのですが『ブランドECサイト』1つにしたことで、一気に広がったように思います。

石橋さん:45Rでは売上のことを“よろこばれ”とよんでいるのですが、ユーザー数に比例してよろこばれも上がりまして、リニューアル後の2ヶ月で約1.5倍になりました。昨年はコロナ禍で店舗のお休みもあって大変でしたが、店舗の方でもECサイトを訴求してくれた影響でオンラインストア自体はこれまでにない数値となりました。今年は店舗も通常営業となったのでそろそろ頭打ちかもしれないと思っていましたが......。

山本・藤吉:すごいですね!

石橋さん:そうなんです。じゃあ一方で、店舗のよろこばれが下がったかというと、店舗も過去最高の数字だったりします。全体としても四半期は国内外ともに過去最高の数字となりました。

山本:45周年を迎えてイベントなども色々とやられていたので、その影響も大きいとは思いますが.…..それでも嬉しいですね!もし、利用されているお客さまからの反響などもあれば是非伺いたいです。

石橋さん:ECサイトでは「商品のディテールがとにかく大きくなって、見やすくなった」という声をいただいています。以前のサイトも商品画像をクリックをすれば拡大はできたんですが、あまり使われてない方が多かったんだと思います。それにただ大きくするだけではちょっと......という風にもなりえるところを、お客様にもちょうどいいバランスでわかりやすい見え方になったんだなと感じています。

石橋さん:あと、これはお客さまの声ではないのですが、商品カテゴリの階層や分け方を変えたことで自分達も商品を探す時に楽になりました。普段使っている自分達でさえそうなので、お客さまも同じように使ってくれているんだろうなと思っています。

山本:ECサイトのUI自体の良し悪しとは別で、使い慣れたものが変わることに違和感を感じられる方もいるかもしれないと思ってました。ですが、今のお話やよろこばれの数字から考えても「使いづらくて困っている」ということはあまり無さそうですね。ほっとしました。

石橋さん:その点では以前に多くいただいていた使い方についての問い合わせがリニューアル後は全く無くなりました!それが一番大きい変化かもしれないです。

山本:本当ですか!そういった反響は想像していませんでしたが面白い成果ですね。基本的な流れや購入についてはシステムが変わっていないので大きく変えたわけではありませんが...インターフェースはかなり洗練されたので、使いやすくなったのではと思います。

——このリニューアルを機に、45Rさんとは今後も継続的にお付き合いいただけることになりました。最後に今後の取り組みや展望があれば教えてください。

山本:今回のリニューアルで得た良い反響を沢山教えていただきましたが、あれだけ大きなサイトになると最初に作ってもそれがベストの形ということはほぼあり得ないと思っています。藤吉さんも気になったり直したいところをたくさん抱えていると思いますし。

藤吉:そう。だから、継続的にお付き合いできることは本当にありがたいです。もともと『隅から隅まで45Rらしさを感じられるサイト』がテーマの1つとして掲げられていたので、親方からもブラッシュアップが必要なところをいただいたりしていて。今は別のサイトの準備を進めているので、それがひと段落したらこちらの手直しも着手していきます。

石橋さん:コーポレートサイトはもっと上手く使っていかなくてはいけないですよね。アクセスやよろこばれのわかりやすい結果は伸びていますがコーポレートサイトで一番求められているのはリクルート。その点は今はまだあまり広げられていないので。

丸子さん:コーポレートサイトは当初リクルート向けに作ったものの、45Rのものづくりがぎゅっと詰まったコンテンツになったので、そういった打ち出し方の検討もしています。
今度メトロの広告を出すんですが、それもコーポレートサイトに誘導して見てもらうのが1番伝わりやすいねって話になっています。求人目的じゃない方が見ても応募したくなるような動きも期待できますし。今まではSNSなどでコンテンツを作ってもそこで完結していましたが、SNSからコーポレートサイトに誘導すればより深く知ってもらうこともできる。こういった動きやWeb発信で広がっていくのは新しい取り組みですし初めてのことですが、まだまだできるなって思っています。

45年の歩みを表現したポスターで銀座線車内をジャックした「45R in METRO」
(2022年7月に実施)

山本:藤吉さんはコーポレートサイトを作っている時に、コンテンツやイラストが色々なところに波及していくっていうイメージはありましたか?

藤吉:いや、そこまではなかったのでとても嬉しいです。今まで45Rさんが45年かけてきたものづくりの集大成をもって、また次の45年を照らすような灯台みたいなものにしたいとは考えていました。今の45Rさんの社内にはレジェンドが沢山いる状態だと思うので、例えば20年後に振り返った時にその状態を残しておきたいなと思っていました。

山本さん:そうですね、あのコンテンツが45Rさんの社内で『根っこ手帳』の様な存在になっていくと嬉しいですよね。

基本的に僕らの仕事はお付き合いが長くなっていく方が絶対にいいと思っています。長くなればなるほど僕らの表現すべき対象の45R自体やブランド、商品のことがよくわかってくる。本を読んだり話を聞いたりしただけではわからない、もっと非言語な部分や感覚的なところも理解していけるし、沁み込んでくる。あとは、今後の展開などを知っているからこそご提案できることもあるので、それは僕らにとっても理想的と言えます。同時に45Rさんにも「早めにこの話をしといて良かったな」と思ってもらえるような仕事ができるといいなって思っています。

藤吉:今回はWebの話が中心でしたが、実は45Rさんの店舗デザインもとても面白いんです。これまで45Rさんが日本の伝統やビンテージの服に対して独自に真正面から向き合ってきたものが、店舗デザインにも昇華されていたりします。でも、今それらはあまり知られていない状態で…...Webでの体験の次に、そういったこだわりも伝えていければいいなと考えています。

石橋さん:僕は過去に店舗で販売員もやっていたのですが、販売員としてはものづくりを自慢げに話しても引かれることがあって、意外と対面でブランドのこだわりを伝えるのは難しいなと思っていました。45Rはこだわりをもって細かいところまで色々と取り組んでいるブランドですが、本社のものづくりチームは作ることが仕事で、お店の人は発信することが仕事.…..今のWebチームは社内でも中立なポジションだと思っています。なので、自分たちがどういう風に発信をしたり形にしていくかを考えていけば、自然とすごいと感じてもらえるものが作れると考えています。

丸子さん:私は45Rの社内でしか知られてないようなこだわりを、社外に発信したい想いがずっと強くありました。一方で発信するのが少し苦手なブランドだったので、今回初めてその突破口が見えてきた感じがして嬉しいです。今後の葉山の新店舗やサービスのことも、これまでのシフトブレインさんとのお付き合いの中で45Rのことを知っていただいた上で、初めて出せるところだったと思います。

デザイナーの保美さんのエレガントでお茶目な側面と親方の漢らしい側面がミックスされたのが45Rのスタイルですが、それが今まさに実現できそうなので今後がとても楽しみですね。



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Photographer: TAKAGI Ari
Interview,Text: SAKA Mihoko