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【ハーブ天然ものがたり】ラベンダー

本日の記事は過去記事のリライトになります。
製品開発の過程でエネルギー入魂したアロマ・オリジナルブレンド
72°の香りとして抜擢されたラベンダーものがたりです。


洗い清める


lavoラボー洗う という語源からラベンダーと呼ばれ、古代ローマ・ギリシャでは沐浴剤・入浴剤として親しまれてきたラベンダー。
一面紫の花畑は、夏の風物詩として現代日本でもすっかり定着しました。

ローマ人は特にラベンダーの消毒作用を尊び、創傷を洗い清めるのに使用していたといいます。
ローマの女たちはラベンダーオイルで頭皮をマッサージし、ノミがつかないようにしたり、花束を柱に吊り家のまわりにまいて虫よけにしていました。
イギリスでは古くからせっけんの材料だったことから、洗たく女をlavendreラベンデレと呼んでいました。

たしかにラベンダーの香りは、一辺倒にフローラル調の香りです、という説明では済まされないような独特の清浄感があり、「洗い」「清め」「静観し」「蘇生する」というきもちの変容をもたらす、心が洗われるような香りだと思います。
からだもこころも沐浴したような清々しさ、水のみそぎによって生まれ変わるような解放感。
地上のこまごまとしたやり取りから派生する重たい気配を一瞬で洗い清め、浄化してくれるような頼もしさがあります。


洗い、清め、静観、蘇生、洗たく女、ときたら日本では久米の仙人のお話を思い出します。

伝説上の仙人。
大和国の竜門寺にこもり空中飛行の術を体得したが、吉野川で衣を洗う女の白い脛はぎに目がくらんで墜落。
その女を妻として世俗に帰った。
のち、遷都の際、木材の空中運搬に成功して天皇から田を賜り、久米寺を建立した。「今昔物語集」「徒然草」にみえる。

コトバンクーデジタル大辞典


空飛ぶ仙人をミツバチに例えるなら、ラベンダーが洗たく女というところでしょうか。
ラベンダーはハナバチとの共生種で、ミツバチをひきつけてやまない香りを放ち、ミツバチはその身にラベンダーの花粉をまとってラベンダーのエッセンスとともに地上から空に飛び立ちます。

空を自由に舞い飛ぶミツバチと一蓮托生のラベンダーは、ミツバチに受粉してもらうことで次世代へ生命をつないでいきます。
そしてミツバチも空飛ぶ仙人も、地上に降りることができるのは降下場所を示してくれる洗たく女やラベンダーのおかげです。
地上ならどこにでも降りられる、というわけではなさそうです。

久米の仙人が目を奪われた洗たく女の「ふくらはぎ」ですが、占星学では人体と12サインの対応から、久米仙はふくらはぎ=水瓶座象徴に視線を奪われたと考えることができます。
ふくらはぎは全身の血管系、循環するシステムと関連しています。

「ボディアストロロジー」松村潔


精霊はチ「血液」に降りてくる


日本には古くからアニミズム信仰が浸透しています。
トイレにも押し入れにも神様はいて、さらには石つぶてやタオルにも、スリッパにさえ「神様が宿る説」を疑う日本人は稀でしょう。

生物も無生物にも精霊( elemental spirits)が宿っている。だから人はもちろんお道具や履物にも、きちんと礼節を示すお作法が日本の~~どうを築いてきたんだろうなぁと思います。

古代日本では精霊に満たされている様を「チ」と表現し、語尾につけたという説があります。
火の精 カグツチ・軻遇突智
岩の精 イワツチ・磐土
木の精 ククノチ・久久能智
葉の精 ハツチ・葉槌
水の精 ミツチ・水虬
野の精 ノツチ・野椎
潮の精 シオツチ・塩椎

精霊が自然現象やいきものとしてあらわれた場合も、同じように
イカヅチ・雷
オロチ・蛇
と呼びました。

精霊は人や、人のつくった人工物にも宿って、その力を示すと考えたので
タチ・刀
などの言葉が生まれたとも。

精霊の力が満ちるとは、血液の「血」に関係すると信じられていたことから「チ」と呼んだそうですが、精霊をエーテル生命体とするならば、血液はエーテル界とのつなぎであり、それを土台とするアストラル体にもつながっていると考えることができます。
「チ」で終わるコトバは、ほかにもいろいろありますが、
蜂、餅、吉、口、道、父、乳なども、精霊(エーテル成分)に満たされたチカラを、すこし余分にもって顕現しているのかもしれません。

久米仙が洗たく女のふくらはぎに目がくらんで地に落ち、世俗に帰った、と聞くと現代脳の「普通」レセプターでは、「なんや仙人もエロいやん」的な受け取り方になりがちですが、大地に立つ脚、直立するものめがけて、円循環に戻すという目論見があったとすれば、最終的に久米仙は、自らの地上的成分である洗たく女を回収、統合して、地球に直立するものを大いなる循環サイクルに組みなおし、ミツバチのように空に戻っていったと考えることもできます。

地球に直立するものと、仙人界で循環するものに渡りをつけるのは、そうとうな大仕事で、地に降りる場所をもち、地上世界に介入できる術を身につけた久米仙は、エロいどころか仙人界のなかではかなり優秀な仙ということではなかろうか、と。


七天女伝説


久米の仙人の男女逆バージョンのような七天女伝説では、天女はその身にまとう羽衣で天を舞うことができるわけですが、沐浴中にこの羽衣を奪われて天に戻れなくなり、地上の男性と婚姻します。
地方によって、あるいは国によって、いろいろな結末があるので結びの部分は割愛します。
天地を結ぶ伝説、口承されてきた逸話の受取りかたはさまざまですが、地上に降りる場所を見つけて、往来できる仙人とか仙女がいる、というところが一番肝心な話のキモなのではないか、と考えています。

人間界に近づくことのできる天界種族が、夫婦になって地上生活を経験し、最後はともに空を飛び、天地往来が自在にできるようになる、と。
夫婦とはいっても、もとは自己分割によって分かれたもの同士、勇猛果敢に地球世界に飛びこんだ一部を回収にきた物語ともいえますし、もとさやに戻ると言った方がよいのかもしれません。どちらにせよ
「地球人としてそんな選択肢もあるんだよ」ということを、後世にのこしてくれたお話なのではないかと思っています。

天界から梯子を下すときも、地上から天に向かうときも、足場はとても大切です。
わたしの場合、足場=川べりの洗たく女=沐浴中の天女=ラベンダーの咲く野原、という方程式があたまのなかでデキアガッテおり、古今東西、ラベンダーの人気の高さを考えると、ラベンダーはハーブの中でもより人に近いところまで降りてきた、植物界の羽衣天女なのかしら、と思っています。

洗たくにまつわるお話もうひとつ


ロシアの民話で有名な魔女ババヤーガが、少女ワシリーサ(またはヴァサリッサ)に洗たくをさせるくだりにも、洗たくがひとつの儀式イニシエーションであることが描かれています。

着物はペルソナで、周囲の人が自分を見るときの最初の姿を演出します。
それは人に知ってもらいたい面だけを見せるカモフラージュともいえますが、同時に地位や権威、評判を表にさらし、自分が何者であるかを外に向かって示す魔道具にもなります。

ババヤーガの着物をワシリーサが洗うことで、そのペルソナがどのように縫い合わされ、どんな模様をしているのか、直接自分の眼でじっくりと静観し、大魔女の力と権威の仕組みを自分のなかに取り込んでいくことができるというわけです。
水に浸し清めることで、着ているうちに弱まってしまった布の織目や模様をもう一度浮かび上がらせることは、大魔女の観念や価値観を再生して、明るみに出すことでもあります。

洗たく、沐浴、水の禊は、自らの居場所をお知らせする狼煙のろしのような役割もあるのかもしれません。
そして「洗う」「清める」「静観する」「蘇生する」この一連の洗たく儀式は、まさにラベンダーの香りがもたらす十八番オハコです。

ラベンダー&ローズマリーの組み合わせ


ラベンダーは秀逸な香料として、歴史にたくさんの逸話が残されています。
香水のメッカとして有名なフランス・グラースでは、皮手袋の香りづけにラベンダーオイルを使用していました。
手袋職人が当時の流行病(ペスト)に罹らなかったので、ラベンダーを持ち歩くことを皆にすすめたお話は有名です。

現代アロマテラピーの成立も、化学者が実験中に指にやけどを負い、ラベンダー精油を塗ったところ驚くほど治りが早かったため、精油の薬理作用について研究を始めたことがきっかけとなっています。
とはいっても、ラベンダーのもたらす薬理作用は、もっと古くから認められていました。ラベンダーの特徴に言及し、その素晴らしさを説いてきた著名人はシェイクスピアをはじめ、ルドルフ・シュタイナー、ヒルデガルド・フォン・ビンゲンなど枚挙にいとまがありません。

かれこれ数十年、夏の暑気払いに例年持ち歩いているアロマスプレーはラベンダーとローズマリーの組み合わせです。
ローズマリーとラベンダーの組み合わせときたら、トマトにバジルがいるように、はちみつにシナモンがいるように、梅に鶯、松に鶴というように、まさに王道のなかの王道マッチングと感じています。

爽やかな芳香で視界がひろがり、すぅっと頭も胸も軽くなり、皮膚にまとわりつく重い鎖を断ち切って、身軽に、かろやかに、軽快になってゆく。
それはラベンダーがセロトニンを分泌して血管拡張し、ローズマリーが天に向かう植生よろしく頭部にむかって血液を上へ上へと運ぶせいなのか。
はたまた「チ」と呼ばれる精霊たちが、血液のなかに降りてきた精油スピリタスを歓迎しているせいなのか。
ローズマリー&ラベンダーはこころもからだも洗われる、魔法の組み合わせと感じています。


17世紀に活躍したイギリスの著作家アイザック・ウォルトンは「私はラベンダーの香りがするシーツのある家にずっといたいと思う」と書き残しました。
釣りの本で有名な作家さんですが、ラベンダーの香りがもたらす静謐さ、心休まる静寂は、釣りに通じるものがあるのかなと思います。
アイザックさんは「釣は詩と、どこか似ている」と仰いましたが、釣りも詩も、静寂で孤独な時間を創出する達人でなければ楽しむことはできないものですから、ラベンダーの香りにいつも包まれていたいというのは、寡黙な釣り人にぴったりという気がします。

地上成分同士でやりとりする頭のなかのおしゃべりを止めて、静謐さをもたらすラベンダーと
神仙世界の記憶にやさしくふれて、此方と彼方の境界線にいざなってくれるローズマリー。
「チ」がよろこぶ精油スピリタスは、洗たく女のふくらはぎのように、健康的でハリのあるまぶしさを身の内から輝かせ、自らのルーツである神仙界の住人が、久米仙よろしく地上降下ポイントを見つけ出すのに役立ってくれるかもしれません。


*当ブログで紹介している植物の一般的な性質は化粧品の効能を示したものではありません。
*Shield72°製品に使用されているオーガニック・ラベンダー精油は、正式にはラベンダー油と呼ばれ、賦香目的で配合しています。

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お読みくださりありがとうございました。
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